インクルージョンの導入を成功させるには
実際にどのような動きをしていけば、企業におけるインクルージョンを実現できるのでしょうか?組織として・推進に携わる担当者として、できる取り組みを三つ紹介します。
インクルージョンの考えを広める
インクルージョンを実現させるには、まず従業員の意識を変える必要があります。そのためには、『インクルージョン』がどのようなものなのか・なぜ必要なのか・どのようなメリットがあるのかなど、概念や考えを広く知ってもらうことが大切です。
自分とは異なる属性の人に対して、無意識に偏見を持っている従業員も珍しくありません。価値観を変えることは簡単ではないため、研修やセミナーなどを利用し、時間をかけて意識改革を進めていく努力が必要です。
会社や自分にとってプラスになる試みだと理解し納得できれば、一人一人が取り組みやすくなり実現に近づくでしょう。
必要な設備・制度を整備する
従業員それぞれが満足できる状態こそ、『インクルージョン』が実現した環境です。そのために必要な設備や制度を見極め、取り入れていく施策が成功につながります。
例えば、育児や介護の必要がある人が働きやすいように、時短勤務や在宅勤務を取り入れている会社もあります。遠方から通勤する人の負担軽減にはフレックスタイムの導入と、さまざまな人の立場で考えてみるのがおすすめです。
施策を考えるにあたって、インクルージョンが特定の属性の人を特別扱いすることではないという考えが重要です。誰もが不満のない設備や制度を取り入れる意識を持ちましょう。
発言しやすい環境の整備
日本の企業では、立場や年齢などが理由で自分の意見を言えないことは珍しくないでしょう。しかし、お互いの個性を受け入れ能力を発揮できるようにすることが『インクルージョン』の概念でもあるため、誰でも発言しやすい環境作りが重要です。
一人一人が、異なる価値観や意見は企業の成長や発展につながるという意識を持てるように導きましょう。例えば、各部署で分け隔てなく自由に考えを述べられるミーティングを定期的に開いたり、上司が部下に意見を促したりするのも一つの方法です。
社員が平等に要望や考えを書いて送れる、専用のメールアドレスを設けるのもよいでしょう。
インクルージョンを導入している企業事例
実際に『インクルージョン』を実現している企業は多くあります。具体的な取り組みの事例を見ると、自社の施策を考えるヒントになるはずです。
三井住友カード
三井住友カードでは、経営戦略の一環として上司の意識改革を軸に『インクルージョン』を推進しています。育児や介護などのライフスタイルに合うよう、勤務場所や時間をフレキシブルに選べる制度を導入しています。休暇が取りやすい制度を設けているのも特徴です。
他にも同性パートナー制度を取り入れたり副業をできるようにしたりと、多様な人たちが満足して働ける試みを進めています。
参考:ダイバーシティ&インクルージョン推進|クレジットカードの三井住友VISAカード
日立製作所
日立製作所は『ダイバーシティ&インクルージョン』を経営戦略の一環に掲げ、さまざまな取り組みを行っている会社です。例えば、女性が能力を発揮できる環境を整えるために、定期的にサミットやイベントを開催しています。障がい者の雇用を積極的に行っているのも特徴です。
仕事とプライベートのバランスを重視した『働き方改革』に力を入れており、在宅勤務やサテライトオフィス勤務も取り入れています。仕事と家庭を両立しやすいよう、『育児・仕事両立支援金』など多面的な制度を用意しているのも参考になるポイントです。
参考:ダイバーシティ&インクルージョンの推進:サステナビリティ:日立
構成/編集部