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イーロン・マスクの「日本消滅」発言に婚活支援AIや育児ロボで対抗できるか?

2022.06.09

【連載】もしもAIがいてくれたら

【バックナンバーのリンクはこちら】 
第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第54回:イーロン・マスクに改善を期待したいTwitterが抱えるエコーチェンバー現象

イーロン・マスクの「日本消滅」発言に、婚活支援AIや育児ロボなら対抗できるのか

「出生率が死亡率を超えることがない限り、日本はいずれ消滅するだろう」という米・テスラCEOのイーロン・マスク氏がツイッター上で発言し、話題になりました。何かとお騒がせなマスク氏ですが、日本がかかえる深刻な問題を鋭く突いています。

厚生労働省によると、2021年に生まれた日本人の子ども(出生数)は81万1604人で、データがある1899年以降で最少となったとのことです。前年より2万9231人(3.5%)少なく、国の推計より6年早く81万人台前半に突入しており、少子化が政府の想定以上に加速しているようです。日本人の人口が1億人を切るのは2049年と想定されていましたが、それよりも早まりそうです。確かに、このままのペースで出生率が減少すると、マスク氏の言うように、いつか日本人は消滅してしまいそうです。

地方自治体は、AIを使った婚活支援サービスなどを推進し、若者の結婚を促すことによる出生率の向上を図ったりしているようですが、結婚している人でも、生みたくても生めない、生みたくないという夫婦も多いようです。個人差はあるものの、生物の本能として子供を生みたいという気持ちがあるにもかかわらず、生めないような社会ではダメですね。

子供を生むのは女性なので、女性に焦点を当てて考えてみますが、子供がいればより幸せになれるなら、きっと子供を持ちたいと思う女性は増えるはずです。結婚していたり、子供がいたりする女性が幸せであることが大切です。1+1が2以上でないと、人口は減少してしまうとすると、なおさらハードルは高いです。一人目誕生後の生活がどうなったかで、二人目を考えられるかどうかが決まるかもしれません。

ほとんどの母親にとって、子供は可愛いはずなので、一人目が可愛くなかったからもう生まない、ということはないでしょうし、育児の大変さは子供可愛さで乗り越えていける気はします。しかし、個人的な経験では、子育ては、応援してくれる人が不可欠です。パートナーと、助け合いながら、楽しく子育てできるのが理想ですが、仕事と育児の両立について、いまだに悩んでいる働く女性は多いと思います。私自身は、母の助けがなかったら、今のキャリアはなかったと思っています。

自分が働いている全時間を、保育園やシッターさんだけでやりくりするのは、経済的にも厳しい人が多いと思います。他人に頼るにはお金がかかりすぎますが、今の子育て支援ロボットでは、子育て支援ロボットだけに任せて仕事に出かけられるレベルではなく、誰かが子供と一緒にいてくれることが前提です。

私の子供が小さいとき、「ママのコピーロボットがいてくれたら、コピーロボットと遊んでいられるのにね」と言ったところ、「違う。コピーロボットが仕事に行けばいいんだよ」と子供に言われました。確かにそうですよね。職場での様々な仕事を自分のコピーロボットがこなすのは難しそうですが、家の中で子供と遊び、安全確保をする、という限定的な仕事であれば、いつかロボットだけでも子守りできるようになるかもしれません。自分の声や、子供との会話を学習し、一日の行動パターンを学習した自分のコピーロボットが子育てを支援してくれる日が来るかもしれません。

しかしその前に、コピーロボットに頼らなくていいような家庭を、パートナーと築ける人たちが増えることが大切なのだろうと思います。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

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