コーン・フェリーが「2022年・世界報酬動向調査」の結果を発表
世界の企業がポストコロナへ向けて舵を切る中、日本企業の報酬はどの程度回復傾向にあるのだろうか。
国際的コンサルティングファームのコーン・フェリーではこのほど、2022年・世界報酬動向調査の結果を発表した。世界中で賃金の回復傾向が鮮明になる中、日本の昇給率は世界でも最低レベルの2.1%と予測されている。
本調査は2021年12月から2022年1月にかけて、116カ国5,042人の参加者からの回答を得た。調査回答者は人事担当者が中心で、企業の規模、地域、所有形態は多岐にわたる。例年、秋に調査を実施し、12月に結果を発表しているが、今年に関しては2022年初めの報酬アップ予測が不透明であることがクライアントへのヒアリングの過程で明らかになったため、調査時期を遅らせた。
調査結果のハイライトは次のとおりとなる。
・回答者の90%が、2022年の昇給予算総額の中央値が2021年半ばに計画したものよりも増加したと報告。
・回答者の44%が、今年、従業員のほとんど、あるいは全員を昇給させると回答。
・西ヨーロッパでは2.9%、太平洋地域では3.0%、北米では3.4%の昇給が見込まれるのに対し、東ヨーロッパ、アフリカ、新興ヨーロッパはいずれも6%、南米は7.5%と世界的に最も高い昇給を見込んでいる。
・新たな人材獲得競争の中で、サインオンボーナス(入社時一時金)、リテンションペイメント(残留特別手当)、その他の特別なインセンティブやボーナスプログラムなど、厳選された現金報酬プログラムの利用が増加。
・優秀な人材を採用し、維持するために、非金銭的報酬を重視する企業が増加。非金銭的報酬の一例として、従業員とのコミュニケーションとインクルージョンの効果を高めるための投資、組織の優先順位と自分の仕事が会社のミッションやパーパスとどのように関わっているかの理解促進施策、個人のキャリア開発機会についてのより明確な説明、など。
日本の報酬調査責任者からは以下のコメントが寄せられている。
「先行き不透明な事業環境で基本給の底上げに経営側は慎重になりますが、社員の貢献に適正に報いることは事業を持続するうえで不可欠です。世界の企業はポストコロナの対応に移行しつつあることが本調査からうかがえました。
コロナ禍での賃金減への対応、同一労働に対する社内不均衡の是正、事業継続に必要な人材確保(報酬の市場競争力維持、社員のリスキル、多様な働き方への対応)など、報酬を決定する要素は複雑さを増しています。
報酬制度や賃金実務を担当する部署だけではなく、採用、人材開発、事業部人事と共に、中長期的な視点で報酬政策を構築することが求められているのではないでしょうか」(コーン・フェリー デジタル部門カントリーリーダー 岡田靖代氏)
以下のリンクから、主要国の昇給率一覧グラフを含むフルレポート(英語)を閲覧できます。
https://www.kornferry.com/insights/featured-topics/employee-experience/compensation-practices-and-salary-increase-projections-2022
出典元:コーン・フェリー・ジャパン
構成/こじへい