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水素燃料電池、太陽電池、蓄電池で工場のCO2排出量ゼロを目指すパナソニックの実証施設「H2 KIBOU FIELD」

2022.07.06

原油価格の上昇、円安の進行など、発電コストの上昇は予断を許しません。また、CO2排出量の抑制など、環境への配慮に多くの企業が知恵を絞っています。

そんな中、パナソニックは純水素燃料電池と太陽電池を組み合わせた自家発電により、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなう、〝RE100ソリューション〟を実証する施設「H2 KIBOU FIELD」を稼働。検証が始まっています。

本格的に水素を活用する工場のRE100化は世界初

滋賀県草津拠点にあるパナソニックの施設の一角に、RE100化を目指す「H2 KIBOU FIELD」は建設されました。

こちらは、5kWの純水素型燃料電池を99台、最大495kWと、太陽電池の約570kWを組み合わせた自家発電設備と、余剰電力を蓄える約1.1MWhのリチウムイオン蓄電池を備える、大規模な実証施設となっています。

ここで発電した電力は、草津拠点内にある燃料電池工場(C17棟)の製造部門で使われる全電力をまかないます。さらに、水素燃料電池、太陽電池、蓄電池の3電池を連携させて、電力購入をできるだけ減らし、最適な電力供給をする運用方法、技術開発と検証を行います。

同施設の説明をする、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 スマートエネルギーシステム事業部 燃料電池事業総括 加藤 正雄さん

草津拠点の燃料電池工場は今回、本格的に水素を活用する工場としてRE100化をめざしていて、これは世界初の試みとなり、多くの注目を集めています。

安定的に運用するために水素が活躍

太陽光や風力、地熱など自然エネルギーで発電する施設は、脱炭素化や環境影響の低減に貢献することは多くの人が認めるところかと思います。しかし、太陽光や風力発電は天候などの影響が大きく、安定運用が難しいです。

そこで、この「H2 KIBOU FIELD」は純水素型燃料電池を複数台使うことで、発電力を細かく制御。有効利用します。

ご家庭に普及しているエネファームをご存じかと思いますが、エネファームはガスから水素を取り出して発電する設備です。一方、「H2 KIBOU FIELD」では、岩谷産業から水素供給のノウハウを受けて、水素を使って発電します。

その水素は、岩谷産業の7万8000Lのタンクに貯蔵。こちらは連続発電すると8日間フル発電を継続できる量となっていて、年間120トン程度の水素を使用する構想となっています。

水素はマイナス253℃以下でタンクに液化水素として貯蔵されており、自然気化して燃料電池に供給されます。その途中の道管では下の写真のように凍結しています。

こちらの水素が、状況に合わせて最大5kWの発電が可能な「H2 KIBOU(FC-5KLR1HS)」へ供給されます。この純水素型燃料電池が88台設置され、さらに次世代ユニット10台と、コジェネ機能を持ちお湯を出せるタイプの1台が加わり、最大で495kWの発電を可能としているわけです。

「H2 KIBOU(FC-5KLR1HS)」

手前がコジェネ機能搭載の純水素型燃料電池

水素の燃料電池は、発電すると水ができます。その排水はちょっとわかりにくいですが、下の写真のように地面の通路を経て貯水場へと送られます。発電で起きた余熱は、将来的には工場の熱源にも利用していきたいそうです。

太陽電池と工場の建築面積はほぼ同じ

そして、純水素型燃料電池と併設されるのが、太陽電池です。315Wのパネルを1820枚設置し、最大で約570kWを発電します。

さらに、1.1MWhの蓄電池を設置しています。

草津拠点にあるC17棟 燃料電池工場のピーク電量は約680kWとのこと。建築面積は約4000平方メートルとなっていて、こちらは「H2 KIBOU FIELD」の太陽電池の設置面積とほぼ同等とされています。

「H2 KIBOU FIELD」の敷地サイズは、工場の敷地に収まる面積をイメージしています。将来的には、工場の屋上などを活用してRE100化を実現する、様々な施設が見られるようになるかもしれませんね。

天候に左右されず安定した電力供給を実現する仕組み

ちなみに、取材した時はやや小雨が混じる曇天でした。当然、太陽電池の最大発電値には達しません。

当日の工場の負荷は340kW前後でした。これに合わせて発電量を調整しているとのことです。仮に太陽電池による発電がゼロでも、純水素型燃料電池は最大で495kWの発電を可能にしますので、蓄電池に頼らなくても供給電力は十分だということになりますね。

このように「H2 KIBOU FIELD」は、水素燃料電池、太陽電池、蓄電池を組み合わせて、系統電力に頼ることなく、自家発電での電力供給を実現しています。

そのコントロールは、パナソニックが開発したEMS(エネルギーマネジメントシステム)で行われます。

上の写真のコントロールルーム内にEMSは設置されていて、工場の電力需要や気象予報データ、稼働している機器のモニタリング情報などを元にして、太陽電池の発電量から発電パターンを計算しています。

さらに、純水素型燃料電池の発電量を調整したり、それでも余剰や不足した場合には、蓄電池を活用するなど、細かな制御が行われています。

水電解の水素の活用や地域の電力ひっ迫へ対応する未来

水素を使いRE100ソリューションを実証する「H2 KIBOU FIELD」をここまで見てきました。電力系統に頼らずに自家発電で、しかもRE100化を可能にする設備は画期的です。顧客への提案は2023年度から本格化するとのことで、将来の普及が期待されます。

今後は、水を太陽光・風力発電による電力で電気分解した〝グリーン水素〟を活用し、さらに環境影響を低減する仕組みを考察していくそうです。

さらに、「電力ひっ迫などを考慮して、電力系統に余剰電力を供給する検証を行う可能性がある」とパナソニックは言います。地域にこういう発電所があれば電力ひっ迫の低減にもつながり、地元に恩恵を還元できるかもしれません。

今回の実証施設はあくまで工場用ですが、水素の安全面を見極め、そちらが担保されるようであれば、スーパーといった店舗などにも展開していきたいそうです。そして、住宅への供給も検討されますが、安全面や法整備などが進めば、純水素型燃料電池や太陽電池、蓄電池により、100%再生可能エネルギーで消費電力をまかなう住宅が誕生する日が来るかもしれませんね。

「H2 KIBOU FIELD」の実証実験の進展が楽しみです。

取材・文/中馬幹弘


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