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飲み残しのあるペットボトルはリサイクルできない?サントリーが取り組むボトルtoボトルの「水平リサイクル」活動

2022.05.13

2022年4月より「プラスチック資源循環促進法」が施行された。これは通称で、正式には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」という名称だ。

これは海洋プラスチックごみ問題や、これまで国内のプラスチックごみを資源として輸出していたアジア諸国が、中国を筆頭にプラスチック輸入の制限を始めたことから、国内で資源を循環させるために生まれた法律だ。

これはプラスチックの使用をただ制限するものではなく、「3R+Renewable」をいう新しい概念が掲げられている。

以前から言われている「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」に加え、どうしても使用しなくてはならない場合には、紙やバイオマスプラスチックなど、再生できるものに切り替えよう(R=Renewable」というものになっている。

具体的には、プラスチック製品を扱う事業者に対しては、プラスチック削減目標の設定や、プラスチックごみの排出を抑えること、プラスチック循環のための取り組みについての公表などが求められ、自治体に対しては分別回収や、必要に応じての再商品化が求められている。そして消費者には、今までサービスで提供されていたプラスチック製品の代替品を用意する必要が出てきたり、各自治体の指示に従い、これまで以上にごみの分別をしっかりするよう求められている。

回収されたペットボトル

プラスチックの分別・リサイクルというと、一番なじみがあるのがペットボトルだろう。しかし、今回の「プラスチック資源循環促進法」には直接的なペットボトルの表記はない。なぜなら、日本では街でも家庭でもペットボトルの分別収集がされ、なんと指定ペットボトル(飲料・特定調味料・酒類)の販売量に対する回収率は、2020年度で96.7%(※)を誇るからだ。

※出典:PETボトルリサイクル推進協議会
https://www.petbottle-rec.gr.jp/data/transition.html

回収されたペットボトルは、多くが再生処理業者により再商品化が進められているが、中でもひときわ注目を集めているのが「水平リサイクル」というシステムだ。ペットボトルに限らずさまざまな業界で活性化している「水平リサイクル」とはどんなシステムなのか? 今回はサントリー食品インターナショナル株式会社 戦略企画本部 佐藤慶一さんに、ペットボトルを例にその取り組みについて話を伺った。

サントリー食品インターナショナル株式会社 戦略企画本部 佐藤慶一さん

水平リサイクルとは、同じものから同じものへリサイクルすること

――水平リサイクルとは何か教えてください。

佐藤慶一さん(以下、敬称略):水平リサイクルとは、ある素材を用いた製品を使用した後に、リサイクルをしてまた同じ製品に戻すリサイクルをいいます。当社の場合だと、使用済みのペットボトルをしっかりリサイクル処理をし、また飲料用のペットボトルとして使えるものに戻す取り組みとなります。

――水平リサイクルに取り組むメリットは?

佐藤:例えばペットボトルはプラスチックの一種なので、原料に石油を使用してつくっています。水平リサイクルによって、新しく石油のような化石由来原料を使わずに、何度もペットボトルとして循環できるという点と、この取り組みにより、二酸化炭素の排出量が従来より60%削減できる点に、大きなメリットがあります。

――アパレルでもペットボトル由来の素材が使われていたり、ペットボトルは既にさまざまなものに再利用されていますが、水平リサイクルにこだわる必要はあるのでしょうか。

佐藤:ペットボトル自体が素材としては非常に優秀で、食品トレーや卵パック、衣類などいろいろなものに再利用することができます。しかし一度そういうものになってしまうと、今の技術ではもうペットボトルに戻れません。なので我々としては、新しい石油原料を使わないという意味でも、ボトルtoボトルの水平リサイクルという循環できる形が一番環境にとって良いことなのではないかなという想いで取り組んでいます。

――現在、サントリーで販売している製品のうち、どれくらいがリサイクルしたペットボトルが使われていますか。

佐藤:2021年末の数字で、全体の37%がリサイクルのペットボトルになります。業界全体としては、2020年度の数字で15%ですが、我々は比較的早くから研究し取り組んでいたので、これくらいの数字が出せている状態です。

