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法律上の「努力義務」を怠ると罰則は課されるのか?

2022.01.03

法律上の『努力義務』について、どの程度守るべきものなのか気になる人もいるでしょう。意味をきちんと把握しておけば、就業規則や契約書の作成・見直しに役立てることが可能です。努力義務の基本や代表例、適切な対応方法を紹介します。

「努力義務」の意味とは?

法律には、『努力義務』を課す規定が数多く見られます。努力義務とはどのようなものなのか、まずは具体的な意味を知っておきましょう。

自発的な行為を促す規定

『努力義務』とは、法律により努力することを義務付けられている規定です。条文には『努めなければならない』『努めるものとする』といった文言で記載されています。

努力義務の種類は、『理念や目的に向けて努力する義務』と、『具体的な行為を自発的に行う義務』の二つです。法律上の努力義務が課された事業所は、積極的な努力が求められます。

ただし、努力を怠っても罰則は科されない上、努力すべき程度の基準も明確には定められていません。努力義務は、あくまでも事業所の自発的な行為を促すための規定です。

「努力義務」以外の「義務」との違いは?

(出典) photo-ac.com

法律における義務の種類には、努力義務だけでなく『義務』と『配慮義務』もあります。条文ごとに適切な対応が取れるよう、それぞれの意味や努力義務との違いについてきちんと理解しておきましょう。

「義務」との違い

法律上の『義務』とは、必ず行わなければならないことを示した規定です。『しなければならない』『してはならない』と条文に記載されているものが該当します。

法的拘束力がない努力義務と異なり、義務には強い法的拘束力があります。違反した場合に行政罰や刑事罰が科されることも、努力義務と異なる点です。

努力義務では結果報告を求められない一方で、義務は書類提出や結果報告を行う必要があります。規定内容に従わなければ違法となることから、義務は努力義務や配慮義務と比べて最も責任が重いといえます。

「配慮義務」との違い

法律の条文で示された内容に関し、配慮を求められる規定が『配慮義務』です。『配慮するものとする』といった文言が条文に記載されています。

配慮義務には、原則として法的拘束力や罰則がありません。ただし、何らかの配慮を実行した結果を、書類提出や報告などで示す必要があります。

配慮すべき状況であるのにもかかわらず配慮が見られない場合は、義務違反として罰則を科されかねません。法的拘束力の強さで比べると、配慮義務は義務と努力義務の中間に位置しています。

努力義務化されている制度

(出典) photo-ac.com

努力義務が課されている現行制度の具体例を、三つ紹介します。実際に自社の就業規則を作成する際は、各制度についてより詳しく調べなければなりません。

勤務間インターバル制度

努力義務化されている代表的な制度の一つに、働き方改革の一貫として設けられた『勤務間インターバル制度』が挙げられます。勤務間インターバル制度とは、終業時刻と翌日の始業時刻の間を一定時間以上空ける制度です。

過労死を防ぐための目安として、休息時間を9~11時間に設定することが推奨されています。前日に残業が発生した場合は、『翌日の始業時刻を繰り下げる』か、『超過分を翌日分に回す』かのいずれかで対応しなければなりません。

勤務間インターバル制度を導入すれば、『長時間労働の防止』につながるほか、従業員がプライベートの時間を確保しやすくなるため、『離職率を下げる』効果が期待できます。

参考:「勤務間インターバル」とは | 勤務間インターバル

70歳までの就業機会確保

従来の『高年齢者雇用安定法』では、事業所に定年を65歳に引き上げる義務が課されていました。2021年4月の法改正により、定年を70歳まで引き上げる努力義務が追加されています。

70歳までの就業確保措置の対象となるのは、主に定年を65〜70歳未満に設定している事業所です。定年引き上げ以外に、定年制の廃止や70歳までの継続雇用制度の導入も選択できます。

