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会社の接待への参加は残業に当たるのか?

2021.12.04

会社の取引先との接待の場に、半ば強制的に参加させられることは、苦手な方にとっては大きなストレスでしょう。

「接待の時間にも残業代を払ってほしい……」

そんな風に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、会社から命じられて接待に参加した場合、その時間は残業(労働時間)に当たるのかどうかにつき、労働基準法のルール・考え方を解説します。

1. 接待は残業に当たる?

取引先や上司の顔色を窺いながら、気を遣ってお酌や愛想笑いをする、これはもはや残業ではないかと感じる気持ちはよくわかります。

労働基準法のルールに従って考えた場合、接待の時間が残業(労働時間)に当たることはあるのでしょうか。

1-1. 接待が残業に当たるための要件

最高裁判例によれば、労働基準法上の「労働時間」とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であると解されています(最高裁平成12年3月9日判決)。

この点、接待の場で行われる飲食・ゴルフ・旅行などは、

・業務と直接の関係を持たないケースが多い
・通常の業務に比べると、具体的な拘束性に乏しい

といった特徴があるため、労使間の指揮命令関係が認められにくいのが実情です。

前橋地裁昭和50年6月24日判決では、取引先とのゴルフコンペが業務に当たるかどうかが、労災の成否との関係で問題となりました。

前橋地裁は、親睦目的の会合(接待)が業務に当たる場合もあるとしながらも、

・事業主の通常の命令によって接待がなされた
・出席費用が事業主によって支払われた

といった事情だけでは足りず、

・接待が事業運営上緊要なものと認められる
・事業主の積極的特命によって接待がなされた

という、より厳格な事情が必要であると判示しています。

上記は地方裁判所レベルの裁判例なので、絶対的な基準とは言えませんが、実務上も一定の参考とされています。

この裁判例の基準を見ると、接待が残業と認められるためのハードルは、一般的にかなり高いものであることが分かるでしょう。

1-2. 接待が残業に当たる可能性があるケース

それでも、以下に挙げるような事情が存在するケースでは、接待時間の全部または一部が、残業(労働時間)に当たると判断される可能性があります。

①接待への参加が義務付けられており、拒否が許されない場合

・正当な理由のない不参加に対して、減給などのペナルティが設けられている
・上司から再三圧力をかけられて、参加が事実上義務付けられている

上記のような場合には、「事業主の積極的特命」があったものとして、接待時間が残業に当たり得ます。

②接待が業務と密接に関連している場合

・接待の場で新規取引についてのプレゼンテーションを行うために、事前に入念な準備をした
・実際に、接待の場でプレゼンテーションを行い、その後も参加者からの質問に対応した

上記のように、接待参加が業務そのものであるか、または業務と密接不可分な意義を有する場合には、接待時間が残業に当たると考えられます。

2. 接待が残業に当たる場合の法的効果

接待が残業(労働時間)であると判断される場合、残業代と労災保険による補償の対象になります。

2-1. 残業代が発生する

残業に当たる接待が業務時間外に行われる場合、以下の割合により残業代が発生します。

①所定労働時間を超え、法定労働時間内(1日8時間・1週40時間)の残業
→通常の賃金

②法定労働時間外の残業(時間外労働)
→通常の賃金+25%以上※の割増賃金
※大企業の場合、月60時間を超える時間外労働については50%以上

③法定休日※の労働(休日労働)
→通常の賃金+35%以上の割増賃金
※法定休日は週1日のみ。土日休みであれば原則土曜が法定休日、就業規則等で別段の定めがあればそれに従う。法定休日以外の休日については、時間外労働として扱う

④午後10時から午前5時の労働(深夜労働)
→通常の賃金+25%以上の割増賃金

2-2. 接待中のケガや病気が労災保険により補償される

接待が残業に当たる場合、接待時間中にケガをしたり、病気に罹ったりした場合には、「業務災害」として労災保険による補償の対象となります。

また、接待の場に向かう際、および接待の場から帰宅する際の道中でケガをしたり、病気に罹ったりした場合には、「通勤災害」として労災保険による補償が行われます。

3. まとめ

一昔前に比べると、接待を従業員の義務とする風潮は、かなり後退しているものと思われます。

若い従業員を中心に動員して大々的に接待をするという考え方が、時代に合わなくなってきたためでしょう。

しかし依然として、接待参加を断れない、断りづらいと感じている会社員の方もたくさんいらっしゃるかと思います。

会社側から接待参加を無理強いされるようであれば、接待時間が残業に該当する可能性があります。

その場合には残業代が発生しますので、退職時などのタイミングを見計らって、会社に請求するとよいでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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