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世界最高水準を誇る日本のペットボトルリサイクル率、キリングループが目指す「プラスチックが循環し続ける社会」

2022.04.20

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

日本のペットボトルのリサイクル率は世界最高水準

海洋プラスチック問題がクローズアップされる中で、ペットボトルが海岸に漂着したり、海面に浮かんだりする映像から「ペットボトル=悪」の認識が広がっているが、海洋におけるプラスチック類の漂流ゴミの中では漁網、ロープ、ブイが過半数を占め、ペットボトルの割合は7.3%となっている。

プラスチック製品生産量の中でもPET樹脂の占める割合は3.5%に過ぎず、しかもペットボトルの有効利用率は98%と、実はペットボトルは環境課題の中では優秀な容器といえる。

日本におけるペットボトル販売量は増加傾向にあるが、日米欧のPETボトルリサイクル率を比較すると、2020年度では欧州の39.6%、米国の18%に対し日本は88.5%と、世界最高水準のリサイクル率を維持している。

だが、回収されたペットボトルが再びペットボトルになる水平リサイクル率は15.7%しかなく、多くはシートや繊維などにカスケードリサイクルされている。一度カスケードリサイクルされると再びペットボトルにすることはできず、結果的に多くのペットボトルは1回しかリサイクルされていない=持続的ではない状況にあり、ボトル toボトルのリサイクル率を上げるのが課題のひとつだ。

もう一つの課題が、回収の際に生じる廃ペットボトルのロス。ペットボトルの回収は自治体や、スーパー・コンビニ等の事業系からの資源回収が96.7%に及ぶが、可燃・不燃ごみに混入されごみ処理されるものが3.3%ある。また、自動販売機の脇に設置されているリサイクルボックスには3割強の異物が混入されており、異物によってペットボトルが汚れて、リサイクルしにくくなるなどの影響がある。

こうした課題から、ペットボトルの持続的な循環に向け、清涼飲料業界や社会での取り組みが進んでいる。2021年4月に、清涼飲料業界の業界団体である一般社団法人全国清涼飲料連合会が、清涼飲料業界として 2030年までにペットボトルの水平リサイクルである「ボトル to ボトル」の比率50%を目指すことを宣言し、取り組みを開始した。

2021年 6月には、プラスチック使用製品の設計からプラスチック使用製品廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクルに関わるあらゆる主体におけるプラスチックの資源循環の取り組みを促進するための措置を盛り込んだ「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が成立。2022年4 月より施行された。

キリングループの「プラスチックが循環し続ける社会」への取り組み

「キリングループの環境ビジョン2050」において、容器包装は4つの重大テーマの一つに位置付けている。「プラスチックが循環し続ける社会」として、容器・包材、ペットボトルの回収、技術開発(ケミカルリサイクル)に取り組んでいる。

〇容器・包材

2022年4月に「キリン 生茶」をリニューアル。新容器を採用し、パッケージのラベルを短尺化することで、約40%、年間約180tのラベルにおけるプラスチック使用量を削減。

角形ボトルを新たに採用し、1パレット当たりの積載ケース数(525ml商品)が48ケースから60ケースになり、1パレットあたりの積載効率が1.25倍になった。

ラベルレス6本パック用の紙製包材も短尺化して、ラベルレスであることをより認識しやすくしている。また、「キリン生茶 」(555ml)についても、再生PET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の順次導入拡大を年内に実施する。

5月24日から「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」と「キリン ファイア ワンデイブラック」のラベルレス商品を EC 限定で新発売。ミネラルウォーターに次いで飲用頻度の高い無糖商品についてもラベルレス商品を導入する。2商品の発売で、年間約 4.5tのプラスチック使用量削減が可能となる。

ペットボトルをペットボトルにリサイクルするボトル to ボトルについては、2019年6月より「キリン 生茶デカフェ」がR100ペットボトル化を実現。2021年以降も「生茶」ブランドでR100ペットボトル導入を拡大している。

大型の2L ペットボトルの軽量化は2003年より継続しており、2003年以前は63gだったものが2019年には28.3gに。軽量化しても強度が保てる「スパイラル型の溝」というボトル設計技術のイノベーションが大きく貢献した。

〇ペットボトルの回収

2021年7月からローソンと共同でペットボトル店頭回収実証試験を開始。ローソン店頭に空ペットボトル回収機を設置し、一般の客から直接使用済みペットボトル回収を行う。インセンティブとして、5本につきPonta ポイント1ポイントを付与し環境啓発にも貢献する。

