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最近ニュースでよく目にする「MaaS」とは?

2022.07.02

近年、政府が推し進めている『MaaS』とは、どのような取り組みなのでしょうか?社会や日々の生活がどう変わるのか、分かりやすく紹介します。普及に向けての課題や実際の活用例に対しても理解を深め、今後訪れる変化にスムーズに対応できるようにしましょう。

「MaaS」とは?

メディアなどで目や耳にする機会があっても、『MaaS』がどのような取り組みか漠然としていてよく分からないという人もいるのではないでしょうか?

そこでまず、『MaaS』がどのようなものなのか見ていきましょう。

次世代の交通システム

『MaaS』は、ITやAIなどを組み合わせた次世代の交通システムです。「Mobility as a Service」の頭文字を取ったもので「マース」と読みます。

電車・バス・タクシーなどの交通機関をシームレスにつなげ、効率性や利便性の向上をもたらします。

統合レベルの度合いに応じて5段階に分けられますが、2022年現在の日本は、各移動サービスのルート検索・乗車案内・料金・所要時間などの情報が統合されている状態で、これはまだ1段階目です。

さらに進んでいけば、検索から予約・決済まで一括で行えるようになります。また、観光・物流・医療・福祉・商業などと連携することで、地域が抱える課題の解決も期待されています。

参考:国土交通省日本版MaaSの推進

フィンランドで始まった取り組み

『MaaS』の起源は、フィンランドで導入された『Whim(ウィム)』というアプリを利用したサービスです。2016年に実証実験を済ませた後に実用化されました。

利用者は各自のライフスタイルに合わせて、複数の料金プランから選択が可能です。さまざまな交通機関が乗り放題になるベーシックなものから、週末のみレンタカーの乗り放題がプラスされたもの、タクシーやレンタカーも含め全ての移動手段を無制限に利用できるものまでそろっています。

いずれもアプリに目的地を入力すると、複数のルートと料金が表示され、希望のルートを選べる仕組みです。検索から予約、決済まで一括して完了できる便利さがメリットです。

フィンランドでは、『Whim』が普及したことで自家用車の利用が減り、公共サービスやタクシーの利用が増えています。

「MaaS」による社会の変化

渋滞している国道

(出典) photo-ac.com

『MaaS』が推奨されている理由の一つに、地域が抱える課題を解消できるという点が挙げられます。具体的に地域や社会はどのように変わるのでしょうか?

想定される主な変化を見ていきましょう。

都市の渋滞や環境問題を解消できる

東京などの大都市では、渋滞で移動に膨大な時間を取られてしまうケースが珍しくありません。お盆や正月休みの帰省ラッシュによる渋滞報道を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

『MaaS』が普及すれば、電車やバスなどを利用する人が増え、自家用車を手放す人が増加すると予測されます。道路を走る車の数が減れば、渋滞が起こりにくくなるというメリットがあるでしょう。

また、車から排出されるガスの量も減るため、環境問題の解消にもつながります。ほかにも、駐車場不足の解消や路上駐車の減少が期待できます。

地方の交通手段を確保できる

地方では、利用者が少ないため交通手段に限りがある地域が少なくありません。生活する上で自家用車が必須でも、高齢になれば運転が難しくなり、移動手段がなくなり困る人もいます。

『MaaS』を活用すれば、低コストで個々のニーズに合うサービスの提供が可能です。例えば、AIの活用で予約者それぞれの目的地への移動を最適化し、ドア・ツー・ドアでの移動が可能になったり、自動運転車を活用したりできるようになります。

また、それまで交通の便が悪く訪れる人が少なかった地方などは、交通手段の充実により人を呼び寄せることも可能になります。

交通サービスと観光を組み合わせ、ホテルや飲食店などの予約も一括でできるようになれば、観光地として地域の活性化も期待できるでしょう。

スマートシティを実現できる

『MaaS』によって、政府が近年推し進めている『スマートシティ』への変化も加速すると予測されています。

『スマートシティ』とは、ICTなどのテクノロジーを用いて都市や地域が抱えるさまざまな課題を解消し、新しい価値を創出し続けられる都市のことです。国民の生活の質や都市活動の効率化につながるため、今後の町づくりのベースになります。

例えば、『MaaS』によって公共交通サービスの利用者が増えれば、膨大なデータを収集・分析でき、人々のニーズに対応したスマートシティが実現しやすくなります。

移動途中の飲食店やイベントの案内、割引クーポンの提供など、さまざまな商業サービスと組み合わせた情報提供も容易にできるようになるでしょう。

「MaaS」による個人の変化

自家用車を運転する男性

(出典) photo-ac.com

自分たちの日々の生活に『MaaS』がどのような影響をもたらすのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。主にどのような変化が期待できるのか紹介します。

