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青色申告と白色申告との違い、説明できる?

2022.03.03

確定申告には、複数の申告方法があります。申告方法の一つである『青色申告』とは、どのような申告方法なのでしょうか?基礎知識や『白色申告』との違いを解説します。青色申告をするときの手順も、併せて押さえておきましょう。

青色申告とは?

事業や不動産所得を申告するとき、確定申告では事前に手続きを踏むことで『青色申告』を選択できます。どのような申告方法なのでしょうか?申告対象となる所得や基本的な仕組みを解説します。

確定申告の1つ

確定申告は、納税や控除の手続きのために行う申告です。個人事業主や法人が所得を申告するときは、控除が受けられます。

『青色申告』は、所得を申告する制度の一つです。複式簿記による帳簿をはじめ一定のルールに従って申告すると、青色申告で設けられた『特別控除』を受けられます。

所得を申告する制度には『白色申告』もあり、対象者はどちらかを選んで確定申告を行います。帳簿付けの手法が限定されているものの、青色申告のほうが控除のメリットが大きいため、個人事業主や法人は青色申告を選択するケースが多いでしょう。

あくまでも事業に関わる所得の申告方法であり、控除だけや給与所得を申請する際に青色申告は利用できません。

参考:No.2070 青色申告制度|国税庁

青色申告の対象になる所得

青色申告ができる所得は、一部に限られます。個人事業主や法人が申告する、『事業所得』が主な対象所得です。自営業者の多くは、青色申告の対象になるでしょう。注意点として、事業による収入であっても『雑所得』として申告する場合は青色申告ができません。

その他、『不動産所得』や『山林所得』も青色申告が可能です。不動産所得は、アパート・マンションなどの賃貸物件による収入が該当します。

山林所得は所有する山林の伐採や、譲渡によって得られる所得です。山林所得は状況によって所得の種類が変化し、事業所得や譲渡所得になるケースもあります。

対象となる所得を申告するときは、税制上のメリットが大きい青色申告の申請を検討しましょう。

青色申告と白色申告の違い

(出典) photo-ac.com

『青色申告』と『白色申告』には複数の違いがあります。申告方法を選ぶ前に、どこが違うのかを把握しておきましょう。主な違いは、『税制優遇措置』『申請の有無』『必要書類』『記帳の方法』です。

税制優遇措置の違い

青色申告には、最大65万円・55万円・10万円の特別控除があります。事前に青色申告を申請し、一定の基準を満たしていると判断されれば65万円か55万円の特別控除が認められる仕組みです。65万円・55万円の条件をみたしていない場合は10万円の特別控除が適用されます。

白色申告には特別控除がありません。ただ、申告の種類にかかわらず申告者全員が対象となる『基礎控除』は適用対象です。

基礎控除は、課税される『所得(収入から必要経費を引いたもの)』によって変わります。年間の合計所得が2400万円以下の場合は48万円です。2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下では16万円、2500万円を超えると基礎控除はなくなります。

独自の控除が上乗せされる青色申告は、税制優遇の大きい申告方法です。できるだけ節税をしたいと考えている場合は、青色申告が可能か事前に確認しておきましょう。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁

申請の有無

青色申告には事前の申請が必要です。原則、『対象年度』の3月15日までに『所得税の青色申告承認申請書』を税務署に提出します。

申請期限を過ぎた場合、対象年度は白色申告での申請です。ただし、年の途中で開業したときは例外的に期限が延びるケースもあります。

白色申告は、特別な申請が不要です。青色申告を申請したものの一定の基準を満たしていないとして受理されない場合も、白色申告になります。青色申告を考えている場合は、まず申請を検討しましょう。

必要な帳簿や書類

青色申告と白色申告では、必要な帳簿や書類が異なります。

青色申告の場合、原則として複式簿記による帳簿付けが必要です。青色申告の特別控除を受けるには、仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳を作成します。

白色申告の場合は簡易式の帳簿を作成するため、経費と売上が分かる帳簿が一つあれば問題ありません。保管義務はどちらも7年です。

また、青色申告者には、決算関係の書類や現金預金取引の関係書類の保存義務もあります。決算関係書類とは『損益計算書』や『貸借対照表』などで、こちらも7年間の保管義務があります。

