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スマホの台頭によって「メールマーケティング」が活性化する可能性

2022.07.19

個人情報の取り扱いやCookie規制、SNSやオンラインツールの台頭等により、近年、メールへの捉え方が変わって来ている。そうした中、メールを活用するメールマーケティングは、新しい段階へと移り変わってきているようだ。

今、メールマーケティングはどのような課題があり、今後、どのような変革が必要になるのか。業界を牽引する企業2社に聞く。

お客様が本当に欲しいと思う情報を欲しいタイミングで欲しい場所へ届ける

先日、メールを中心としたコミュニケーションシステム「WEBCAS(ウェブキャス)」を手がける株式会社WOW WORLDが、この夏に「WOW engage(ワオエンゲージ)」をリリースすることを発表した。

「WOW engage」ができることのイメージ

メールマーケティングを牽引する同社は、この新製品をどのようなきっかけで市場に導入しようとしているのか。

同社の発表によれば、これからの時代において企業がマーケティングコミュニケーションで成果を出し続けるにはどうすればいいかと考えたときに、「お客様が本当に欲しいと思う情報を欲しいタイミングで欲しい場所へ届けること」がなお一層大切になるのではないかという。

これについて、同社のCMO 兼 マーケティング部長である中村竜次郎氏について詳しく聞いた。

株式会社WOW WORLD  CMO 兼 マーケティング部長 中村竜次郎氏

「昨今はコロナ禍によるデジタルマーケティングの加速も相まって、人々が企業から受け取る情報量が爆発的に増加しています。このような状況下で、顧客に対して自社の商品やサービスの紹介を大量かつ画一的に訴求することは、果たして効果的なアプローチといえるでしょうか。

当社は、これからの時代は顧客が本当に欲しいと思う情報を、欲しいタイミングで、欲しい場所へ届ける、いわゆる “顧客主体”のマーケティングコミュニケーションが大事になると考えています。

現在、顧客のWeb上の閲覧履歴等を活用して商品をレコメンドする手法は一般的になりつつありますが、どれだけ趣味嗜好が合う商品をレコメンドしても、顧客が欲しいと感じているそのタイミングを逃せば買ってもらえません。顧客が今求めているものを理解し、顧客にとって絶妙な頻度やタイミングでアプローチすることで、効果的なマーケティングコミュニケーションが実現できると考えています」

●顧客のエンゲージメントを高めるための施策

メール配信イメージ

商品やサービスが多様化し、顧客の興味関心も移ろいやすい現代。競合他社よりも自社を選んでもらうために重要なのは、顧客のエンゲージメントを高める行動といえる。メールはその手段としてよく用いられるが、具体的にどのような施策が有効だろうか? 中村氏は次のように述べる。

「顧客一人ひとりの購買履歴、メールなどの配信・開封・閲覧のログ情報、サイトでの行動履歴などを統合分析し、『その人が好むコミュニケーション』を実行することが有効です。

ECサイトであれば、そのお客様は何時頃メールやLINEを見ることが多いか、過去の購買行動にはどのような傾向があるか、例えばファッション販売サイトであれば何色を好む傾向があるか、そして週に何回以上メールを送るとオプトアウト(配信停止)する傾向があるかなど、データを通じてまずは顧客を知り、そのうえで最適なコミュニケーションを模索することが重要です。

新製品では『そのコミュニケーションによってどのような結果が得られるのか』を導き出すことはもちろん、コミュニケーションすべき対象とそうではない対象、理想のタイミングなどを提案し、コミュニケーションの課題を解決するように設計しています」

●統計学の専門家の知見が活かされた高度な分析機能

同製品では、ベストセラー「統計学が最強の学問である」の著者で元東京大学助教・西内 啓氏による後援を受けている。西内氏の知見が活かされた高度な分析機能が搭載される予定だという。どのようなことが実現できるのだろうか?

「WOW engageでは『統計的因果推論』という手法を分析の要としています。これは実験・観察データから得られた情報をもとに、事象の因果効果を統計的に推定する手法です。

例えば、AIやRFM分析(最終購入日・購入頻度・購入金額の3つの指標で顧客を分類する分析手法)でロイヤル顧客を抽出したとしても、コミュニケーションをとるべきかどうかは別の話です。その前に、コミュニケーションの有無によって売り上げにどのくらい差が出るかを統計的に分析することが重要です。

統計的因果推論の手法をうまく応用すれば、この人はメールを送ったほうが買ってくれるのか、メールを送らなくても買ってくれるのか、メールを送らないほうが買ってくれるのか等の傾向が見えてきます。分析を繰り返すことによって、マーケティングROIが最大化され、コミュニケーションの成果が上がっていきます。

