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現場管理職の8割が「この10年で管理職に求められることが変わった」

2022.03.01

管理職の79.8%が、この10年間で管理職に求められることが変わったと回答

GAFAMに代表されるビッグテック企業の台頭、いまだ猛威を振るう新型コロナウイルス、声高に連呼されるDXというキーワード…。

まさにVUCA時代と呼ぶにふさわしい予測できない環境変化が発生しているここ数年間で、企業が管理職に求めることは大きく変わった。

今や9割超の管理職が、プレイヤー業務とマネジメント業務のどちらも担うプレイングマネージャーの役割を求められているといわれていることもその変化の一つだ。

また働き方改革の推進やリモートワークの導入など、働き方が多様化する中で、一般社員(非管理職)が管理職に求めることも変わってきている。では企業で働く管理職、そして一緒に働く一般社員が日々の仕事を通じて実感する管理職像の変化と実態はどのようなものなのか。

ラーニングエージェンシーは5,099名へのアンケート調査を行い、この10年間で管理職に求められる役割がどのように変化したのかを現場の管理職、そして一般社員の視点から解き明かした。

1.約80%の管理職が、管理職に求められることが10年前と比べて変化したと回答

10年前と現在を比較し、求められる管理職像が変わったと回答したビジネスパーソンは52.9%(図1)。そのうち、管理職の回答だけでみると「変わった」と回答した人は79.8%にも上った。

ここから先の設問は、求められる管理職像が10年前と比べて「変わった」と回答した方のみに尋ねた。

2.コンプライアンスやモラルを最重視。また正解を持つ管理職像から、自身もプレイヤーとしてスキルアップを続けながら、対話を通じ正解を一緒に考える管理職像へと変化

現在求められている管理職像は「コンプライアンスやモラルを重視する(82.7%)」が最多。そして「時間内で効率的に終わらせる(75.9%)」「自ら何をすべきかを定義し、遂行する(70%)」「個人としてのスキルアップを志向する(68.4%)」「対話を重んじる(67.7%)」と続いた(図2)。

数多くのコンプライアンス違反に関連する企業不祥事の報道やパワハラ防止法の施行、働き方改革、プレイングマネージャーが当たり前となったことなど、世の中の動きが反映された結果と推察される。

また、10年前と現在の求められる管理職像で、最も減少した項目は「トップダウンで物事を進める(10年前:77.2% 現在:15.4%)」。続いて「部下に自分の模倣を求める(10年前:62.4% 現在:7.2%)」、「前例を踏襲する(10年前:58.8% 現在:15.1%)」。

管理職とは正解を持っていること、それを部下が模倣し成果を出すことが10年前の管理職の姿だったのだろう。しかし、これまでのやり方が通用しないほど、会社を取り巻く環境変化が大きくなった結果、管理職自身が正解を指し示すことが困難となり、対話・ボトムアップで正解を一緒に考え動くことが求められるようになったのだと推察される。

3. 管理職像は、現状と期待に大きく乖離が。ボトムアップが期待されるが、現状は未だトップダウン

管理職が実際に担っている役割で多かったのは「コンプライアンスやモラルを重視する(50.2%)」「トップダウンで物事を進める(44.5%)」「企業利益を重視する(43.4%)」「リスクヘッジを徹底する(42.1%)」「前例を踏襲する(41.3%)」でした(図3)。その傾向は、10年前に求められていた管理職像と合致する部分が多くみられる。

さらに現在求められている管理職像に対して、管理職が実際担っている役割とのズレを確認した。スコアに大きく差があった項目は「自ら何をすべきかを定義し、遂行する(-40.9pt)」「ボトムアップで物事を進める(-40.2pt)」「時間内で効率的に終わらせる(-38.8pt)」「前例にないことを行う(-38.7pt)」「対話を重んじる(-35.3pt)」「部下に自分とは異なる強みの発揮を求める(-34.3pt)」でした。この結果から、実際の管理職像は、10年前に求められていたものから現在求められているものへと変化の途上にあることがうかがえる。

4.従業員の働きがいを生み出すのは管理職の振る舞い

管理職像が変化した理由は、「働き方が多様化した(68.4%)」が最多、「市場環境が変化・複雑化した(52.2%)」と続いた(図4)。新型コロナウイルスをきっかけにリモートワークなどの働き方改革が加速し、また今まで通りのビジネスのやり方ではうまくいかないケースが多数発生した。これらの変化が管理職像へ大きく影響を与えたと推察される。

続いて「従業員満足度や従業員の働きがいを重視する世の中になった(42%)」も上位に挙がっている。管理職のふるまいが「従業員満足度や働きがい」へ影響を与えることを、管理職・一般社員どちらも自覚しているといえるのではないだろうか。

5.管理職自身が重視するのはマネジメント力とコーチング力

管理職に求められるスキルや知識のうち、特に重視されるようになってきたものを尋ねる質問では、「マネジメント(60.4%)」が最多で6割超え。次いで「IT・デジタルに関するリテラシー(45.1%)」「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(40.9%)」が続いている(図5)。

また、管理職の回答に着目すると「マネジメント(68.4%)」と「コーチング(50.1%)」の2項目は一般社員の回答を大きく上回った。 人を動機づけ、動かし、成果を出すことが求められる一方で、それが十分にはできていないという管理職自身の課題感が反映されているのではないかと推察される。

6.まとめ

本調査結果より、この10年間で管理職に求められることが大きく変化した。

10年前に管理職に求められていた役割は、経営層の方針・指示を解釈し、所属部署の社員に確実に遂行させるトップダウン型や、過去のやり方を踏襲すること、そして部下に自らの模倣を求めることだった。これらの背景には、10年前には高い成果を出すための定められた手順が存在し、その手順通りに実行する経験を積み重ねることで仕事の品質・効率が増すという前提があったことが推察される。そのため管理職には、定められた手順を一般社員が確実に遂行することを管理する役割が求められていたともいえる。

しかし、新型コロナウイルスに代表される大きな外部環境の変化により、働き方や働く場所、会社のビジネスそのものが大きく変わることを強いられた。またコンプライアンスやモラル遵守の高まりにより、成果が上がりさえすれば方法にはこだわらないというビジネスの慣習も変わった。これらの結果、現在の管理職には様々な働き方をする部下・同僚と、これまでにないやり方を模索しながら成果を出すボトムアップ型へと変化することが求められている。そして環境変化のスピードに追い付くべく、品質よりもスピードを優先して実行することが管理職に期待されるようになった。

更にこの期待に応えるために、管理職自身が自らの能力開発を怠らないことが必要だ。この感情に対して会社は、どのような成長の機会を提供すべきか、もう一度見直すとよいだろう。

具体的なスキルに焦点を当てると、マネジメント力を向上する必要性がある。ここでいうマネジメントとは先に述べた通り、手順通り遂行されているかを管理することよりも、数値やタスクの管理、加えて人を動機づけることなどが当てはまる。

また、部下が主体的に自ら考え行動することを促すコーチングのスキルを、多くの管理職が重要と感じています。これは管理職の役割が「自身の考えや指示通りに部下を動かすこと」ではなく、「一人ひとりの能力の可能性を見出し、活かすこと」であると管理職自身が認識していることのあらわれといえる。

求められる管理職像が大きく変化した一方で、実態は複数の項目で移行中であることが分かった。そしてこの移行は管理職だけが変化すればよいものではない。管理職像の移行に伴い、一緒に働く一般社員にも管理職との関わり方を変えていくことが求められるのではないだろうか。

ラーニングエージェンシー「求められる管理職像の変化に関する調査」より

構成/ino.

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