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【ヒット商品開発秘話】発売から2週間で出荷本数2600万本を突破したサントリー「クラフトボス 抹茶ラテ」

2022.01.13

■連載/ヒット商品開発秘話

 カフェで人気の日本らしいドリンクといえば抹茶ラテだろう。抹茶の香り、苦味とミルクの甘みが融合し、コールド、ホットのどちらでも美味しくいただける。

 人気を受け、2021年はペットボトル入りの抹茶ラテがよく売れた。その1つが、サントリー食品インターナショナルが2021年8月に発売した『クラフトボス 抹茶ラテ』である。

『クラフトボス 抹茶ラテ』は石臼挽き抹茶と国産牛乳を使用し、濃厚で上品な甘みを実現。後口は抹茶が香る爽やかなもので、濃厚な味わいながらも飲み続けられるものに仕上げられた。発売と同時に人気がうなぎ上りとなり、出荷本数が発売から14日間で2600万本を超えた。

ミルクを使った飲料でブランドを発展させることは可能

『クラフトボス』は「WORK&PEACE」をコンセプトに、現代の働く人を快適にする相棒としてラインアップを拡充してきた。コーヒーからスタートしたが、消費者との接点拡大のために紅茶も発売。『クラフトボス 抹茶ラテ』も消費者との接点拡大という観点から企画された。

 なぜ抹茶ラテに注目したのか? 『クラフトボス』ブランドを担当するジャパン事業本部ブランド開発事業部の大槻拓海氏によれば、開発にはミルクに注目した側面と抹茶に注目した側面があり、先に注目したのはミルクだった。

「『クラフトボス』にはラテ、ミルクティーとミルクを使った商品がありますが、ミルク市場の大きさからミルクを使った飲料でブランドを発展させることは可能だと考えられました。新型コロナウイルスの拡大に伴い生活が変わり漠然とした不安を抱える人たちが増える中、ミルクを使った飲料で何ができるかを考えたところ、落ち着きや心の安寧を届けられる抹茶を掛け合わせた抹茶ラテの開発に行き着きました」

サントリー食品インターナショナル
ジャパン事業本部ブランド開発事業部
大槻拓海氏

 ただ、同社には緑茶飲料の『伊右衛門』がある。『伊右衛門』ではなく『クラフトボス』で抹茶ラテをつくることに関して、社内ではどう受け止められたのであろうか? この件に関し大槻氏は次のように話す。

「『伊右衛門』から発売してもチャンスはあると考えられましたが、お客様に新しいものを提供するとき、『クラフトボス』と『伊右衛門』のどちらから発売した方がお客様に受け入れてもらいやすいかを考えた結果、消費者との接点を拡大するというブランド戦略に則っていることと、ブランドイメージからチャレンジングなことをしていることを受け入れてもらいやすい『クラフトボス』から発売することでまとまりました」

『伊右衛門』のブランドマネージャーから得られたアドバイス

 こうした背景とは別に、商品開発を担う商品開発センターでは数年前から、ブランドに関係なく抹茶ラテの開発に着手。抹茶人気を受け、商品化の機会が訪れたときに備えて準備をしていた。

 働く人の相棒になるべく、中身は仕事の合間に飲んでもらいやすいよう、濃厚でしっかり甘みがありつつも甘さがいつまでも口に中に残らないようスッキリした後口を目指すことにした。濃厚で甘さが感じられつつもスッキリした後口を実現する、という相反する要素の両立は、抹茶の苦味がカギを握った。

 問題は、抹茶が一種類だけでは苦味や複雑味がなかなか出ないことにあった。「香り高い味わいがありつつも、ミルクの甘さがカットされたと感じられる苦味が出すために、商品開発センターはブレンドに試行錯誤しました」と大槻氏。挽き方によっても味わいが変わることから、ブレンドは茶葉の産地、組み合わせる数、配合比率だけではなく挽き方まで考慮しないとならなかった。ベストなブレンドを実現するのは容易なことではなく、数えきれないほど試作をつくり検証。『クラフトボス』では初めて扱う素材であることもあり、『伊右衛門』のチームに相談に乗ってもらったこともあった。

 逆にミルクは扱い慣れており、豊富なノウハウを駆使して抹茶との相性をいいものに仕上げることにした。大槻氏は次のように振り返る。

「ミルクといってもコクが豊かなものがあれば、スッキリした甘さが感じられるものがあります。複数の乳原料をブレンドし、飲んでいる段階ではしっかり甘みが感じられながらも、キレがあり後口がスッキリしていて飲み続けられるものをつくることにしました」

