調整した『グロース株』との向き合い方とは?
今年に入り、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の引き締めを前倒しで進めるとの見方が強まり、米長期金利が大きく上昇したことから、米国株式市場はハイテク株など『グロース株』を中心に大幅に下落した。
米国を震源地に『グロース株』の調整は世界の株式市場に波及している。こうした状況下、これまで株式市場のけん引役となってきた『グロース株』とどのように向き合えばいいのか。三井住友DSアセットマネジメントのマーケットレポート「調整した『グロース株』との向き合い方」を見てみよう。
【ポイント1】ITバブル崩壊時のAmazon株大暴落の事例を振り返る
過去の『グロース株』の大きな調整局面の事例として、2000年のITバブル崩壊時のAmazon.comを取り上げる。同社は1997年5月に上場し、上場初日の終値は1.96ドルだった。業績は2003年に黒字転換するまでずっと赤字続きだったが、インターネット普及に伴うEC(イーコマース)の成長期待から株価は急騰していた。
しかしながら、2000年に入りITバブルが崩壊すると、Amazon株も急落し、1999年12月10日につけた高値(106.69ドル)から2001年9月28日の安値(5.97ドル)まで▲94.4%下落するという歴史的な大暴落を演じた。
【ポイント2】多くの投資家がろうばい売り
アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、2010年までに自社の顧客全員がワイヤレス端末で買い物をするようになるだろうと予言していた。しかし、当時は株価バブルの崩壊とリアルなビジネスのトレンドを一緒にした多くの人々が、優秀なIT経営者の戦略を夢か幻とみなしてしまっていたのだ。
この時期の同社の業績は離陸直前で、安値で株を売った投資家は、その後の莫大な利益を逃すことになった。このような例はAmazonだけでなく、Apple、Microsoftなど多くの『グロース株』に見られる。
【今後の展開】『グロース株』は長期投資が成功の秘訣
グロース相場には必ずその長期的な上昇過程において大きな下落が生じる。それは実力を伴わない似非グロース企業を振り落とす局面ともいえ、この危機を乗り越えた企業が次の上昇局面で恩恵を受けることになる。このことは長期的に株価を決めるのは業績であることを指し示している。
『グロース株』投資を行うには長期の投資期間を持つことが求められる。もし、長期的な業績成長の見通しが有望な企業があれば、一時的(2~3年にわたることも)な群衆心理のブレに付和雷同せず、あくまで長期的な成長のトレンドをもとに、振り落とし局面でのパフォーマンス悪化に耐えられるよう保有額を限定するなど、リスクをコントロールしつつ投資を継続することが高いリターンを得る秘訣と考えられる。
構成/ino.
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構成/DIME編集部