仕事への取り組み方や部下への接し方などを学ぶのに役立つビジネス書を厳選。いずれも有名な本ばかりなので、すでに読了した人も多いとは思うが、再び読み返してみると、仕事に関する気づきを改めて得られるはずだ。
ここに紹介するのは、お金や仕事をテーマにした「経済小説」と、チームをまとめたりプロジェクトを遂行したりするのに役立つ「マネジメント本」の10冊だ。
経済小説の5冊は「仕事」や「お金」がテーマで、金融や行政などの業界が物語の舞台になっている。読んで勉強になることはもちろん、奥深い人間ドラマも読みどころだ。新聞やWebサイトの経済記事を読むよりも具体的なイメージをつかみやすく、経済やビジネスの知識を吸収できる。
マネジメント本の5冊は、経営者や管理職など一部の人のためのものではなく、組織で働く人々すべてにとって重要な考え方がまとめられている。自分の会社の経営理念やビジョンを知ること、生き生きと働くための組織づくりに参加することなどを学べる。
経済小説
様々な課題と向き合う地方自治体の再生物語
祥伝社『プラチナタウン』【文庫版】
著/楡 周平 785円
経済小説の人気作家が描く地方創生の物語。出世街道を外れた商社マンの山崎鉄郎は、泥酔した弾みで中学時代の同級生から頼まれた故郷の町の町長職を引き受けてしまう。帰郷した緑原町は60歳以上が人口の半数以上。めぼしい財政基盤もなく、150億円の借金を抱える破綻寸前の自治体だった……。
〈ココが学びポイント!〉私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえに常識が通じないもどかしさに直面する中で〝老人向けのテーマパークタウン〟を誘致しようとするなど、主人公・鉄郎の仕事に対する取り組み方は実に見習うところが多い。
出向を命じられた銀行員による書店の立て直し劇
PHP研究所『会社を潰すな!』【文庫版】
著/小島俊一 880円
倒産寸前の書店チェーンに出向を命じられた銀行員・鏑木健一が主人公。経営に無知な女性経営者と、鏑木を敵視する6人の店長とともに、書店経営の立て直しに挑むビジネスエンターテインメント。
〈ココが学びポイント!〉著者は赤字の書店チェーンをV字回復させた実績を持つ。物語に説得力があり、決算書やマーケティングなどを学べる。
日本経済の再生にハゲタカファンドのマネージャーが挑む
講談社『ハゲタカ』【文庫版】
著/真山 仁 上巻 880円/下巻 825円
敏腕ファンドマネージャーとして頭角を現わした鷲津は外資系投資ファンド「ホライズン・キャピタル」の日本法人代表として帰国する。大手都市銀行の不良債権処理で成功を収めた鷲津の目的とは!?
〈ココが学びポイント!〉つぶれかけた会社を安く買い、企業価値を高めて成功報酬を得るなど、日本経済の再生を目論む鷲津の仕事ぶりは必読だ。
伝説の営業マン山野井から教わった本当に大切なこと
ダイヤモンド社『僕は明日もお客さまに会いに行く。』
著/川田 修 1760円
生命保険会社に勤める「僕」こと三井総一郎は、伝説の営業マン・山野井に指名され、営業の仕事に携わる。その際に山野井から教わったのは営業の技術だけでなく、人間として本当に大切なことだった。
〈ココが学びポイント!〉プルデンシャル生命保険全国2000人のセールスマン中、トップの営業成績を収めた著者による営業職の心得を学べる。
実在人物に基づき高度経済成長期の官僚たちを描く
新潮社『官僚たちの夏』【文庫版】
著/城山三郎 693円
主人公・風越信吾は、実在の通産省官僚・佐橋滋がモデル。国内産業の保護を訴える「産業派」と、国際化を目指して自由貿易を理想とする「国際派」の攻防を軸に、ストーリーが進行していく。
〈ココが学びポイント!〉高度成長期に、敗戦後の日本に誇りを取り戻そうとする官僚たちの熱い思いと、政界・財界を巻き込んだ闘争が見どころ。