現金預金取引の関係書類は、小切手の控えや通帳などです。保管義務は収入によって変化し、5〜7年となっています。

白色申告の場合も決算関係書類や業務に関係する請求書・領収書を保存する義務がありますが、保管義務は5年です。

記帳の難易度

青色申告で最大65万円の特別控除を受けるには、『複式簿記』かつ『発生主義』での記帳が必須です。

複式簿記は『借方』『貸方』という2種類の考え方で、取引を一つずつ記入していきます。簿記の知識がない場合は、難しく感じるでしょう。

発生主義は、売上が発生した時点で収入が発生したと考える方式です。反対の考え方の『現金主義』では、実際にお金が手に入った時点で帳簿付けを行います。

白色申告の場合は帳簿の記帳方式が定められていないため、単式簿記・現金主義で帳簿を作って問題ありません。

単式簿記や現金主義のメリットは、簿記の知識がなくても簡単に帳簿付けができることです。収入や使ったお金をそのまま記載すればよいため、難しくありません。家計簿やお小遣い帳のようなイメージで、帳簿を付けられるでしょう。

ただし、青色申告でも特別控除が10万円で問題ない場合は、現金主義や単式簿記を選択できます。帳簿付けが難しいと考えている人でも、特別控除以外の税制優遇を受けるために青色申告を検討する価値はあるでしょう。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

青色申告のメリット

(出典) photo-ac.com

青色申告には、さまざまなメリットがあります。複式簿記での記帳や事前申請の必要はありますが、特別控除や赤字の繰越といった税制上の優遇措置を活用すると大幅な節税につながるでしょう。

最大で65万円の控除が受けられる

青色申告には、3段階の控除があります。最も節税になる65万円の特別控除を受けるには、まず55万円の特別控除の適用要件を満たしていなければなりません。55万円の特別控除を受けるための要件は以下の通りです。

  • 事業所得か不動産所得がある
  • 複式簿記かつ発生主義で記帳し、それに基づいて申告書類を作る
  • 定められた期限までに申告書類を提出する

65万円の特別控除を受けるには、さらに期限までの電子申告か、『仕訳帳』『総勘定元帳』の電子帳簿保存が必要です。帳簿の保存も申告も紙で行う場合、特別控除の額は最大でも55万円にとどまります。

最大まで特別控除の額を増やしたければ、e-Taxで電子申告するか帳簿の電子保存を検討しましょう。要件を満たしていれば、紙の証憑書類もスマホで撮影するだけで電子保存ができます。

55万円の要件を満たさなければ特別控除の額は10万円となり、税制上のメリットが少なくなります。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

赤字の繰越が可能

青色申告をすると、赤字を3年間繰り越せます。

例えば開業1年目に100万円の赤字が出て、2年目に80万円の黒字になった場合、2年目までを損益通算して20万円の赤字と考えられるのです。さらに3年目に20万円の黒字が出ても、収益はゼロに戻っただけになります。

この場合、課税所得がないため、所得税を払う必要がありません。損失が繰越できない場合、どんなに1年のマイナスが大きくても翌年利益が出ればその分の税金を払う必要があります。

白色申告では、赤字の繰越はできません。年ごとに損失と利益に波がある場合は、青色申告をするメリットが大きいでしょう。

30万円未満の資産は一括計上できる

中小企業や農業協同組合など一定基準を満たした業者に限りますが、青色申告を選択すると『少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』を受けられます。

通常、一括で経費として認められる金額は10万円が上限です。それ以上の資産は『減価償却』といって分割して経費に計上しなければなりません。

例えば、業務用として25万円のエアコンを購入したときは、定められた耐用年数で割ったものを経費として毎年計上します。

しかし、青色申告をして特例が適用されれば、年間合計が300万円を超えなければ一括して計上できるのです。その年の利益が大きく経費を多くしたい場合、上の例でいうと25万円を全て経費として計上できることになります。

参考:「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について |国税庁

家族への給与・貸倒引当金を経費にできる

青色申告では、家族への給与を経費にできます。家族経営の店や事業では、大きな節税となるでしょう。もちろん、家族に給与を支払っているという事実は必要ですが、同一生計者の給与が経費となれば課税所得が減り、払う税金は少なくなります。

白色申告でも事業に専従する親族に対して控除はありますが、最大で年間86万円までです。それ以上に給与を支払う場合は、青色申告が適しています。

また、『貸倒引当金』を経費にできるのも青色申告の特徴です。取引を行ったものの代金の回収が難しいときに、回収できなかったことによるマイナス分を経費として計上できます。

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