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禁止されているのに会社に副業をしていることがバレたらどんなペナルティーが想定される?

2022.05.15

コロナ禍でテレワークが普及し、浮いた時間で副業を始める会社員の方が増えました。

しかし、会社のルールで副業が制限されている場合、副業が会社にバレるとトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。副業をする際には、あらかじめ就業規則などのルールを確認しておきましょう。

今回は、副業が会社にバレた場合に想定されるペナルティや、副業に関する会社とのトラブルを防ぐための注意点などをまとめました。

1. 副業に関する社内ルールのパターン

副業に関する社内ルールは、就業規則などで定められています。主な副業ルールのパターンは、おおむね以下の4通りです。

①一律禁止

副業を一切認めないルールです。ただし、何ら条件を付けずに副業を一律禁止する社内ルールは、法的有効性について疑義が呈されています。

②許可制

会社が許可した副業のみを認めるルールです。副業を許すかどうかについては、会社の裁量が認められますが、不合理な理由で副業を拒否することはできないと解されます。

③届出制

副業を行う際には、会社に届け出ることを義務付けるルールです。会社の許可は必要ないため、許可制よりも副業に寛容なルールと言えます。

④自由

就業規則上の専念義務等に違反しない限り、会社の許可・会社への届出を要することなく、自由な副業を認めるルールです。

副業に取り組もうとする場合、まずは自社の副業ルールが上記のどれに該当するかを確認して、必要な手続きを取りましょう。

2. そもそも「副業」とは何か?

副業自由の会社を除いて、副業に対しては社内ルールによる一定の制限が課されます。

社内ルールで制限される「副業」とは何であるかについては、就業規則などで定義されていれば、原則としてその定義に従います。

ただし、一般的に「副業」とは言えないような行為まで広範に制限する内容の社内ルールは、従業員の権利を過度に制約するものとして無効となる可能性が高いです(民法90条、公序良俗違反)。

一般論として、ある行為が「副業」に該当するかどうかの判断に当たっては、以下のポイントが主に考慮されることになると考えられます。

①反復継続して行われているか

フリマサイト(メルカリなど)で単発的に中古品を売買する行為などは、副業に該当しないと考えられます。

②収入が発生しているか

収入が発生していなければ、それは「趣味」であって「副業」ではないと判断される可能性が高いです。

ただし、将来的な収入を見込んで取り組んでいる場合には、「副業」と判断される可能性があります(収益化を目指している過程のYouTuberなど)。

③まとまった時間を投下しているか

実働をほとんど要しない投資行為(株式・不動産)などは、副業に該当しないと判断される可能性が高いでしょう。

④実名で活動しているかどうか

実名で活動している場合には、副業に該当すると判断される可能性が高まります。

3. 副業が会社にバレたらどうなる?

就業規則などのルールを無視して副業をしていることが会社にバレた場合、人事評価が悪化することは避けられないでしょう。その結果、昇進の遅れやボーナスのカットなどに繋がるおそれがあるので要注意です。

また、副業に関する就業規則違反を理由として、会社から懲戒処分を受ける可能性もあります。

口頭や文書での注意(戒告・けん責)など、軽い懲戒処分で済めばまだよいですが、事情によっては減給以上の重い懲戒処分を受けることもあり得るので気を付けましょう。

ただし、就業規則違反の副業が発覚したというだけの理由で、懲戒解雇などのきわめて重い懲戒処分を行うことは、懲戒権(解雇権)の濫用に当たり違法となる可能性が高いです(労働契約法15条、16条)。

もし重すぎる懲戒処分を受けてしまった場合には、労働基準監督署や弁護士にご相談ください。

4. 副業に関する会社とのトラブルを防ぐためには?

副業が会社にバレるきっかけは、以下に挙げる例のように、思いの外たくさんあります。

・同僚が上司に告げ口する
・疲労、睡眠不足、注意散漫などによって勤務態度が悪化する
・税金、社会保険関係の支払いや申告から発覚する
など

そのため、会社に対して「副業が完全にバレないようにする」ことは不可能です。人事評価の悪化や懲戒処分のリスクを考えると、副業自由の会社を除いて、会社に無断で副業を続けることは危険と言わざるを得ません。

幸いにして、近年では副業を推進する方向で、社会的な意識改革が進んでいます。従来は副業を禁止していたものの、最近副業を解禁したという会社も増えてきました。

会社の業務をきちんとこなす中で、ご自身の成長や生活の充実のために副業をしたいということを会社に伝えれば、納得を得やすい社会環境が整いつつあります。

会社とのトラブルを防ぐには、隠れて副業をするのではなく、副業について会社の理解を得るよう努めることが望ましいでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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