定年の引き上げに関しては、5年ごとに段階を踏んで努力義務から義務化されてきた歴史があります。70歳までの就業機会確保の努力義務も、将来的には義務となる可能性が高いといえるでしょう。

参考:パンフレット(詳細版):高年齢者雇用安定法改正の概要

ストレスチェック制度

2015年12月の『労働安全衛生法』の改正により、常勤従業員が50人以上いる事業所には、年1回の『ストレスチェック』の実施が義務付けられました。ストレスチェックとは、従業員の心理的負担の程度を把握するためのテストです。

ストレスチェックは、医師や保健師などが実施します。従業員の精神的なストレスを把握し、メンタルヘルス不調に陥るリスクの回避や労働環境の改善につなげることが、ストレスチェックの主な目的です。

また、ストレスチェック後の面接指導や就業上措置に関しても、状況に応じて事業所が対応しなければなりません。なお、常勤従業員が50人未満の事業所については、ストレスチェックの実施は努力義務です。

参考:2015年12月からストレスチェックの実施が義務になります。

「努力義務規定」への対応方法

(出典) photo-ac.com

努力義務規定が示された法律には、どのように対応すればよいのでしょうか?適切な対応方法を理解し、就業規則の作成や見直しに役立てましょう。

違反をしても罰則が科されることはない

事業所が義務規定に違反した場合は、刑事罰や行政罰などの罰則を科されます。配慮義務を怠ったケースでも、義務違反として何らかの罰則を科されることがあるでしょう。

一方、努力義務規定に違反しても罰則は科されません。自発的な行為をしたことを証明する書類の提出や報告なども不要です。

努力義務規定は、あくまでも事業所に自発的な行為を促すものであり、行為の強制ではありません。努力義務に対応する程度も、各事業所の裁量に委ねられています。

「義務規定」へ変更されることも

努力義務規定は、将来的に義務規定へ変更される可能性があります。義務化されれば対応しないわけにはいかないため、努力義務の段階で制度に慣れておくのがベストです。

努力義務規定が義務規定へ変更された代表的な制度として、『男女雇用機会均等法』が挙げられます。1985年の制定時には具体的な努力の促進にとどまっていましたが、1997年の法改正により義務化されました。

また、『パワハラ防止法』と呼ばれる法律も、2020年6月1日の改正法の施行により、パワハラに対する雇用管理上の措置が努力義務から義務へと変更されています。中小企業に関しては、2022年4月1日から義務規定に変更される予定です。

一方、義務規定から努力義務規定に変更された逆のパターンもあります。例えば、かつて義務規定であった『予防接種法』は、予防接種による健康被害の増加を理由に、1994年から努力義務規定となっています。

参考:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務となりました!|厚生労働省

全く対応しないのはNG

努力義務規定に違反しても罰則は科されませんが、対応を放置しておくのはNGです。具体的な行為を全く行わなかったり、努力する姿勢だけを見せていたりすると、行政からの指導を受けることにもなりかねません。

努力義務を怠ったことで従業員や取引先が損害を受けた場合、義務違反を理由として契約の取り消しや賠償請求を受ける恐れもあります。

努力義務が規定された条文を読み込んで、法律の趣旨をきちんと理解すれば、適切な対応を取れるようになるでしょう。具体的な行為が分からない場合も、ガイドラインや関連資料を見れば理解しやすくなります。

判断に迷うものは専門家に相談を

努力義務規定を軽く見ていると、思わぬリスクを抱えてしまう恐れがあります。しかし、しっかり対応しようとしても、具体的に何をすればよいのか分からないケースもあるでしょう。

条文の扱いで迷う場合は、法律のプロに相談するのがおすすめです。企業法務に強い弁護士や社会保険労務士であれば適切なアドバイスしてくれます。

従業員や取引先とのトラブルに備える意味でも、就業規則や契約書はきちんと作成しなければなりません。専門家のサポートを受けながら、トラブル発生時に役立つ就業規則や契約書を作成しましょう。

構成/編集部


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