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カフェなどでテレワークをする時に注意すべき秘密保持義務

2021.12.20

コロナ禍の影響で、会社員の方の間でもテレワークが普及し、起業をするフリーランスや副業会社員の方も増えてきました。

テレワーク・ノマドワークをする方は、オフィスや自宅以外の場所で仕事をすることもあるかと思いますが、その場合は秘密保持に十分注意が必要です。

今回は、カフェなどの公共の場で仕事をすることが、秘密保持との関係で内包する問題点についてまとめました。

1. カフェなど公共の場で仕事をする場合、秘密保持義務違反に注意

カフェ、ホテルのロビー、コワーキングスペースなど、公共の場で仕事をする場合には、特に情報漏えいによる秘密保持義務違反に注意する必要があります。

1-1. 通行人や店員などに画面を見られる可能性がある

公共の場でPCを広げて仕事をしていると、周りを不特定多数の人が通行します。

画面上に映し出されたファイルの内容を、周囲の通行人や店員などに見られた場合、それをきっかけに秘密情報が流出するおそれがあるので要注意です。

1-2. 公衆無線LANへの接続は情報流出の危険大

カフェなどの公共の場では、公衆無線LANが開放されているケースも多いです。

しかし、公衆無線LANを通じた通信や通話は傍受されるリスクが高いため、機密性の高いやり取りを行うことは避けるべきでしょう。

2. 秘密保持義務に違反するとどうなる?

公共の場での仕事中に情報漏えいを引き起こした場合、会社や取引先に対する秘密保持義務に違反する可能性があります。

秘密保持義務に違反した場合、以下のような深刻な事態に陥ってしまうおそれがあるため、公共の場での情報漏えいリスクには十分注意しましょう。

2-1. (会社員などの場合)懲戒処分を受ける可能性がある

会社などの組織に雇用されている方の場合、取引に関する情報・顧客リスト・ノウハウなどの営業秘密を流出させることは、従業員としての重大な非違行為に該当します。

多くの会社等では、このような非違行為は懲戒事由とされており、減給・出勤停止・降格等の懲戒処分を受けるおそれがあるので注意が必要です。

また、情報漏えいを引き起こしたことによって社内での信頼を失い、職場に居づらくなって、結果的に退職に追い込まれることも考えられます。

2-2. (フリーランスの場合)取引先から契約を解除される可能性がある

フリーランスとして、取引先と業務委託契約を締結している方は、契約上の秘密保持義務を負担しているケースが多いでしょう。

取引先に対する秘密保持義務に違反した場合、業務委託契約を債務不履行解除されるおそれがあります(民法541条、542条)。

仮に契約解除には至らなかったとしても、取引先からの信頼を失い、発注量が減少することも想定されます。

フリーランスの方が取引先を失うことは、売上の減少に直結するため、情報漏えいには十分注意しなければなりません。

2-3. (会社員・フリーランス共通)損害賠償責任を負う可能性がある

秘密情報を流出させたことにより、勤務先の会社やフリーランスとしての取引先に損害を与えた場合、債務不履行(民法415条1項)または不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を負担する可能性があります。

秘密情報が流出すると、会社や取引先が市場シェアを奪われたり、社会からの信頼を失ったりして、大きな損害が発生するケースも考えられます。

その場合、個人として負担できる損害額を超えてしまい、自己破産などに追い込まれるおそれがあるので要注意です。

3. 秘密保持義務違反を犯さないための対策

テレワークやノマドワークを行う際、勤務先の会社やフリーランスとしての取引先に対する秘密保持義務に違反しないためには、少なくとも以下の点に留意して業務に取り組むべきでしょう。

3-1. 機密性の高い業務は、自宅または個室で行う

秘密保持義務の対象となっている事柄を取り扱う業務を、カフェなどの公共の場で行うことは危険です。

このような業務は、自宅や店舗の個室など、仕事中に不特定多数の人が出入りすることがないスペースで行うことをお勧めいたします。

カフェなどの公共の場で作業をする場合には、公表されているウェブサイトのリサーチや、個人的な趣味で運営しているブログ記事の作成など、誰かに見られても問題ない作業に限定するのが無難です。

もし機密性の高いファイルを公共のスペースで開かざるを得ない場合には、壁を背にしてのぞき見防止シートを貼ったPCを使用するなど、情報漏えい対策を十分に行いましょう。

3-2. 公衆無線LANには接続しない

業務用のPCを公衆無線LANに接続すると、通信傍受やファイル流出の危険が大いに存在します。

そのため、公衆無線LANの利用は控えた方がよいでしょう。

自宅以外で仕事をするケースが多い場合には、モバイルWi-Fiルータを契約して持ち運ぶのが便利です。

テレワーク・ノマドワークを行う際には、トラブルに巻き込まれることを防止するため、ぜひ情報漏えい対策に万全を期してください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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