食品を入れる容器という安全面と技術面の難しさ

――ペットボトルをまたペットボトルにするのは、素人のイメージでは簡単に思えますが、実は難しいことだとか。

佐藤:一番の難しかった点としては、飲料を入れる容器をリサイクルしてまた飲料を入れるので、安全性をどう保つかというのが、一番の課題でした。

――確かに、着るものや雑貨との一番大きな違いはそこですね。

佐藤:何をもって「ペットボトルに人体に影響を及ぼすような物質が入っていない」と判断するかという明確な指標がなかったので、2011年に、サントリーとリサイクラーである協栄産業と一緒に研究をして、安全性の評価手法を開発して論文として公表しました。

それにより、世間からのリサイクルで出来たものに対する不安なイメージを払拭したかったですし、自分たちだけでそれを囲っても仕方ないので、業界全体の評価基準となるように公表した次第です。

――ほかの難しさもありましたか。

佐藤:もう一度ペットボトルに戻すということの技術自体が難しかったですね。2012年に、我々が飲料業界で初めてリサイクル素材だけを使ったペットボトルを導入しましたが、そこから10年取り組んでいるので、今のような状況が作れているのかなと思います。

ペットボトルとして成型する前の、いわばペットボトルの赤ちゃんのような状態

――以前から環境負荷の少なくするための取組みをずっとされている中で、今は「水平リサイクル」に至ったということですね。

佐藤:そうですね。サントリーは企業理念として「人と自然と響きあう」ということを、社会との約束として掲げており、環境負荷の少ないものを選んでいきたいという想いがあります。

最初はペットボトルの軽量化から始まりまして、30年くらい前はサントリー天然水2Lのペットボトルは80gくらいありましたが、現在は30gを切ってきています。軽量化はかなり進み、これ以上軽くしてしまうとお客様が持ちにくいという問題が出てきて、この軽量化=Reduceという点では、そろそろ限界を感じています。そこで次に環境負荷を下げる方法は何かと考えたときに、水平リサイクルに行きついたというわけです。

消費者にできる水平リサイクル推進のためのアクション

飲み残しなど中身の入っているペットボトルは人の手で選別される

――より水平リサイクルを推進するために、消費者側でできることはあるのでしょうか。

佐藤:ご家庭ではけっこうしっかり分別されたり、すすいだり、ラベルやキャップを外していただけている状況なのですが、外の場合でも基本的には飲み残しをゼロにしていただくことですね。

――飲み残しがあると水平リサイクルできなくなるのですか?

佐藤:集められたペットボトルは、人の手でひとつひとつ仕分けされます。中身が入っていると、単なる飲み残しだけでなく、異物やゴミの場合も。基本的には中身が入るものは異物として除外していくことが多いのです。なので、やはり飲み残しがないだけでずいぶん変わりますね。あとは、できれば外でもキャップやラベルを外して捨てていただけるとありがたいです。

コンビニで回収されたプラスチックごみとペットボトルが混在したゴミ

――サントリーでは水平リサイクルを含め、今後の目標はありますか?

佐藤:サントリーグループで、2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルを、リサイクル素材あるいは植物由来100%のものに切り替え、新たな化石由来原料の使用ゼロの実現を目指していきます。

〇〇〇

日本はペットボトルをリサイクルボックスに捨てる習慣が根付いていることで、欧米よりも高い回収率を誇るものの、水平リサイクルによる再生ペットボトルの使用割合は、まだまだ改善の余地がある。それにはメーカーの努力のみならず、私たち消費者にも努力する余地がある。分別してリサイクルボックスに入れるだけでなく、飲み残しを無くす、キャップやラベルは外すなどの、もうひと手間をかけることでより確実にリサイクルに回せるような捨て方を意識していきたい。

・サントリーグループのサステナビリティに関する7つのテーマ
https://www.suntory.co.jp/company/csr/

取材・文/安念美和子

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