小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

「日本人の足型に合ったシューズを」クライミングシューズメーカー・ペルアドラの飽くなき挑戦

2022.03.25

東京オリンピックの新競技として採用されたスポーツクライミング。日本人選手がメダルを獲得したことも記憶に新しい。パリ五輪、ロサンゼルス五輪にも採用されることが決まっており、今後ますます注目度が高まっていくスポーツの一つだろう。いま、このクライミング界で注目を集めている企業がある。SASUKE選手としても知られる川口朋広さんが取締役を務めるクライングシューズメーカー「ペルアドラ」だ。この国内メーカーの急躍進には、多くのクライマーを悩ませる“ある問題”が深く関係していた。

「クライミングシューズ=痛い」なのか?

気軽に楽しめるスポーツとして人気の「ボルダリング」。私たちの生活圏の中にボルダリングジムがオープンすることも増えてきて、仕事帰りや休日にクライミングシューズを片手に近所のボルダリングジムで軽くワークアウトをする――そんなシチュエーションも珍しくなくなってきたように感じられる。

競技人口が増えてきた今だからこそ改めて考えたいのが、「クライミングシューズ=痛い」は本当に正しいのかという点だ。

クライングシューズは、ソール(裏面)、つま先、ヒール等が摩擦力の高いラバー製になっており、そのフリクションは壁やホールドを登る際に強力なサポートとなってくれる。一方で、足場となるホールドをしっかりと踏めるように、つま先やかかとに“余り”が出ないサイズを履く必要があったり、『ダウントゥ』(※1)や『ターンイン』(※2)といった普通のスニーカーには見られない特徴もあり、痛みを我慢しながらクライミングシューズを履いているクライマーも多い。

(※1)つま先側が下方向に向かってカーブを描いたシルエットのこと。つま先でホールドを踏みやすくなる。
(※2)親指側に向かってカーブを描いたシルエットのこと。より親指でホールドを踏みやすくなる。

いま、この問題に真っ向から挑戦する企業がある。クライミングシューズメーカー『ペルアドラ』だ。今回インタビューに応じてくれた取締役の川口朋広さんもクライミングシューズの痛みと戦ったことのある一人だった。

「僕も初めて買ったマイシューズが痛すぎて5分と履き続けることができなかった。ボルダリングジムに行っても、課題を登ったらすぐに靴を脱いで痛みを和らげ、また登りたくなったら痛みに我慢して靴を履く。その繰り返しでした。クライミングを『足の痛みとの闘い』と言う人もいましたが、『ボルダリングをもっと楽しみたいと思ってシューズを購入したのに、シューズが痛すぎて逆にモチベーションが下がってしまう』というのが僕はすごく嫌だった。でも、どれだけ探しても痛くないクライミングシューズは売ってなかった。だから、無いなら俺が作ってやる!と痛くないクライミングシューズの開発に挑戦することにしたんです」

川口朋広(かわぐち・ともひろ)
1981年生まれ。株式会社PER-ADARA(ペルアドラ)取締役。2008年に『SASUKE』(TBS系列)の第21回大会で本戦に出場して以降、何度も出場しファイナルステージに進出したこともある実力派SASUKE選手。ある時、SASUKE名物『クリフハンガー』のデモンストレーション(試登)でトップクライマーがいとも簡単に成功させたことを見て、2013年ごろから本格的にボルダリングをはじめた。

“自分のため”ではなく “日本人のため”のシューズ

試行錯誤している内に、川口さんはさらに大きな目標を掲げるようになる。

「自分のためだけじゃなく、日本人のためのシューズを作りたい」

そもそもクライミングシューズ市場は『LA SPOLTIVA』や『SCARPA』をはじめとする欧米のメーカーが圧倒的なシェアを占めている。しかし痛くないシューズを探している内に川口さん辿り着いたのは「日本人の『足型』には欧米メーカーの製造するクライミングシューズは合っていない」という結論だった。

「もちろん『ダウントゥ』や『ターンイン』といったクライミングシューズならではの特徴も痛みの原因ですが、一番の原因は『足型』でした。僕もそうなのですが、日本人に多い足型の特徴を挙げるなら『幅広』『甲高』『偏平足』です。一方で欧米人は幅も厚みがなく全体的に足が細いタイプが多い。そのため同じサイズ(足長)でも日本人は欧米人に比べて足の『容積』が大きくなりがちなんです。それが既存のクライミングシューズがきつく感じる理由だったんです。だから僕が会社を立ち上げて世界ではじめての“日本人のためのクライミングシューズ”を作ることにしたんです」

そして2017年5月、株式会社ペルアドラを設立。川口さんが“痛くないクライミングシューズ”を作ろうと思い立ってから3年近くが経っていた。同年12月には世界初となる、日本人による日本人のための国産クライミングシューズ『K-0 1 JAPAN LINE』が発売された。

「念願が叶ってやっと発売できましたが、まだまだスタート地点でした。『K-01』を色々な方に履いてもらったおかげで、次のシューズのアイデアが生まれたんです。そして2019年9月には『S-01』が誕生しました。『K-01』に比べ全体的に柔らかく仕上げ、『ターンイン』も緩やかにすることで、また違った足型の人でも痛くないシューズにすることができました」

ペルアドラ社2足目となる『S-01』。日本人の足型に合わせて、ダウントゥやターンインは軽くし、幅を広くデザインした。また、日本人はかかとの骨が薄いという特徴にも合わせヒールカップは浅めに設計している。その結果、ハイエンドモデルでありながら快適な履き心地のシューズになっている。

ボルダリングを楽しめるシューズを見つけてほしい

「昔はSASUKE選手の川口のシューズということで手に取ってくれる方もいましたが、今では僕が開発したシューズとは知らずに履いてくれている人も多い。純粋にクライミングシューズが評価されているという事なので嬉しく思います。

痛みに我慢するほど攻めたシューズが必要になるのは、ジムクライマーの上位数パーセントだけでしょう。多くのクライマーにとってはボルダリングを楽しめるシューズのほうがずっと大切なはずです。今後、ペルアドラではこれまでとはまた違った足型にフォーカスをしたシューズを作っていきたいと考えています。痛くないクライミングシューズを探していている人にとって『ペルアドラだったら見つかる』というクライミングシューズメーカーになりたいですね」

クライミングシューズ選びに絶対の答えはない。これからボルダリングを始める人にも、すでにボルダリングを楽しんでいる人にも、川口さんが自分なりの答えを追求したように、“自分にとっての最高の一足”をぜひ見つけてほしい。

ペルアドラクライミングジム横浜

2022年3月19日に横浜ワールドポーターズ内にオープン。横浜みなとみらいエリア初となるボルタリングジム。ボルダリングジムだけでなくショップも併設しており、ペルアドラのシューズを実際に手に取って試し履きすることも可能。

【HP】https://www.peradra-gym.com/
【住所】神奈川県横浜市中区新港2丁目2−1 横浜ワールドポーターズ5F
【TEL】045-222-2201
【営業時間】平日10:30~23:00/土日祝10:30~21:00(休業日は横浜ワールドポーターズの休館日に準ずる)

取材・文/峯 亮佑

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。