目次
『眉唾物』という言葉を耳にしたことがあっても、意味が分からない人もいるのではないでしょうか?言葉の意味のほか由来や類語も紹介するので、知識を深め正しく使いこなせるようになりましょう。使い方についても例文付きで詳しく解説します。
「眉唾物」の意味とは?
『眉唾物(まゆつばもの)』は、使われている漢字から意味を想像しにくいため、意味を説明できない人もいるでしょう。まずは、意味や由来を紹介します。
真偽が確かではないもの
『眉唾物』は、『真偽が確かではないもの』という意味です。物事が事実かそうでないのか、分からないようなことを指します。
近年では、SNSを使って誰でも自由に情報発信をできるようになりました。情報があふれており、必要な情報を簡単に得られるようになったというメリットがある反面、真実かどうか疑わしい情報を目にすることが増えたと感じている人もいるでしょう。
このように、真偽が定かでないものを『眉唾物』と表現します。
気になる「眉唾物」の由来
『眉唾物』は、キツネにだまされないための対策が由来とされています。古くから、キツネは人をだます動物だとされていました。
江戸時代には、「眉に唾を付ければ、キツネにだまされない」という迷信から『眉に唾を付ける』という表現ができ、『眉唾物』という言葉に変化したと考えられています。
なぜ眉に唾を付ける行為なのかについては、諸説あるようです。「唾には魔よけのような力がある」と信じられていたことや、「キツネは眉毛の数を数えることで人をだます」と考えられていたことなどが理由とされています。
言い換えできる「眉唾物」の類語
『眉唾物』の言い換え表現を紹介するので、言葉に対する理解を深めましょう。類語を知ることは、表現の幅を広げるのにも役立ちます。
「胡散臭い」
日常的に使われている類語の一つが、『胡散臭い(うさんくさい)』です。『怪しいさま』や『不審なさま』という意味の『胡散』と、『怪しい』『疑わしい様子』という意味の『臭い』が合わさった言葉で、『どことなく怪しい』『疑わしい』という意味になります。
はっきりと断定はできないものの、「何となく怪しい」と感じるときなどによく使われます。
例えば、「飲むだけで、短期間でダイエットできる商品だと宣伝されているけれど、胡散臭い。信用しない方がいいよ」や「最近、恋人の様子が不自然なので問い詰めたら、話のつじつまが合わなかったり、しどろもどろになったり…どうも胡散臭い」のような使い方が可能です。
「絵空事」
『絵空事(えそらごと)』には、『おおげさなこと』や『ありもしないうそ』という意味があるので、言い換えが可能です。
描かれた絵は作者の意図などが加わり、美化されたり誇張されたりし、実物とは異なっていることが珍しくないという意味が転じてできた表現になります。
例えば、「テクノロジーの進化によって、火星への移住が絵空事ではなくなる日が来るかもしれない」や「絵空事を並べて言葉巧みに高齢者をだます詐欺が横行しているので、注意しましょう」のように使います。
「荒唐無稽」
日常的に使われている言葉ではありませんが、『荒唐無稽(こうとうむけい)』に言い換えることも可能です。『荒唐』と『無稽』が組み合わさった言葉ですが、どちらも『言うことに根拠がない』『でたらめであること』という意味があります。
『荒唐無稽』は、『話の内容などに根拠がなく、でたらめであること』という意味で、言動などが根拠に欠け、現実味がないようなときに用いられます。
例えば、「ネットへの荒唐無稽な書き込みが増え、頭を悩ませている店も多い」や「彼は偉大な功績を残した科学者だが、当時は荒唐無稽な発想だと思われていた」のように使いましょう。
「眉唾物」の使い方を紹介
『眉唾物』の意味が分かっても、使い方が分からないと日常生活で正しく使えません。分かりやすい例文とともに使い方を紹介します。
「眉唾物」の例文
例文をいくつか紹介するので、状況に合わせてアレンジして使ってみましょう。
- 友人がもうけ話を持ちかけられて、すっかりだまされたらしい。誰でも簡単に稼げるとうたっているビジネスは、眉唾物だから注意しよう
- 会社が海外の企業に買収されるといううわさがあり、真剣に転職先を探している同僚もいるが、どう考えても眉唾物だ
- 誰もが「眉唾物だ」と言って取り合わなかったことが、時代の流れとともに現実味を帯びてくることもあるものだ
「眉唾」だけで使うことも
『眉唾物』と同様の意味で、『眉唾』と省略して使うこともあります。その際は、後に『~話』『~うわさ』『~情報』といった言葉を付け足して使われることが、少なくありません。
- 彼女は眉唾な情報をうのみにしがちなので、実際に行動する前に誰かに相談するように伝えた
- 上司に対する眉唾なうわさを耳にしたが、同僚の中には信じている者もいる
また、『眉唾』は『だまされないように注意する』という意味で用いられることもあります。
- 自宅に押しかけてくるセールスマンの話は、眉唾で聞くように心掛けましょう
- 化粧品の広告は誇張されていることも少なくないので、眉唾で読むようにしよう
▼あわせて読みたい
構成/編集部