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「熱波で食べていく文化を創る」あるフリー熱波師の挑戦

2022.01.23

「フリーランス」と聞くと、ライター、デザイナー、エンジニアといったパソコンを手に仕事をする職業が思い浮かびます。しかし、働き方が多様化している今、従来のフリーランスからは想像できない仕事も登場してきました。お祭り男Gotoさんもその1人。本業の傍ら、フリーの熱波師として活動しています。

今回の取材では、お祭り男Gotoさん(以下Gotoさん)にフリーの熱波師の仕事内容や魅力、今後の目標について伺いました。

たったの450円で非日常に。Gotoさんの熱波の技術

Gotoさんが主に熱波を行うのは、北海道十勝エリアの帯広市にある「ひまわり温泉」。1回の入浴料は450円です。ワンコイン以下の値段で非日常を感じられるというGotoさんの熱波は、入念な準備から始まります。

「熱波をする最低一時間以上前にはお店に行き、サウナのチェックをします。日によってサウナの温度は変わるので、サウナストーブの温度を調節したり、熱波の前に換気を行ったり。熱波で1番大切なのは、サウナの環境ですから。どんなに熱波師が頑張っても、準備の整っていないサウナでは意味がありません」

熱波サービスが始まると、熱々のサウナストーンにアロマ水をかけ、発生した蒸気を大判のタオルで仰いでお客様に浴びせます。Gotoさんは、「お客さんの健康に配慮して、熱波を行っている」と言います。

「熱波中は、後半に向けてテンションを上げていくことが大切です。徐々に熱くすることを意識していますね。最初から飛ばしてしまうと、後半までもたないお客様も増えてくるんです。

熱波師の仕事は、お客様に温まってもらうことなんです。どのように体の芯に熱を入れてもらうか。熱波師が1番目立つ位置にいるかもしれないですけど、主役はお客様であり、サウナです。熱波師はお客様が温まるお手伝いをする黒子だと思っていますね。

熱波の後のサービスにもこだわりをもっているんです。熱波後の休憩中に、夏は頭に氷水のアロマを掛けて、冬は背中一面にホットアロマを掛けます。お客様に『ととのう』感覚を得てもらうのが一つの目標ですね」

「どこでも行くので呼んでください」熱波だけの契約で全国へ

Gotoさんは、「フリーの熱波師」として活動されています。これまでは施設従業員が熱波を送ることがほとんどでしたが、Gotoさんのようなフリーランスの熱波師も徐々に登場してきています。

「施設従業員として熱波を行っている人は、熱波をしない時間は接客の業務や裏方の仕事をしていると思うんです。従業員として給料をいただいている。

僕のようにフリー熱波師という肩書きの人間は、熱波の契約だけなんです。主にひまわり温泉で活動はしていますが、従業員ではない。そのため、他のサウナ施設に行ったときに『熱波をやりたいな』と思ったら名刺を置かせてもらうこともありますし、直接オーナーさんとお話をすることもありますね。求めてくれる人がいるのであれば、全国どこへでも行きますよ」

GotoさんはSNSを使い、「フリーの熱波師」をアピールしてきました。その地道な活動が、活躍の幅を広げています。

「『フリーの熱波師ですよ』『どこでも行くので呼んでください』とSNSで発信している人は、僕の知る限りでは北海道にはいなかった。僕が初めてだったと思うんです。珍しいもの見たさじゃないですけど、ひまわり温泉での僕の活動を見た人が声を掛けてくれることが徐々に増えてきましたね。

例えば、北海道の釧路で月に1回熱波イベントの契約をしていただいたり、箕輪厚介さんと堀江貴文さんが企画されているサウナランドフェスに参加したり。旅行会社と提携して北海道サウナ旅のプロデュースにも関わっています」

全国のサウナで得た知識が、熱波師デビューにつながる

Gotoさんが本格的にサウナにはまったのは、2019年にオープンした東京・池袋にある人気温泉施設「かるまる」を訪れ、「ととのう」体験をしたことがきっかけでした。すっかりサウナにはまったGotoさんは、全国各地のサウナを巡ります。そこで得た知識が、熱波師デビューにつながりました。

「日本各地のサウナを巡っているときに、熱波を受けられる施設にも訪れていたんです。帯広市に帰ってきて熱波を受けられるサウナがないか探していたら、『ひまわり温泉』という施設が熱波を行っていることをYouTubeで知り、週1回通うようになりました。

