失業給付金を受給する際の注意点
失業給付金の支給が決まってからも、注意しなければならないことがあります。不正受給の疑いや、給付金の停止を防ぐためにも、注意点をきちんと確認しておきましょう。
認定日までに2回以上の求職活動が必要
失業給付金をもらうためには『待機期間と給付制限期間を終えてから最初の失業認定日まで』に一定回数以上の求職活動をしなければなりません。
<給付制限期間ごとの求職活動回数条件>
- 給付制限期間なし:1回以上
- 給付制限期間が2カ月:2回以上
- 給付制限期間が3カ月:3回以上
注意しなければならないのが、求職活動の内容です。求職活動として認められる行動の例は以下のようなものに限ります。
- 求人への応募
- ハローワークが行う職業相談や職業紹介などを利用する
- 個別相談の時間が設けられた企業説明会への参加
求人情報の検索や知人に仕事の紹介を依頼するだけでは、求職活動として認められない点を押さえておきましょう。
活動が認められると『雇用保険受給資格者証』に参加先の担当者から認定印がもらえます。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q33~34
アルバイトをする場合は申告が必要
給付制限期間中も含め、失業給付金をもらっている間にアルバイトをする際には、失業認定日に提出する『失業認定申告書』に必ず記載するようにしましょう。
もちろん、仕事をした日は失業給付金の対象にならなかったり、収入によっては減額されたりするケースもあります。しかし、アルバイトをしている事実をハローワークに申告しないで失業給付金を受け取ると『不正受給』になる可能性があるのも事実です。
不正受給だと判断されると、失業給付金の支給がストップするだけではなく『アルバイトをしながら受け取った給付金の3倍に当たる金額』の納付を命じられる場合があることを覚えておきましょう。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q35~36
健康保険や年金などの支払い義務は続く
失業給付金を受給している間にも、原則として健康保険や年金の支払いはなくなりません。
失業して保険料の支払いが苦しい場合には、下の表のような公的医療保険ごとに定めている制度を利用するのをおすすめします。
社会保険(健康保険) |
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国民健康保険 |
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特におすすめなのが、社会保険や健康保険に加入している配偶者の扶養に入ることです。扶養として認められると、料金を支払うことなく配偶者と同じ公的医療保険を利用できます。
失業給付金は非課税のため所得とはみなされませんが、社会保険の場合は失業給付金は『収入』扱いのところがほとんどです。扶養家族の所得限度額を超えないように確認しておくと安心でしょう。
また、任意継続保険の手続きをすると、前職の保険に失業後も継続して加入することが可能です。しかし、会社に勤めていたときとは異なり『保険料の全額を自分で負担する』ことも覚えておきましょう。
さらに、会社都合で退職した人は、『国民健康保険の減免制度』が利用できる場合もあります。
そのほか、国民年金や住民税の支払いに関しては、自治体ごとに分割納付や納付の延長などの制度を設けています。住んでいる自治体のホームページをチェックして、失業中の負担を減らしましょう。
参考:退職後の健康保険について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
失業から再就職まで!役立つ給付を厳選
雇用保険には、労働者の生活や雇用をサポートする給付制度や手当がたくさんあります。豊富な制度や手当の中でも、失業や再就職に役立つものをピックアップして紹介します。
資格取得を後押しする「教育訓練給付金」
「スキルアップして、安定した仕事につきたい」と思っている人は多いのではないでしょうか?雇用保険の『教育訓練給付制度』は、失業中にも役立ちます。
条件を満たすと、資格取得にかかった教育訓練経費の一部が払い戻されます。教育訓練ごとに取得できる資格の例は以下の通りです。
種類 | 資格の例 |
一般教育訓練 |
・簿記検定試験 ・Webクリエイター能力認定試験 ・中小企業診断士 ・インテリアコーディネーター |
特定一般教育訓練 |
・社会保険労務士 ・税理士 ・行政書士 ・介護職員初任者研修 |
専門実践教育訓練 |
・看護師や准看護師 ・美容師や理容師 ・理学療法士 ・キャリアコンサルタント ・調理師 |
続いて、払い戻される割合と上限額を種類別に確認しましょう。
種類 | 払い戻される割合 | 上限額 |
一般教育訓練 | 20% | 年間10万円 |
特定一般教育訓練 |
40% | 年間20万円 |
専門実践教育訓練 |
受講中:50% 受講後:70% |
最大で224万円 |
失業中に、看護師や美容師、理学療法士などの資格が含まれている『専門実践教育訓練』を受講すると、教育訓練給付金とは別に『教育訓練支援給付金』がもらえる場合があります。
失業している間に専門性の高い資格を取得し、安定した再就職につなげるのも一つの方法です。
参考:厚生労働省「国から支援を受けられる主な資格・講座リスト」
受給者の就職を「再就職手当」で祝福
再就職手当は、失業給付金をもらっている人が『給付が可能な日数を1/3以上残して1年以上の雇用が確実な職に就いた場合』に支給されるお祝い金のようなものです。
<支給される金額>
- 失業給付金の日額×給付日数の残り×60~70%
給付率は、下の表のように給付日数の残りで区分されています。
給付日数に対する残日数の割合 | 給付率 |
2/3以上 | 70% |
1/3以上2/3未満 | 60% |
例えば、日額1万円の失業給付金を90日受給できるAさんが60日を残して就職した場合、Aさんには『1万円×60日×70%=42万円』が再就職手当として支給されます。
失業給付金の受給中に再就職が決まった場合には、就職日に合わせて以下のタイミングでハローワークに就職の決定を報告しなければならない点にも注意しましょう。
就職日 | 申告のタイミング |
次回認定日の前 | 就職日の前日(給付制限中の採用時は前日でなくても可) |
次回認定日の後 | 次回の認定日 |
さらに再就職先で半年以上雇用され、半年間の賃金(日額)が前職よりも低い場合には『失業給付金の残日数の30~40%』を限度として就業促進定着手当が支給されます。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q37~38
構成/編集部