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ビジネスで小さなコンセンサスを積み上げていくことの意味

2022.03.17

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、小さなコンセンサス(合意)を積み重ねることの意味について考えたい。ビジネスには様々な合意があり、通常はそれに基づき、進めていく。ところが、この合意を一方的に、相手の了解を得ることなく、覆す人がいる。

 私が巻き込まれた一例を挙げたい。それは、250ページほどの社史(会社の歴史)だった。社員数300人ほどの出版者の30代半ばの編集担当者(一般職)と組んで、2021年4月に編集制作をスタートした。

その時期から、私が都内の中堅企業に7回伺い、役員や管理職、社員など計20人にインタビューする。それが終わるのが、7月末。その後、11月末までに250ページを書き終える。編集担当者が250ページ分の原稿を読み、写真やグラフなどをレイアウトし、1冊の本にまとめる。それを終えるのは、2022年1月末。私のところへ原稿料70万円が振り込まれるのが、2月末。

 こんな流れで進むことが、2021年4月に編集担当者と私の間で決まった。私としてはこのスケジュールを信じ、進めていた。仮に変更がある場合、当然、編集担当者から事前に連絡があり、話し合いでどうするかを決めて調整するものだと思っていた。常識に即して考えれば、こうだろう。

 その常識は、私だけのものとなった。編集担当者は当初のスケジュールをこちらに連絡することなく、次々と変えた。異変に気付き、私がメールや電話で確認すると「先方(都内の中堅企業)の意向だから、自分がスケジュールを変えた」と答える。そんな合意はなかったはずだ。当初のスケジュールを一方的に変えたことの説明やお詫びはない。

 例えば、昨年8月の1週目から3週目まで私から送ったメールの返信がない。電話をしても、つながらない。編集担当者は、夏季休暇で海外旅行だった。8月4週目に「都内の中堅企業も全社で夏季休暇のため、こうせざるを得なかった」と私には回答した。それならば、その旨を私に伝えるべきなのだ。これが、小さなコンセンサスを積み重ねるということではないだろうか。

 その後も、「中堅企業が…」といった言い分でスケジュールを一方的に後ろへずらす。その都度、本が出来上がる日が遅れ、私のもとへ報酬が振り込まれる日もずれる。しかも、私が中堅企業の広報担当者に確認すると、「全社で夏季休暇などしていない」と言い、編集担当者の言い分とまるで違う。私は困り果て、編集担当者に何度も電話やメールをしたが、また返信がない。Facebookで編集担当者のプロフィールを見ると、現在30代半ばで、20代から数年ごとに転職を繰り返していた。しかも、新卒時の入社の難易度が相当に低い出版社や編集プロダクションばかりだった。

 スケジュールを一方的に後ろへずらすのが10数回に及びながら、スタート時のスケジュールよりも2か月遅れて、現在、本になりつつある。私のもとへ報酬が振り込まれるのも2か月遅れとなった。私は私生活の事情もあり、それを受け入れることができない。不本意ながら編集担当者の上司と数回話し合い、こちらが被害を受けてきたことを事実にもとづき伝えた。当初の支払い時期の2月に全額を振り込むように交渉し、その通りになった。その上司も、「(部下である編集担当者への指導、育成には)困っている」と話していた。

 私は、トラブルを起こす人の過去をよく調べる。過去に必ず、ヒントがあるからだ。ネットを使うと、ある程度わかる場合がある。その人たちにはいくつかの共通項がある。1つは新卒時の入社の難易度が低い、小さな会社を数年で辞め、他の会社に移るものの、すぐに辞めることを繰り返している。つまりは、人事に大きなひずみや課題がある会社だ。

 私が2006年からフリーランスになり、仕事をしてきた範囲で述べたい。例えば出版や広告業界ならば、最上位のグループ(3番以内)よりもワンランク下の4番~20番以内になると、トラブルメーカーは目立ち始める。その下のクラス(21番~)になると、一気に増える。

 フリーランス=自営業をしていると、お金のトラブルに巻き込まれると、とにかくツライ。肉体、精神が持たないような苦しみに遭う。家族にも被害や損害は飛び火する。経験論で言えば、合意事項を話し合いすらなく、一方的にキャンセルしたり、変えてしまう相手とは仕事はしないほうがいい。泣きを見る可能性が高い。会社員は何をしても、守ってもらえる。自営業にそんなものはなく、最悪な場合、人生が破綻し、家族も路頭に迷う。その時に、相手は絶対に責任を取らない。

「小さなコンセンサスを積み重ねることで、信用・信頼をつくる。その誠実な姿勢がない人と仕事をするべきではない。そんな人から得るものなんて、何もない」。私が、20代後半の頃(1997年)に上司から教わったことでもある。

文/吉田典史

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