営業職が受け持つ様々な業務において、紙からデジタルに移行できるタスクは多数ある。しかし、古くからの慣習などによって、なかなかデジタル化せず、いつまでも紙のまま…という業務もあるだろう。
アドビではこのほど、国内のビジネスパーソン1,500名を対象に、営業職の業務デジタル化状況に関する調査を実施した。
今回の調査では営業職の主要業務を5つ(経費精算/出退勤記録/日報などの報告書/社内稟議書類/社外との契約書)に絞り、業種別に比較した。その結果、デジタル化が最も進んでいなかった業務は「取引先との契約書」で、業種別に見ると不動産業のデジタル化が最も遅れていることがわかった。詳細は以下の通り。
デジタル化が最も遅れているのは「契約書などの社外との契約」であると62.5%が回答
主要5つの業務の中で、デジタル化が最も遅れていたのは「契約書など社外との重要書類」で、手書き署名や判子・捺印などの紙ベースで処理していると回答した割合は全体の62.5%という結果となった。
さらに、業種別で見ると契約書などの重要書類を紙で処理する割合が最も高いのが「不動産業」で73.3%、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業(72.6%)」、「卸売り・小売業(70.5%)」と7割以上の契約を紙で処理している実態がわかった。
一方で「保険業」では紙で処理していると回答した割合は36.1%と低く、電子署名/電子サイン利用率も27.8%(不動産では11.3%)と最も高い結果となり、業種によって大きく差があることが明らかになった。
こうした背景には、2020年からの新型コロナウイルスの流行に伴い、大手生命保険会社などが各種生命保険等のオンライン販売を開始し、顧客と一切会うこと無く契約が締結できるような非対面型営業を積極的に取り入れたことが大きな要因だと想定される。一方で、不動産業界で紙書類のやり取りが多く残る要因は、法規制により、紙の契約書の提出が求められていたことだと考えられる。
電子署名/電子サインの利用メリット、第1位「テレワークができるようになった(31.9%)」
主要5業務の中でいずれかを電子署名/電子サインで処理していると回答した人を対象に、電子署名/電子サインを利用して良かったと感じることを聞いたところ、最も多かった回答は「テレワークができるようになった(31.9%)」という回答で、電子署名/電子サインの導入がテレワークを促進している現状も明らかになった。
電子署名/電子サインを利用する際に困った理由、最多は「取引先で採用されていない・認められていない」
一方で、電子署名/電子サインの利用において困っている点も聞いてみたところ、最も多かったのは「取引先で電子署名/電子サインツールが採用されていない(電子署名/電子サインでの締結を認めていない)(29.2%)」と約3割が相手先の問題となっていることが明らかになった。
多くの営業現場では、相手先企業のルールや商習慣に業務処理の方法を合わせる必要があり電子帳簿保存法などの法律についての理解促進が重要であると考えられる。
アドビ株式会社 法務政策渉外本部 本部長 浅井孝夫氏は次のように述べている。「不動産業界においては、2022年5月に改正宅建業法が施行される予定で、従来紙の書面が必要であった『重要事項説明書』及び『契約内容記載書面』の交付において、利用者の承諾の上で電子手続での対応が可能となります。これにより、紙の手続きが多い不動産業界の状況も大きく変わることが期待されます。このように業務の電子化、効率化のためには、法改正を含む行政の動きが重要になってくると考えています。」
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
実施対象:1,500人(現在の職種が営業と回答したビジネスパーソン<業界別に15種100名ずつに分割して均等割付で算出>)
調査期間:2021年11月25日~2021年12月1日
出典元:アドビ株式会社
https://www.adobe.com/jp/about-adobe.html
構成/こじへい