「MaaS」普及に向けての課題
今後『MaaS』を普及させていくためには、いくつか解決しなければならない課題があります。どのような課題があるのでしょうか?
個人情報保護やスマホの利用
個人が特定されてしまうリスクなど、セキュリティの問題があります。『MaaS』は個人の移動情報を収集・統合して最適なサービスを提供する仕組みのため、個人情報保護が大きな課題です。
また料金の支払いは、基本的にスマホのアプリで行うので、安全性を懸念する人もいるでしょう。高齢者などスマホに慣れていない人の中には、利用に抵抗があったり、使いこなせなかったりするケースも考えられます。
携帯電話会社のネットワークに障害が生じた際には、スマホを利用できなくなるリスクもあります。ルート検索・予約・支払いができず、困る人が多数生まれる可能性もあるでしょう。
各交通機関の協力と自動運転車の普及
シームレスな移動を実現するには、各交通機関の協力は必要不可欠です。
しかし、独自に培ってきた貴重なデータを、これまで競合関係だった機関と共有することに抵抗を感じる機関は少なくありません。一定区間の定額乗り放題サービスの実現も容易ではないでしょう。
運賃の設定や変更には国土交通省の認可が必要で、各機関が独自に決めることはできません。実用化に向けて実証実験をする場合でも許可が必要となるため、スムーズに進まないケースも考えられます。
また、低コストで利便性の高いサービスを提供するには、自動運転車の普及が重要なポイントといえます。すでに実用化されつつありますが、本格的に導入されることで『MaaS』の普及が加速するでしょう。
日本での「MaaS」活用例
実際に『MaaS』を活用している企業もあります。活用例と共に、それぞれの特徴も紹介します。どのようなサービスなのか実際に使ってみて、『MaaS』を体験してみるのもよいでしょう。
トヨタ自動車「my route」
まだ全国展開はされていないものの、サービスエリアを拡大しつつあるのが、トヨタ自動車が主導している『my route』です。アプリでルート検索から料金の支払いまで完結でき、移動中の飲食店や観光スポットも簡単にチェックできます。
目的地を入力すると、電車・バス・タクシー・カーシェア・シェアサイクルなど、さまざまな移動手段を組み合わせた最適なルートが表示される仕組みです。バスの現在地など、一部の交通手段に関してはリアルタイムな状況も確認できます。
カレンダーと連携して、予定に合わせた最適ルートを提案してくれるため便利です。
参考:my route
JR東日本「Ringo Pass」
JR東日本が手掛ける『Ringo Pass』は、バス・タクシー・シェアサイクルをキャッシュレスでスムーズに利用できるアプリです。
アプリの地図上でバス停やシェアサイクルポート、タクシーの位置が確認可能です。
シェアサイクルは、大手2社のサービスが利用でき、約3万7000台が用意されています。アプリに登録済みのSuicaをポートのカードリーダーにかざすと電子錠が外れる仕組みになっており、簡単に利用できます。
東京都13区内であれば、どのポートでも貸出・返却ができるため便利です。
参考:Ringo Pass
構成/編集部