 こだわってブレンドした抹茶、ミルクを使って試作をつくっては試飲・検証。その結果を踏まえて抹茶とミルクを調製してから試作をつくり試飲・検証をすることを繰り返し、求める味わいに近づけていった。

 社内では100人近くの社員が試作品を評価。その中には『伊右衛門』のブランドマネージャーもいた。『伊右衛門』のブランドマネージャーからは、「もう少しお茶の味わいを出した方がいいと思う」といったアドバイスが得られた。

『鬼滅の刃』とのコラボで実現した限定デザインボトル

『クラフトボス 抹茶ラテ』は、同社のヒット商品の中でも稀に見るハイスピードで売れた。発売前に『クラフトボス』の公式Twitterアカウント上で、抽選で500名にサンプルを送るサンプリングキャンペーンを実施するなどしたことが奏功。発売後はテレビCMを放映し、一気に認知度を上げていった。

 さらに、2021年11月に始まった『クラフトボス』ブランドと人気アニメ『鬼滅の刃』のタイアップキャンペーンで、限定デザインボトルがつくられたことも話題を呼んだ。限定デザインボトルは主人公の竈門炭治郎が着る羽織の柄に日輪刀を構えた炭治郎をあしらっており、クラフトボス公式Twitterアカウントをフォローした後にキャンペーン投稿をリツイートした人の中から抽選で50名にプレゼントされる。

 キャンペーンは12月に実施され応募受付はすでに終了したが、大槻氏によれば、「SNSを見ると、『キャンペーンがきっかけで買ってみた』という声が結構ありました」とのこと。キャンペーンは消費者との間に新たな接点をつくるいい機会になった。

『クラフトボス』と『鬼滅の刃』のタイアップキャンペーンでつくられた『クラフトボス 抹茶ラテ』限定デザインボトル
(©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable)

ホットとコールドで中身が異なる理由

 2021年11月には『クラフトボス 抹茶ラテホット』が発売される。

 ホットの発売はコールド発売の時点で視野に入っていた。「発売は決まっていましたが、時期は決まっていませんでした。売れ行きから決めることにしていたので、いつでも発売できる状態にはしていました」と大槻氏は話す。

2021年11月に発売された『クラフトボス 抹茶ラテホット』

 ホットはコールドより、抹茶のさわやかな香りと濃厚な味わいを強化。同じ温度にして両方を飲み比べると、味わいが異なって感じられるという。中身を変えた理由を、大槻氏は次のように話す。

「ホットを飲むときは、コールド以上にホッとひと息つきたい、ゆっくりしたい、という心境になっていると想像しました。抹茶の味わいやミルクの甘さが濃厚に感じられる設計にした方が、お客様のそういう心境に寄り添うことができ、ピースな気分を実感しやすくなると思ったことから、コールドとは中身を変えることにしました」

取材からわかった『クラフトボス 抹茶ラテ』のヒット要因3

1.手堅い抹茶人気に支えられた

 抹茶人気の流れに応じるような形で開発。手堅い人気があり手に取ってもらいやすかった。

2.手軽に手に取ってもらえた

 簡単に手に入るペットボトル飲料として発売したことで、滅多にカフェに行かない人や、カフェに行っても注文しづらいと感じていた人が遠慮なく手に取れるようになった。

3.時代に合っていた

 濃厚で甘味が感じられるが後口がスッキリ。ひと息つくときに飲むのにピッタリで、「働く人の相棒」というブランドの立ち位置を外れなかった。新型コロナウイルスで不安や閉塞感に苛まれることが多くなった現在、心を落ち着かせるときに最適で、時代に合っていたといえよう。

 購入者は当初想定していた20〜30歳代を中心に、幅広い年齢層に購入されている。意外とおじさん世代の購入者が多いとのことで、大槻氏が実家に帰ったときも60歳を過ぎた父親が飲んでいたそうだ。息子が開発を担当したことは知らず、たまたま飲んでいたらしいが、潜在ユーザーを掘り起こすことできればヒットに近づくといえそうだ。

製品情報
https://www.suntory.co.jp/softdrink/craftboss/matchalatte/

取材・文/大沢裕司

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構成/DIME編集部

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