基本的に仕事に勤しんでいる気配はない。やっていることといえば、同僚との無駄話かネットサーフィン。そして多すぎるたばこ休憩……。そんな、日本式メンバーシップ型雇用の澱のような働かないおじさん社員、あなたの職場にもいないだろうか?
「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する企業「識学」はこのほど、全国の従業員数300名以上の企業に勤める20歳~39歳の男女300名を対象に「“働かないおじさん”に関する調査」を実施し、その結果を発表した。
約半数の企業に〝働かないおじさん〟の存在を確認
本調査対象者を抽出する事前調査で会社に“働かないおじさん”がいるか聞いた結果、「いる」(49.2%)、「いない」(50.8%)で、半数近くが「いる」と回答した。
“働かないおじさん”が仕事をしないでしていることを聞いたところ、TOP3は「休憩が多い(タバコを吸っている・お菓子を食べているなど)」(49.7%)、「ボーっとしている」(47.7%)、「無駄話をしている」(47.3%)だった。はたから見ると“仕事をしている”とは思えない様子が上位となった。
さらに「ネットサーフィンをしている」が35.3%、「プライベート・趣味について調べている」が28.7%で、パソコンに向かって仕事をしているように振舞っているという回答が続いた。
“働かないおじさん”が仕事をしなくなってしまった原因を何だと思うか聞いたところ、「仕事への意欲がないから」が最も多く45.0%だった。次いで「年功序列制度で成果を出さなくても給与が上がるから」(41.0%)、「仕事を任されないから」(26.3%)となった。
「その他」の回答では「解雇制度がない職場のため」「上司が業務管理をしていないから」といった回答も見られた。働かない社員を生まないために、給与査定基準を設けるなど社員のやる気や意欲を引き出す仕組みが必要かもしれない。
“働かないおじさん”が社内にいることでどのような悪影響があるか聞いた。「周りの社員の士気が下がる」が59.7%と6割近くの糸の士気が低下していることがわかる。続いて「働かない人の分の業務が回ってくる」(49.0%)、「会社の経営圧迫(人件費)」(35.3%)となった。「特に悪影響はない」と回答した人は9.0%となり、9割以上の人が何かしらの悪影響を受けているようだ。
今まで一番驚いた“働かないおじさん”の言動について自由回答形式で聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられた。
・自分が仕事をしたくないからと、パワハラで仕事を押し付けて逃げる。(37歳 男性)
・たばこ休憩に出かけて、30分後にトイレ休憩と言って30分帰って来ず、帰って来たら今度はたばこ休憩…仕事を頼む時間がないです。(34歳 女性)
・無駄話ばかりして、手が動いてない。(30歳 女性)
・スマホゲームばかりしている。(37歳 男性)
・いつも何もしない人がたまに真面目にパソコンに向かっていると思い遠目で見てみるとYouTubeを見ていた。(37歳 男性)
・フルリモートワークになってからパフォーマンスが下がった。ミスばかりするし、連絡すら取れず音信不通の状態になることが日常的にある。電話もメールもチャットにも応答がなく、ウェブ会議に呼んでも参加しない。(34歳 女性)
〝働かないおばさん〟も一定数の企業で存在していた?
自社に“働かないおじさん”がいる人へ、働かないおばさんの存在についても聞いてみたところ、47.3%と半数近い人が「いる」と回答していた。
また、“働かないおばさん”がいると回答した人へ、仕事をしないで何をしているか聞いたところTOP3は「無駄話をしている」(64.1%)、「休憩が多い(タバコを吸っている・お菓子を食べているなど)」(39.4%)、「ボーっとしている」(35.2%)となった。
先述した“働かないおじさん”が仕事中にしていることと比較すると、順位は異なるもののTOP3は同じ項目が並んでいる。“働かない社員”の仕事中の行動は性別問わず変わらないようだ。
自分も将来、“働かない社員”になるかもしれないと思うか聞いたところ、30.3%の人が「思う」と回答した。また、「思う」と回答した人へ、どのような状況・条件だと自分も将来働かなくなるかもしれないと思うか聞いたところ、「成果が給与に反映されない」が59.3%と最も多い回答となった。
38.0%が「業務の成果と給与が連動していない」と回答
人事評価制度が定められているか聞いたところ、「はい」と回答した人が80.7%だった。人事評価制度を定めていない企業は19.3%と約2割で、ほとんどの企業で制度が定められていることがわかった。
人事評価制度が定められていると回答した人へ「業務の成果と給与が連動しているか」聞いたところ、38.0%と4割近くの人が業務の成果と給与が連動していないと回答している。また、「給与査定基準が社員に明確に提示されているか」聞いたところ、41.7%の人が「いいえ」と回答しており、それぞれ4割程度いることがわかった。
個人の役割・責任が明確か聞いたところ、「はい」が46.0%、「いいえ」が54.0%で、半数を超える企業で個人の役割・責任が明確でないことがわかった。また、個人の役割・責任が明確であると回答した人へ「自分の成果を会社から適正に評価されているか」と聞いたところ、65.9%の人が「はい」と回答している。
各個人に役割を与え適切に評価するこことは、社員にとって働く原動力の一つでもある。“働かない社員”を生まないためにも企業は個人の役割・責任を明確にし、成果を適正に評価することが必要かもしれない。
<調査概要>
調査機関:株式会社識学
調査対象:全国の従業員数300名以上の企業に勤める20歳~39歳の男女で、お勤めの会社に“働かないおじさん”がいると回答した方
有効回答数:300サンプル
調査期間:2022年4月27日(水)~28日(木)
調査方法:インターネット調査
※本調査における“おじさん”、“おばさん”について、調査上は年齢を限定せず回答者が思う“おじさん”、“おばさん”として回答している
出典元:株式会社識学
構成/こじへい