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企業やスタートアップが提案するワーケーションの効果を最大限生かすヒント

2022.01.31

「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語「ワーケーション」は、すでに耳慣れたものとなった。実証実験も行われており、その効果も見えてきた。そうした中、ワーケーションはリモートワークの一つとして、また新しい働き方の一つとして、そのメリットをどう活かすことができるだろうか。

今回は、沖縄県が推進する「沖縄ワーケーション促進事業」の一つや東急リゾーツ&ステイによるワーケーションの取り組みから、その方法を探る。コロナ禍が落ち着いたら、これからの自由な働き方のひとつとして検討してみてはいかがだろうか。

「沖縄ワーケションテック・アイデアソン」

沖縄県は、豊かな自然や穏やかな雰囲気のなか、年間を通して密にならない屋外アクティビティが楽しめる沖縄の資源を活用しながら、心身ともにリフレッシュして生産性の高い仕事ができる「沖縄ウェルネスワーケーション」を提案している。

その沖縄ウェルネスワーケーションで得られる、アイデア発想力、ユニークな思考力、集中力、生産性向上などの効果を、専門家監修のもと科学的に検証している。また連動して、パナソニックやライオンといった大手企業やスタートアップなど業種や専門分野の異なる6社が、沖縄各地でのワーケーション体験を通じてアイデア創発しピッチに挑む「沖縄ワーケションテック・アイデアソン」を、2021年11月17日(水)~19日(金)に開催した。

●最優秀賞はGAテクノロジーのアイデア

そのアイデアのうち、最優秀賞を獲得したGAテクノロジー社はこんな企画を発表した。

タイトルは「Be.Okinawa WORKATION DESIGNER」。アルゴリズムを活用し、目的に応じたワーケーションプランの提案や、旅中の行動ログによる追加プラン提案、データ蓄積による提案精度向上までをトータルデザインしたプログラムを用いるというものだ。

代表者は、「ワーケーションの目的が多様だからこそ、体験が多様にある沖縄が選ばれる。そこで、そのワーケーション体験全体をデザインする存在が必要だと考え、このアイデアを企画しました。」と述べる。

同社は、宮古エリア「マリンリゾート型」のワーケーションプランに参加。宮古の神秘的な魅力が満喫できる鍾乳洞探検やヤシガニツアーなどを体験し、リゾートホテルでのワークで集中力を高めた。

審査員のマッシグラ沖縄タイムス代表・金子智一氏はこのアイデアに対して「これからワーケーションにいらっしゃる方がすぐに実行できて、行く人も受け入れる側も楽になる」と評価した。

●予防医学研究者のコメント

審査員を務めた予防医学研究者の石川善樹氏はイベントにおいて次のようにコメントを寄せている。

【取材協力】

石川 善樹氏
予防医学研究者
東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for PlanetEarth代表理事。「人がよく生きる(GoodLife)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。

「現在全国に拡大しているワーケーションですが、今回のアイデアソンを通じて各企業の素晴らしいアイデアを目の当たりにし、非常に大きな可能性を感じることができました。どのアイデアも非常にユニークで、またすぐにでも実現できるのではと思うほど、レベルが高いものに仕上がっており、沖縄県のワーケーションが、アイデア創発などの『ビジネス感性』に効果があることが実証されたのではと思います。

移動距離と質の高いクリエイティビティには密接な関係があります。それは、常に同じ環境にいるとインプットがなくなってしまい、新しい考えが出にくくなるからです。

いつもの職場を離れ、沖縄の大自然を感じながら仕事に向き合うことで、普段は思いつかないアイデアやイノベーションが生まれる可能性があります。これからの時代は、一人ひとりが生産性を高めることが求められると思いますので、沖縄県のワーケーションプランのような取り組みが世の中に広がっていくことを願っています」

このワーケーションの場を最大限に活かすには、管理側の企業は従業員に対してどのような働きかけや仕組みが必要だろうか? 石川氏にインタビューを行ったところ、次のように回答した。