ひまわり温泉で熱波を浴びるうちに、熱波師の方と情報交換をするようになったんです。『らかんの湯(佐賀県 御船山楽園ホテルの大浴場)ではほうじ茶のロウリュをやってたよ』だったり、良いアロマがあったら差し入れをしたりして。それを続けているうちに、『その知識をお客様に提供する側になりませんか』とお話をいただいて、2021年の3月にひまわり温泉で熱波師としてデビューしました」

ひまわり温泉のある十勝は、サウナの本場であるフィンランドと緯度経度が近く、自然や水質などの環境が似ていると言われています。フィンランドの駐日大使、ペッカ・オルバナ氏が十勝を訪れた際には、「日本のフィンランドサウナの聖地は十勝と理解しています」との言葉を残しました(注1)。

フィンランドでは、人口約550万人に対し約200万個のサウナがあり、人口の90%の人がサウナを楽しみます(注1)。生後数ヶ月で初めてサウナに入るとも言われており、サウナが文化として根付いているのです(注2)。

十勝では、フィンランドと似ている環境を活かし、サウナ王国を目指そうという動きがあります。宿泊施設や病院が集まって、十勝「サ国」プロジェクトが立ち上がりました。十勝のサウナ9施設のうち、4施設を日帰りで巡れる「サウナパスポート」が3000円で発行されたり、「SAUNA Monster」と呼ばれるグッズを販売したり、独自の取り組みを行っています(注3)。

「サウナ最高」十勝で熱波師のムーブメントを起こす

サウナに注目が集まる十勝ですが、「熱波はまだまだこれから」とGotoさんは言います。

「東京や大阪に比べて、まだまだ熱波をやれる施設が十勝には少ないんです。十勝をサウナ王国化する動きの中に、熱波師という仕事を組み込んでもらうのが一つの目標です。施設従業員ではなく、熱波師として仕事を得られる人を増やす。北海道に熱波で食べていく文化を創りたい。十勝という地域から、熱波師という仕事のムーブメントを起こしたいと思っています。

そのために、満足度の高いお客さんを1人でも増やして、熱波師になりたい人を増やしていきたいですね。熱波師を育てたいとの依頼があれば喜んで行きますよ」

Gotoさんにとっての熱波師とは、ただ熱波を送る人にとどまりません。Gotoさんの言葉から、確かなサウナ愛を感じました。

「僕の中の熱波師のイメージはサウナのスペシャリストなんです。熱波だけじゃなく、サウナの環境やマナーにも気を配れる唯一の人。そんなスペシャリストが各所にいるのが理想ですね。

僕はサウナに入るのも好きで、『サウナ最高だぜ』って思っているので、整備されたサウナが増えれば僕自身も嬉しいですし、魅力を感じてもらえる人が1人でも増えたら嬉しいです」

●熱波師 お祭り男Goto
Twitter:@Goto37910527

●ひまわり温泉
Twitter:@himawari_1137
TEL:0155484238

〈熱波師 お祭り男Goto イベント情報〉

●2022年2月13日 日曜日 釧路大喜湯昭和店(Twitter:@Taikiyu_spa
「大喜湯昭和店スペシャル熱波デー vol.8」出演予定

●十勝アヴァント2022にて、2月限定特別プラン「熱波プラン」に参加中

※アヴァント:凍った湖や川の氷に穴を空けて水風呂代わりにする、フィンランド式のサウナ

公式サイトURL:https://tokachi-sauna.com/avanto/

●合同会社十勝とやま農場のクラウドファンディング「北海道・十勝の畑と日高山脈を一望できる みんなのサウナ付き宿泊施設を作りたい。」のリターン、地元熱波師コラボプラン(土日限定)に参加中

クラウドファンディングURL:https://camp-fire.jp/projects/view/536609

〈参考〉
(注1)SODANE HTB北海道テレビ放送株式会社「フィンランド大使が十勝でサ旅!北海道のサウナ野郎パンダ・リー「ととのう道場」[92]ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使が十勝帯広でサウナトーク&サウナ視察!」
(注2)VisitFinland.com 「フィンランドのウェルビーイング」
(注3)十勝「サ国」プロジェクト

写真提供/サウナランドフェスin十勝(Twitter:@saunalands
撮影/浅見裕(Twitter:@azamixx821

取材・文/戸田考弘(Twitter:@tobio932189

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