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税率は企業によって異なる?覚えておきたい「法人税」の計算方法と法人にかかる他の税金の基礎知識

2022.03.07

資金繰りに関わってくる『法人税』は、会社経営に携わる人が把握しておきたいことの一つです。どのような税金なのか、税率や算出方法・申告・納付方法も含めて詳しく紹介します。法人にかかるその他の税金も知り、知識を深めましょう。

そもそも法人税とは?

『法人税』と『所得税』が同じだと思っている人もいるかもしれませんが、実際には異なるものです。まずは、『法人税』がどのようなものなのか、『所得税』との違いも含めて解説します。

法人の所得にかかる税金

『法人税』は法人が得た各事業年度の所得に対して、課せられる税金のことです。『法人』には株式会社や有限会社だけでなく、協同組合や公益法人・医療法人なども含まれます。

一方、『所得税』は個人の所得に対してかかる税金です。個人事業主が事業で利益が出た場合は、『所得税』を支払います。ただし、個人事業主でも一定以上の利益が出る場合は、『法人税』を納める方が納税額が少なくなるケースもあり、法人化を検討する人もいます。

参考:法人税|国税庁

法人税率について

(出典) photo-ac.com

法人税の税率は、どのように決められているのでしょうか?2022年3月現在の税率や、対象となる所得について紹介します。過去から現在までの税率の推移についても見ていきましょう。

法人税にかかる税率は均一ではない

『法人税率』は一律ではなく、資本金の規模や所得によって変わります。例えば、普通法人を例に挙げると、資本金が1億円を超える場合は『23.2%』です。

資本金が1億円以下の法人では、年間所得のうち800万円以下の部分に一部の例外を除き『15%』が課税されます。800万円を超える部分には『23.2%』の法人税がかかる仕組みです。

適用される『法人税率』は年度ごとに見直されますが、所得が800万円以下の中小法人などに対する軽減税率が延長されています。もともと800万円以下の部分にかかる税率が『15%』になるのは2021年3月31日までで、その後は本来の軽減税率である『19%』に戻る予定でした。

しかし2021年の税制改正で、軽減措置が2年間延長され、2023年3月31日まで『15%』が適用されると決まっています。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

法人税の対象となる所得

『法人税』は所得金額に対してかかりますが、売上収入そのものが所得金額に該当するわけではありません。所得金額は、『益金額』から『損金額』を差し引いた金額で、『課税所得』とも呼ばれます。

『益金』は製品販売によって得た売上や雑収入を指し、『損金』は原材料費や人件費・支払利息などのことです。どちらも『法人税』の規定に基づき算出されます。

法人税の推移をチェック

過去30年ほどの推移を見てみると、年々、法人税が引き下げられている傾向があります。現在の基本税率は『23.2%』ですが、中小法人の年間所得のうち800万円以下の部分にかかる軽減税率は、2023年までの期間限定で『15%』です。

ピークは1984年で、基本税率が『43.3%』・軽減税率でも『31%』でした。税率が引き下げられている理由の一つは、より幅広く税負担を分かち合う仕組みを推し進めているためです。

ただ、法人住民税や法人事業税・地方法人税などもかかり、それらをトータルした『実効税率』は現在でも20%代後半です。政府が掲げていた目標には達していますが、世界的に見ると、やっとグローバルスタンダードに到達した程度といえます。

参考:法人税率の推移|財務省

法人税の算出方法

(出典) photo-ac.com

法人税の実際の算出方法を知ることで、事前にどの程度かかるのか把握できます。具体例も挙げるので、実際に算出する際に役立てましょう。

税金の計算方法

『課税所得』に該当する『税率』を掛けた額が、『法人税額』になります。所得が多いほど、税負担も多くなる仕組みになっています。

『課税所得』は、『益金』から『損金』を差し引いた額です。資本金が2000万円で課税所得が500万円の場合は、税率は『15%』です。したがって、『500万円×15%=75万円』が法人税額となります。

資本金が同じでも、課税所得が900万円の場合は、800万円までが『15%』で、800万円を超える部分が『23.2%』になります。つまり、『800万円×15%=120万円』と『100万円×23.2%=23万2000円』を足し、合計で143万2000円を支払う必要があります。

中小法人には税制上の優遇が多い

『中小法人』とは、事業年度終了時に資本金もしくは出資金が1億円以下の企業です。中小法人は800万円以下の課税所得に対して軽減税率が適用されるなど、税制上の優遇が多い仕組みになっています。

2009年には、中小企業の800万円までの所得にかかる法人税率が、22%から18%に引き下げられました。現在は15%まで下がっており、今後も中小企業の負担軽減を図るために15%の軽減税率が2023年まで延長されます。

また、中小法人は試験研究費に関わる税額控除を受けることも可能です。基本的に青色申告書を提出する法人で、損金に試験研究費が含まれる場合に適用されます。

参考:
租税特別措置法|e-Gov法令検索
令和元年度 法人税関係法令の改正の概要|国税庁

法人税の申告・納付はどうする?