「法政大学の永山先生らの研究によれば、クリエイティビティは移動した先で何をするかというより、『移動の最中』に発揮されることが示唆されています。そのため、ワーケーションの場を最大限に生かすためには、『つねに移動し続けること』が重要になると考えられます。それは古くは、江戸時代の参勤交代のような制度が参考になるかもしれません」

ワーケーションの効果というと、「バカンス=遊び」によって生まれるイメージがあったが、「移動の最中」にクリエイティビティが発揮されるというのは驚きだ。アイデアソンの各アイデアと共に、今後のワーケーション活用の一手となりそうだ。

ワーケーションの実証実験~東急リゾーツ&ステイ

近年、ワーケーションの実証実験を行い、ワーケーションの効果を検証している東急リゾーツ&ステイ。ここでは、実証実験の結果と共に、ワーケーションの場を最大限に活かす方法を探った。

●経営者向けリゾートワーケーションプログラム

2021年11月8日(月)~9日(火)に行われた実証実験は、東急リゾーツ&ステイ、東急不動産R&Dセンター、信州大学人文学部、信州大学学術研究・産学官連携推進機構、熟年体育大学リサーチセンターが協業した、経営者向けリゾートワーケーションプログラムだ。

場所は、長野県茅野市にある「東急リゾートタウン蓼科」という総合リゾート地。対象者は中小企業の経営者、企業の部門長で、複数部門のマネジメントをしている人。参加者による対話ワークショップ、通常業務、インターバル速歩等で構成された。

本プログラムは、(1)日常業務とは異なる視点から経営者の学び直しを促すリカレント教育、(2)孤独に陥りがちな経営者のコミュニティ形成、(3)潜在的な健康不安を抱える経営者の健康づくりを支援するレジリエンス向上、という3本の柱を軸に、経営課題解決の促進と心身の健康回復・向上を目指すもの。

実施する上で、本プログラムと実施施設である東急リゾートタウン蓼科のワーケーション環境が、参加者の心理・感情・生理的側面に与える効果を、信州大学人文学部との共同研究により、試験的に検証した。

この実証実験を終えた後の効果として、東急リゾーツ&ステイ株式会社 経営企画部 グループリーダー 助田知子氏は「参加者の方々は、満足度や導入意図の理解も高く、効果を実感されていました。働く場所の選択肢の一つとして、リゾート地を選ぶ人々が一定数現れる可能性があると考察されます」と述べる。

参加者からは次のような感想が寄せられたという。

「非常に環境の良い中で、頭がすっきりとした状態が続いた。これまで接点のない方々との出会いがあった。1日目の時間の過ごし方がゆっくりでき、リラックスができた。インターバル速歩はつらかった部分もあるが、何かすっきりとした気分になった」

「とても広めたい、実現したいプログラムでした。業務でも、アカデミアやIT企業と“Work from anywhere anytime”に携わっており、業務・個人の関心としてワーケーションは強く、SNSでも発信を始めていましたが、とても伝えたく広めたくなり、また良い仲間もできました。また機会がございましたらソフトとテクノロジーで、このような活動を広めるお手伝いをぜひさせてください」

●ワーケーションの効果を最大限にするには

一般的に、ワーケーションの効果についてはいつもとは異なる開放的な場所に身を置くことで、「よりアイデアが活発に生まれる」「創造的になれる」というものがある。そうしたワーケーションの効果を最大限にするためには、何が必要だろうか。

助田氏は「地元の人との交流など、その地域ならではの魅力を伝えるプログラムによる付加価値を増進すること」と「様々なジャンルの専門的スキルを持つ事業者と連携し、プログラムを充実させることによる発展」の2点を挙げる。

キーワードは、「地域ならではの魅力の実感」と「事業者との連携」というわけだ。

ワーケーションは、様々な効果を生み出すことが分かってきている。そうした中、いかにワーケーションプログラムを充実させるかが、効果を最大限に高めるためには必要となる。

「移動」「地域ならではの魅力」「事業者との連携」を意識して取り組みたい。

取材・文/石原亜香利

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