利便性が向上する

大きな変化の一つが、移動の利便性が向上するという点です。

テクノロジーを活用し、目的地へのシームレスなルート検索ができるだけでなく、予約から決済まで一括で完結できます。一定のエリア内であれば、電車やバスが乗り放題になる料金プランが実現されるかもしれません。

また、それまでバラバラだった各社の運行データが集約・分析され、移動に時間がかかるエリアや時間帯が明確になれば、交通手段が最適化され利便性が向上します。移動時間を短縮できたり、混雑を避けたりできるようになるでしょう。

低コストでシームレスなドア・ツー・ドアの移動サービスが実現すれば、高齢者や子どもでも安心して気軽に利用できるようになります。

生活や家計にゆとりが生まれる

移動手段が限られている地方では、自家用車での移動を余儀なくされる場合も珍しくありません

しかし『MaaS』が普及すれば、自家用車がなくてもスムーズに移動できるようになるため、車を手放したり台数を減らしたりできます。車の購入費や維持費を節約でき、家計にゆとりが生まれるでしょう。

また、ドア・ツー・ドアの移動が実現すれば、高齢者や子どもが自分たちだけで移動できるようになります。それまで高齢の家族や子どもの送迎に時間を取られていた人は、生活にゆとりが生まれるでしょう。

空いた時間を利用して仕事をすることも可能になり、就業率が上がる可能性も考えられます。家計にゆとりが生まれれば、人手不足の解消にもつながるでしょう。

「MaaS」普及に向けての課題

スマホを操作する男性の手元

(出典) photo-ac.com

今後『MaaS』を普及させていくためには、いくつか解決しなければならない課題があります。どのような課題があるのでしょうか?

個人情報保護やスマホの利用

個人が特定されてしまうリスクなど、セキュリティの問題があります。『MaaS』は個人の移動情報を収集・統合して最適なサービスを提供する仕組みのため、個人情報保護が大きな課題です。

また料金の支払いは、基本的にスマホのアプリで行うので、安全性を懸念する人もいるでしょう。高齢者などスマホに慣れていない人の中には、利用に抵抗があったり、使いこなせなかったりするケースも考えられます。

携帯電話会社のネットワークに障害が生じた際には、スマホを利用できなくなるリスクもあります。ルート検索・予約・支払いができず、困る人が多数生まれる可能性もあるでしょう。

各交通機関の協力と自動運転車の普及

シームレスな移動を実現するには、各交通機関の協力は必要不可欠です。

しかし、独自に培ってきた貴重なデータを、これまで競合関係だった機関と共有することに抵抗を感じる機関は少なくありません。一定区間の定額乗り放題サービスの実現も容易ではないでしょう。

運賃の設定や変更には国土交通省の認可が必要で、各機関が独自に決めることはできません。実用化に向けて実証実験をする場合でも許可が必要となるため、スムーズに進まないケースも考えられます。

また、低コストで利便性の高いサービスを提供するには、自動運転車の普及が重要なポイントといえます。すでに実用化されつつありますが、本格的に導入されることで『MaaS』の普及が加速するでしょう。

日本での「MaaS」活用例

自動車と地図アプリのイメージ

(出典) photo-ac.com

実際に『MaaS』を活用している企業もあります。活用例と共に、それぞれの特徴も紹介します。どのようなサービスなのか実際に使ってみて、『MaaS』を体験してみるのもよいでしょう。

トヨタ自動車「my route」

まだ全国展開はされていないものの、サービスエリアを拡大しつつあるのが、トヨタ自動車が主導している『my route』です。アプリでルート検索から料金の支払いまで完結でき、移動中の飲食店や観光スポットも簡単にチェックできます。

目的地を入力すると、電車・バス・タクシー・カーシェア・シェアサイクルなど、さまざまな移動手段を組み合わせた最適なルートが表示される仕組みです。バスの現在地など、一部の交通手段に関してはリアルタイムな状況も確認できます。

カレンダーと連携して、予定に合わせた最適ルートを提案してくれるため便利です。

参考:my route

JR東日本「Ringo Pass」

JR東日本が手掛ける『Ringo Pass』は、バス・タクシー・シェアサイクルをキャッシュレスでスムーズに利用できるアプリです。

アプリの地図上でバス停やシェアサイクルポート、タクシーの位置が確認可能です。

シェアサイクルは、大手2社のサービスが利用でき、約3万7000台が用意されています。アプリに登録済みのSuicaをポートのカードリーダーにかざすと電子錠が外れる仕組みになっており、簡単に利用できます。

東京都13区内であれば、どのポートでも貸出・返却ができるため便利です。

参考:Ringo Pass

構成/編集部

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