(出典) photo-ac.com

法人税は、どのように申告するのでしょうか?納付方法は三つあるので、それぞれのメリットとデメリットも併せて紹介します。

確定申告で申告する

『法人税』は、所轄の税務署に確定申告で申告します。申告期間は『事業年度終了日の翌日から数えて2カ月以内』です。

例えば、終了日が3月末の場合は5月末までに申告を済ませる必要があります。期限にあたる日が土・日・祝日の場合は、翌開庁日が期限です。

申告書は多種ありますが、『別表一 各事業年度の所得に係る申告書』が確定申告書に該当します。法人税の税額計算の欄に必要事項を記入しましょう。

参考:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁

納付方法1.現金納付

法人税を現金で納付する場合は、税務署や金融機関で納付が可能です。用意されている納付書に必要事項を記載して、税務署や金融機関の窓口で支払います。利用できる時間が限られているため、期限を過ぎてしまわないように注意しましょう。

納付金額が30万円以下の場合は、コンビニで納付することも可能です。早朝や深夜でも利用できるため、担当者が多忙でも無理なく納付できるのがコンビニ納付のメリットです。

現金で納める場合は、国税庁のサイトにある『確定申告書等作成コーナー』や、『コンビニ納付用QRコード作成専用画面』などを使ってQRコードを取得して納付しましょう。

税務署で確定申告をする際に、『バーコード付納付書』を依頼することもできます。

納付方法2.クレジットカード払い

法人税は『国税クレジットカードお支払サイト』を使えば、クレジットカード払いも可能です。金融機関やコンビニに足を運ぶ必要がなく、パソコンから手続きができます。

サイトでの手続きが期間内に完了していれば、実際の引き落としが期限を過ぎたとしても延滞税が発生しないのもメリットでしょう。手元に現金がない場合や、手続きがギリギリになってしまった場合などに便利です。

クレジットカードのポイントをためている場合も、クレジットカード番号での納付がおすすめです。ただし、領収書が発行されないほか、誤って納付手続きをしても取り消しができず、所轄の税務署に問い合わせなければならない点に注意しましょう。

国税クレジットカードお支払サイト

納付方法3.e-Taxによる電子納付

電子納税『e-Tax』を使って、法人税を納付する方法もあります。インターネットを利用して税金を電子的に納税できる仕組みで、さまざまな国税の手続きに使えるのがメリットです。

外に出なくても手続きができる上、申告期間内であれば手軽に申告内容を修正できるのもメリットといえるでしょう。

ただし、利用するためには事前準備が必要なので、面倒に感じる人もいるかもしれません。インターネット環境を整えるだけでなく、納付情報を発行するための手続きなどをする必要があります。

法人でご利用の方|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

法人にかかる税金はほかに何がある?

(出典) photo-ac.com

法人にかかる税金は法人税のほかにもあり、経営に携わる人はしっかり把握しておく必要があります。具体的にどのような税金があるのか見ていきましょう。

都道府県に納める「法人事業税」

『法人事業税』は、法人が各都道府県に納める税金です。法人は事業活動を行う上で、地方団体のさまざまな行政サービスを受けています。サービスを受ける法人が、地方自治体の必要経費を負担すべきというのが法人事業税の考え方です。

法人事業税は所得に対して課税されますが、税率は一律ではありません。法人税と同じように、資本金額と所得金額によって異なります。

例えば、普通法人で年間所得のうち400万円以下の部分には、軽減税率が適用され『3.5%』しかかかりません。しかし400万円超800万円までの部分には5.3%、800万円を超える部分には『7.0%』が課税されます。

参考:法人事業税・法人都民税|税金の種類|東京都主税局

地方税にあたる「法人住民税」

『道府県民税』と『市町村民税』を合わせたものが、『法人住民税』と呼ばれています。法人住民税は、会社がある地域に納める『地方税』です。

会社は事業活動を行うにあたり、都道府県や市町村からさまざまなサービスを受けているため、住民税を納める必要があるという考えに基づいて課税されています。

法人税額によって課税される『法人税割』と資本金などによって課税される『均等割』を足した額が、『法人住民税』の額です。どちらも自治体によって割合が異なるため、都道府県や地区長村のホームページで確認しましょう。

国・自治体に納める「消費税・地方消費税」

『消費税』は、物やサービスの消費に対して発生する税金です。消費者が負担し事業者が納付する仕組みになっているため、商品やサービスを売った法人は、消費者から支払われた消費税を納めなければなりません。

標準税率の『10%』は、『消費税率(7.8%)』と『地方消費税率(2.2%)』を足したものです。土地の譲渡や利子・保険料のように非課税のものや、酒類や外食を除く食品のように軽減税率が適用され『8%』が課税されるものもあります。

ただし、基準期間と特定期間の課税売上高が1000万円以下の場合は、消費税の納税が免除されます。法人の基準期間は前々事業年度で、特定期間は原則として前事業年度開始日から6カ月です。会社を設立したばかりで、基準期間がない場合も免税の対象になります。

参考:消費税の仕組み|国税庁

構成/編集部

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