回収機で回収したペットボトルは店舗で保管。キリンビバレッジの子会社である東京キリンビバレッジサービスの自動販売機オペレーションルート車両を活用して、自販機オペレーション業務中に集積したペットボトルを回収する。リサイクラーへ再生ペット資源として搬入、再生ペットを使用しR100製品を製造して販売する循環型のモデルとなる。

回収対象のアイテムは、「100ml~2Lまでの容量のラベル・キャップを外したペットボトル」で、ガラスびんやアルミボトル缶については投入できない、あるいは投入しても回収されない仕組み。

設置後の状況については、レベル・キャップのついていない高品質なペットボトルが97%回収されており、来店する客もリサイクルに対して高い意識を持っていることがうかがえる。6月からは、使用済みペットボトル容器回収の実証実験を、埼玉県内のウエルシア約190 店舖で順次実施していく。

〇技術開発(ケミカルリサイクル)

リサイクル量を拡大するには、ペットボトル樹脂以外のPET樹脂の再資源化を実現して、ペットボトルにとどまらず、ペット全体の循環利用を目指す必要がある。

現在、国内で流通するほとんどの再生ペットボトルが「メカニカルリサイクル技術」を使用している。これは廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で、熱や真空により揮発成分の除去や物性調整を行ったペットに調製する方法。

「ケミカルリサイクル技術」は、廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いたうえで、化学分解処理を行い、ペットの分子レベルまで分解、精製したものを再びペットに合成する方法。繰り返しリサイクルしても品質劣化がないことや、原料はペットボトル以外の形態(フィルム・シート)の素材も使用できるのがメリットで、ペットボトルに使用される PET樹脂約55万tを含む、約 182 万tの PET樹脂がリサイクルの対象になるため、リサイクル量拡大に貢献できる。しかし、コスト面が課題となっており、国内では現在1社が実用化しているものの、再生ペットボトルとしての流通量は少ない状況だ。

2020年からキリンと三菱ケミカルの共同事業を開始。ケミカルリサイクルについて開発を進めている。オープンイノベーションも交えながら、ケミカルリサイクルしたペットボトルの実用化を目指している。

また、キリングループの強みである「発酵・バイオテクノロジー」を活かし、国立大学法人静岡 大学および 大学共同利用機関法人自然科学研究機構とともに、2022 年1月より酵素による PET リサイクル技術の確立に向けた共同研究を開始した。

ファンケルとは2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同での取り組みを進めてきており、環境分野においてもケミカルリサイクルの技術開発・実用化を中心に連携を開始する。

2021年月より、キリンビバレッジのペットボトル入り清涼飲料の生産時に排出されるキャップを再生樹脂に加工した素材を、ファンケルのグループ会社であるアテニアの化粧品容器の一部に採用。これによりキリンビバレッジはペットボトルのキャップの約3~4割の再利用を実現し、アテニアは再生樹脂を採用することで、従来本製品に使用していた新規プラスチック量の約4割を削減することができるようになった。

【AJの読み】生活者がより協力できる体制づくりを

近所にあるスーパーには数年前から、ペットボトルを投入すると粉砕して回収される回収機が設置されている。ラベル・キャップは必ず外す、容器はつぶさない、汚れているものは洗浄して出すという条件があるが、持ち込む人達はきちんとこのルールを守っている。ペットボトル飲料が多く消費される夏場は、回収機の前に列を成している状態だ。

回収したペットボトルの本数によってポイントが付くインセンティブが一番の動機だと思われるが、ポイントに関係のない自治体の資源ごみ回収でも、ルール通りの状態できちんと分別されて出されている。生活者の環境保護意識の高まりも背景にあり、日本におけるペットボトルのリサイクル率が高いというのは日々肌で感じている。

ポリ袋と並んで環境汚染の悪役にされがちなペットボトルだが、業界では、ここまでリサイクルや環境負担軽減に努力していることが、今回のキリングループのセミナーでわかった。

きちんと分別してリサイクルするために、家族には外で使用したペットボトルも持ち帰らせているが、暑い時期は使用済みペットボトルを1日に5~6本処理する。中には外しにくいラベルもありとても煩わしく、出たラベルはプラゴミになってしまう。一生活者としては、ラベルレスの推進に一層力を入れて欲しいところだ。

文/阿部純子

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