キャッシュレス決済のできるスマートリングが、急速に普及している。
が、このスマートリングに対して躊躇ってしまう人も存在する。
なぜならこれは、国際クレジットカードブランド決済対応の製品だからだ。クレカそのものを嫌う人は、スマートリングなど使わない。
しかし、これがクレカではなくチャージ型の電子マネーなら話は別だ。
今回はブレスレット型キャッシュレス決済ガジェット『WRIST PAY』を試してみよう。
「指輪」から「ブレスレット」へ
去年10月、筆者は@DIMEで『RINGO PAY』という製品のレビュー記事を書いた。
これは指に巻くガジェットだったが、その2弾という位置付けで手首に巻く『WRIST PAY』がMakuakeに登場した。
『RINGO PAY』の記事で、筆者は「もう少し本体を細身にできれば、よりバイクの運転に適したものになるかもしれない」と指摘した。
細身にはできなかったようだが、その代わりブレスレット型にすることでより気軽に装着できるということらしい。
対応銘柄は、前作に引き続きEdy。使い方はカード搭載型と全く同じだ。当然ながら支払いだけでなく、残高のチャージもできる。
キャッシュレス決済デバイスとしての機能面の話はこれだけだが、『WRIST PAY』の場合は「どれだけ気軽に、どれだけ快適に身につけることができるか」が主題である。
故にこれは「最先端テクノロジー」の項目ではなく「ファッション」の項目に分類されるべき製品なのだ。
ツーリングに最適!
というわけで、実際に使ってみよう。
今回も筆者は、バイクに乗るために『WRIST PAY』を装着する。左腕は既に腕時計を着けているから、空いている右腕に巻く。
この状態で手袋をはめ、愛車のスズキSV400Sにまたがってエンジンを始動。
前作『RINGO PAY』と比較して着用感が改善されている、と筆者はすぐに悟った。というより、『WRIST PAY』は「着用感」という言葉すら忘れてしまうほどのものだ。
MTの二輪に乗る人なら分かるはずだが、エンジンを始動させる時はキーを回してスタンドを蹴り、左手でクラッチレバーを握りつつ右手でアクセルを僅かに開けてセルを回す。
字面にすると結構複雑な工程だが、この際右腕に腕時計かブレスレットを巻いていたら、それがいつも以上に気になってしまう。
バイクのアクセルというのは、上から下に回す仕組みだからだ。
が、『WRIST PAY』ならその動作を一切阻害しない。
もちろん、バイクに乗っている最中も右腕に『WRIST PAY』を着けたままにする。接続部は脱落の心配をしなくてもいい構造で、高速道路のSAやPAに立ち寄った際はそのまま買い物もできる。
財布やスマホをいちいちストレージから出す必要はない。
これって立派なツーリング用品じゃないか!?
日常生活の面倒臭さを解決
『WRIST PAY』の開発者が、ツーリング用品としてこれを作ったわけではないというのは理解している。
が、筆者のレビュー記事は「開発者ですら気づかない製品の魅力や使い道を探る」というコンセプトである。これはある意味で、筆者と開発者との戦いであり対決だ。
セルフガソリンスタンドでも『WRIST PAY』を使ってみた。はめている手袋がタッチパネル対応なら、それをいちいち取り外す必要すらない。
バッグか車載ストレージのどこかに眠っているスマホを出すこともない。
EdyのICチップが搭載されている『WRIST PAY』で、やたらと高い静岡市のガソリンを我が愛しのSVに込めてやることができる。
また、筆者はこんなシーンにも出くわした。
ちょっとした要件で静岡市から島田市へ出向いて帰ってくる途中、国道1号線の藤枝バイパスが夜間通行止めで通れないというアクシデントに遭遇してしまったのだ。
島田にはあまり行かないせいで、土地勘がない。何と筆者は、そこで1時間を空費する。さらに悪いことに、時刻は夜10時半。
帰り道に立ち寄るつもりだったスーパーマーケットは、10時に閉店している。仕方なく筆者は、ドラッグストアの駐車場にバイクを停める。
正直、今夜はもう疲れている。あまり難しいことはしたくない。ドラッグストアでカップラーメンとペットボトルの麦茶を買ったら、とっとと引き上げよう。
この日の朝から筆者の右腕に鎮座していた『WRIST PAY』は、疲れ切った独身男の神経を逆撫でせずに見事役目を果たした。
日常生活に点在するややこしさ、煩わしさ、そして面倒臭さから使用者を解放してくれるガジェットと形容するべきか。
配送は今年9月以降
『WRIST PAY』はMakuakeで1万6,500円からの応援購入枠を設けている(6月3日時点)。
ただし注文が相次いでいるようなので、この記事が配信される頃には早割の枠は全て埋まっているかもしれない。配送時期は今年9月以降。
今夏に間に合わないのはいささか残念ではあるが、日常生活をほんの少し豊かにしてくれる製品であることは間違いないだろう。
【参考】
第二弾!WRIST PAY|財布やスマホがなくてもOK!決済ブレスレット-Makuake
取材・文/澤田真一