海外メーカーにも注目!
東京モーターサイクルショーには海外メーカーも出店しています。話題を呼んでいたのはスウェーデンのメーカー、ハスクバーナが作った初のアドベンチャーバイク ノーデン901。
ハスクバーナのノウハウが詰まっていて、オン・オフ問わず長時間快適に走ることが想定されているのだそうです。
先ほどのVストロームの直線的なデザインとは対照的に、エッジの少ないまろやかなカウルが特徴的です。ところがこれだけ優しい線で構成されているのに、なぜかワイルドさを感じるのです。不思議だなぁ。
「ダックス125の対抗馬」なんて密かに囁かれているのが、タイの二輪メーカー フェニックスエンジニアリングのガンナー125。
なんと、現代では珍しいキャブレター仕様!一直線に伸びた円柱型の車体に潔さを感じます。
これまで発表されていた50㏄と110㏄よりもひと回り大きく、エンジンも縦型に。跨ってみると、シートが曲面になっているため、まるで魔法使いの箒に乗っているみたい。不思議な座り心地でした。
バイク大国、タイの遊び心を感じますね。
二輪メーカー以外のブースも要チェック!
モーターサイクルショーの面白さは、二輪メーカーの展示だけではありません。パーツメーカーや出版社、そのほかバイク関連企業のブースも目白推しなのです!
こちらはパーツメーカー キジマのブース。
アウトドア感満載にカスタムしたカブたちが揃っていました。
キジマの方々、きっと実際にバイクに乗っていて、ツーリングも大好きなんだろうなぁ。痒いところに手が届くようなカスタムに愛が詰まっていた気がします!
なかなか見かける機会がないカスタム車もありました。プロトのGEV600は、第一種原動機付自転車(50㏄以下)の区分の電動バイク。
この車両はアグリデザインという名前の、農業目的のカスタム車。軽トラックの代わりになるようなスクーターを目指しているのだそうです。
車体の右側に取り付けられているのは、なんと草刈り機!ニッチな需要にこたえてくれる頼もしさを感じました。
レンタルバイクの大手 レンタル819のブースには、サーロンのEVモトクロスバイクの展示がありました。
レンタル819が運営する、電動バイクのためのモトクロス施設『e-Trail Park』は、前から気になっていたんです!
施設内には簡単なものから上級者向けまで、レベルに応じてステージが用意されているのだそう。初めてバイクに乗る方でも安心です。
現在は神奈川県海老名市に1店舗のみですが、今後は南箱根、軽井沢、浅間などに関連施設がオープン予定ということです。今年、絶対に行くぞ~!
「なるほど」と思ったのは、レディスサポートスクエア。女性のみが入れるエリアでした。
人気車種に跨れるというのは、そこまで珍しくない展示内容なのです。一番の重要ポイントは、自分がバイクに乗った姿を確認できるよう、車両ごとに鏡が設置してあるところ!他のブースの車両展示では、乗り心地や足つきなど、主観でのチェックしかできません。
バイクに乗った自分の姿を客観的に見られる展示は新鮮!コレって意外と、バイク購入の大きな決め手になるような気がします。
おまけに、足つきが悪い車両に関してはローダウン済。身長の低い方の不安をあらかじめ取り除いているところに、レディスサポートスクエアの優しさをたっぷりと感じました。
体験ブースも充実!
MFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)コーナーでは、トライアル競技用の車両にまたがる体験ができました。
これまでのブースとの違いは、バイク本体が固定されていないということ。つまり、自分でバランスをとってスタンドする必要があるのです。…と言っても、私は最後までうまくできず、車体後部を係員の方に支えていただきました。
競技用車両のシートにはクッションが入っていません。最低限お尻をおくための固い台がついているだけ。レース中はほとんどの時間スタンドした状態で走るそうで、選手の体力と筋力の強さを思い知らされました。
ヘルメットメーカー SHOEIのブースでは、HUD内蔵ヘルメット『OPTICSON』の体験ができました。(HUDとは、ヘッドアップディスプレイの略)
ヘルメットに内臓されたディスプレイに、ナビの道案内や時計、到着予定時刻などが映るシステムを開発中なのだそう。
私が頭を入れている装置では、制作中のOPTICSONのディスプレイが再現されています。
まだテスト機っぽさはありますが、目の前に文字が浮かび上がる様子には、かなり未来を感じました。まるでSF映画みたいです!
安全に走るために
バイクに乗っている間は、常に事故の危険を孕んでいます。東京モーターサイクルショーには、ライダーの身体を守るための、ライディングウェアのメーカーも出展しています。
コミネのブースには、実際に転倒したと思われるウェアの展示がありました。
穴が開いていますが、破れ切ることなく原型を保っています。特にダメージを受けている肘はプロテクターが守ってくれているため、おそらく大怪我はせずに済んだのではないでしょうか。
もしもこの事故に遭ったライダーが半袖シャツを着ていたらと思うと、ゾッとします。
無限電光は、ライダー用のエアバッグを作っている老舗メーカー。
ヒットエアーエアバッグシステムは、ライダーが事故に遭って空中に投げ出されて約0.1~0.2秒後、瞬時に膨みます。プロレーサーや警察の間でも使われている実力派商品です。
ブースには、膨らんだ状態のエアバッグが展示されていました。ギュッと握っても凹まないぐらいにたくさん空気が入っています。
アウトドアアイテムも充実
近年のアウトドアブームの波は、バイク業界にも大きく押し寄せています。オリジナルギアを取りそろえる用品メーカーも増えてきました。
デイトナには寝袋やテント、テーブルやチェアなど、ほぼすべてのキャンプギアが揃っています。薄いグレーを基調としたテントは、デザインもシンプルでカッコいい!
NANGAとダブルネームで販売しているシュラフは、オーロラライト400DX ツーリングエディション。収納袋に防水シェルを使用した特別仕様です。
ツーリング中は、雨から荷物を守るのに苦労します。バイク用品メーカーだからこその心遣いが嬉しいですね。
ラフ&ロードで特に気になったのは、春から秋ぐらいまでは使えそうな薄手の寝袋、ラフダウンシュラフ600FP。
白とオレンジのカラーリングがオシャレだし、収納時のサイズがφ14×27cmとコンパクト。触った感じもフカフカで、かなり使い勝手が良い予感がします!
最後はMOTO FIZZシリーズで有名なタナックス。テーブルとしても使えるサイドバッグ、ツアーシェルケース2と、ツアーシェルケース オプションテーブルを見に来ました。
「便利だな~」なんて思いながら眺めていたら…テーブルの上にはなんと、世界一臭い食べ物と言われる『シュールストレミング』の缶詰が置いてあったのです!
慌てて「コレ大丈夫なんですか!?」と聞いたところ、スタッフの方が笑いながらフタを開けてくださいました。中身は空っぽ、嗅いでも一切何も感じないぐらいにキレイに洗浄してありました。
シートバッグキャンプギアの展示品はもちろんですが、ユーモアのある小ネタにも楽しませてもらいました。
丸一日遊びました!
すべての展示をじっくりと見て回っているうちに、気が付けば閉館時間になっていました。なんと8時間も会場にいたことになります!
3年ぶりにモーターサイクルショーに参加してみると、バイクのトレンドが変わっていたり、新しい技術が登場していたりと浦島太郎みたいな気分になりました。
まだまだ盛り上がりそうなバイク業界ですが、私もライダー&ライターとして、このビッグウェーブに乗って思う存分楽しんでいくぞ!
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.