【元芸人社長に学ぶ稼ぐ力】日本一のポッドキャスターとして活躍するギチ・樋口聖典さん

2022.01.04

稼ぐ力はあらゆる物事を〝おいしく〟して、失敗の概念をなくす肯定力

株式会社BOOK　社長
樋口聖典さん

絶対に何とかなる。その根底に芸人的思考がある

「ギチ」というコンビ名に聞き覚えはなくても『歴史を面白く学ぶコテンラジオ』という番組名にピンときた人は多いだろう。2020年5月から幾度となくApple Podcast総合ランキング1位を獲得。パーソナリティーを務める樋口さんは元音楽作家であり、元芸人であり、福岡県田川市で地域活性化を目的とした廃校利活用施設『いいかねPalette』を運営する株式会社BOOKの社長でもある。芸人時代を振り返り、樋口社長は〝人生のバグ〟と前向きに話す。

「コンビを結成したのは、音楽一本で食えるようになった頃。音楽の世界で生きる未来は想像できたけど、おもしろくない。だから、お笑いという不得意な分野に飛び込みました。得意なことで成果を出してきた僕にとって、苦手なことをいきなり始めるのは人生のバグでしかない。でも、一度だけ在学中のネタ見せでドーンとウケたことがあったんです。それがものすごく快感で。〝合理的に考えたら絶対にしない選択をあえて選ぶことが幸福度に直結する〟と考えるきっかけになりました」

　この行動指針は『いいかねPalette』の運営につながる。

「田舎で廃校を利活用することも合理的ではないですよね。経営は一筋縄でいかないし、簡単に稼げないし、ラクに生きられない。それでも音楽で稼いでいた時よりも幸福度が高いと感じるのは、芸人的思考のおかげです。貧乏芸人や普通すぎる芸人など、技術ひとつですべての環境をプラスに変える力があれば、失敗の概念はなくなる。起業2年目に経営が大きく傾きましたけど、トークのネタになると思えたから腹をくくれた。決断に迷う時こそものおじせずにやりたいことを選択するというのは芸人的な考え方だなと思いますね」

　また人間の才能を爆発させることが企業として一番重要だと話す。

「経営の立て直しを始めてから、毎月2時間かけてスタッフと1対1の面談をしています。トーク番組のMCが芸人のおもしろさを引き出すようなものですね。様々な才能を持った人材が集まる場所だからこそ、ストレスなく才能を発揮できることが重要。社会の需要よりもチームがやりたいことを優先することを意識しています」

コンセプトは「なんでもできる世界を作る」。音楽事業や創業支援、ゲストハウスなど幅広い事業を展開している。

芸人時代から現在までのタイムスタンプ

2009年　お笑いコンビ「ギチ」結成

東京NSC15期生。同期に「ニューヨーク」「おかずクラブ」などがいる。

2011年　音楽制作会社「株式会社オフィス樋口」設立（2017年退職）

2014年　お笑いコンビ「どぶろっく」とバンド「どぶろっかーず」結成

2016年「株式会社BOOK」設立

2017年　吉本興業を退社、『いいかねPalette』運営開始

「福岡コンテンツバレー構想」の中心拠点として旧猪位金小学校を利活用。

2018年　Podcast番組『歴史を面白く学ぶコテンラジオ』配信開始

株式会社コテンの深井龍之介代表、楊睿之さん、樋口社長がパーソナリティーを務める福岡発の歴史系番組。2019年に「Japan Podcast Awards大賞」「Spotify賞」をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング1位を獲得した。

明日の仕事に生かせる3つのヒント

【1】合理性にこだわりすぎないこと
【2】劣悪な環境にあえて飛び込む
【3】失敗は糧になるからこそ思い切ってやる！

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