2021年に発足した「ETCX」というサービスをご存知だろうか? 駐車場など高速道路以外の場所でもETC技術を活用して、代金の決済ができる新たなビジネスだ。運営するETCソリューションズに、実現までの課題解決と、将来のビジョンを聞いた。
2001年に導入されたETC(電子料金収受システム)。当初は普及に苦戦したものの、現在のETC利用率は93%に上る(国土交通省「ETCの利用状況 令和2年12月」)。これだけ普及しているなら、高速(有料)道路だけでなく、ほかの使いみちはないものか?
「高速道路以外でのETCの活用については、早い段階から様々な検討が開始されていた」と同社は指摘する。
なぜ、便利なETCが街ナカに広がらなかったのか? 大きな要因はコストだ。
高速道路ではノンストップ走行での決済が求められる。短時間のうちに料金や通行の可否を判断し、バーを上げ下げして通行を制御しなければならない。
ETCレーンごとにぼう大なデータを蓄積し、瞬時に照会するハード、システムを搭載しなければならず、1カ所あたりの設備投資が高額になる。これでは、街の施設には普及しない。
しかし、街ナカの利用では、必ずしもノンストップ走行が求められない。例えば駐車場の入場/出場では一時停止する余裕がうまれる。その間に、クラウド上のコンピューターと通信して、決済したり不正利用を判断することができるのだ。
端末から高度な機能が切り離され、コストが下がるので、あらゆる場所で導入しやすくなる。
街ナカのあらゆる箇所にETCが設置されれば、文字通りの「おサイフカー」が実現する。駐車場やドライブスルー、フェリーなど従来の構想に加え、自動運転駐車やEV充電スタンドなど、これからの自動車社会に適した活用法も考えられる。
現状のETC車載器がそのまま使えるので、ユーザー側に新たなコストは発生しない(ETCXサービスへの会員登録が必要)。ネットワークが安定することで、社会でさまざまな機能が利用しやすくなる。インフラ拡充のヒントを示す新規事業に、今後も注目していきたい。
●公式サイト
ETCX – ETCのスイスイを街のなかでも。
取材・文/ソルバ!
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