一般的に、このようなデータサイエンスをマーケティングに活用するには高度な技術と専門知識が必要ですが、WOW engageを使うことで、マーケティング担当者自身が『顧客のために何をすれば良いのか』を判断し、アクションプランの実行管理を行うことができるようになります」

●これからのメールマーケティングのポイント

これからのメールマーケティングはどのようなポイントを押さえて実施していけばいいだろうか。

「企業が持つ顧客情報と購買・行動履歴等のデータを統合・分析したうえで、よりパーソナライズされたOne to Oneでのメール配信を行うことが重要です。

従来のOne to Oneメールでは、顧客の属性情報をセグメントごとにグループを分けて配信したり、クリック率から企業側が販売したい商品ごとにキャンペーンを実施したりすることが多く、顧客一人ひとりとのコミュニケーションから最適解を探ることは、なかなか実現できませんでした。今後はWebサイトの閲覧履歴、SNSの情報など多くのタッチポイントから顧客の行動を把握し、顧客に寄り添ったメール配信をしていくことが効果的です。

また、顧客の趣味嗜好は変化していくので、パーソナライズした情報はアップデートし続ける必要があります。顧客の変化に気付かず、不要な情報を提供し続けることにより、顧客が離れてしまう恐れもあります。『今、顧客が本当に望んでいる情報は何か』を分析し、『顧客が望まない情報はあえて送らない』『別の情報に差し替える』等の選択も検討することで、より効果的なメールマーケティングが実現できるでしょう」

デジタルマーケティングとしてのメールマーケティング

デジタルマーケティングの観点からすれば、これからのメールマーケティングはどのような展開が求められるのだろうか。

今回は、デジタルマーケティング事業を行うINCLUSIVE株式会社代表取締役社長の藤田誠氏にインタビューを行った。近年はメールによる課金サービスをNewsletter Asia株式会社で運営している。

INCLUSIVE株式会社 代表取締役社長 藤田誠氏

世間一般では、メールマガジンやメール配信などはすでに使い古された、過去の手法のように思われているところがあるが、藤田氏は独自の見方をしているという。

「メールは過去の手法と思われているかもしれませんが、私はスマートフォンの普及でPC時代とは違う新しい価値が生まれたと考えています。ユーザーの手元にダイレクトにメッセージを届け、リアルタイムでレスポンスを得ることができるようになったことで、メールというメディアが生き返ったということです。

当社は堀江貴文氏が執筆している有料のメールマガジンを運営していますが、購読者は1万人以上います。メールはすべての端末に標準で入っているアプリで閲覧できますから、ユーザー側も導入への障壁が少なく、普及しやすいところがあります。

メールは、敷居を低くして気軽にコンタクトポイントを作り、比較的パーソナルな双方向のコミュニケーションを通じて、顧客と強いつながりを紡いでいくメディアツールとして大変有効だと考えます」

●メルマガ配信時の工夫

メールマガジンを配信する際には、どのような工夫をしているのだろうか。

「まずは、発信者が届けたい情報を尊重し、できるだけそのまま届けるようにしています。当社が運営する堀江氏のメールマガジンは『堀江貴文のブログでは言えない話』というテーマで、堀江氏が日常生活で感じたことや、話題になっている事柄に対して考えていることを発信していますが、メールマガジンだからこそ読める、価値ある情報になるよう、可能な限り生の声を届けています。

また、読者との双方向性も意識しています。読者からの質問をメールで受け付け、メールマガジン内でそれに答えるコーナーを用意しています。一方的に情報を受け取るだけではなく、発信者とつながる場にもなるのは、メールマガジンだからこそできることだと思っています」

●これからのメールマーケティングのポイント

これからのメールマーケティングはどのようなポイントで実施していけばいいだろうか。

「ある程度クローズドな情報を発信することが重要だと思います。先述の通り、メールは読者を限定し、また双方向性を生み出すことができるので、コミュニティに近い性質があると考えています。

だからこそ、メールマーケティングにおいてはターゲティングして情報を出し分けることがポイントだと思います。メールアドレスを登録している人に一様にメールを送信するのではなく、例えば資料請求をしたらその資料のテーマに関する有益な情報を送るといったようにカスタマージャーニーに応じて送り分けるなどして、読者が『この情報は自分に合わせて送られてきたものだ』と感じることが大事です。そうしなければ、迷惑メールボックスに直行するだけのメールになってしまいます。

メールを送信する相手は自分たちの『ファン』です。そのファンに対して届けたい情報になっているかどうかは重要だと思います」

メールはスマートフォンの台頭により、捉え方次第では新しい活用が期待できるようだ。これからのメールマーケティングのポイントは、「データ分析によるパーソナライズ化」と「情報の出し分けと双方向性」にあるようだ。

【参考】
「WOW engage」(WOW WORLD)
INCLUSIVE株式会社

取材・文/石原亜香利

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