バーベキューのことを、「肉と野菜を切って網の上で焼くだけの料理」だと思っていないだろうか?
Netflixで2020年より独占配信中の『シェフのテーブル:BBQ』は、バーベキューを極めた4人のシェフ&ピットマスター(バーベキュー調理人)に密着取材したドキュメンタリー。
同シリーズの『シェフのテーブル』『シェフのテーブル フランス編』も独占配信中。
あらすじ
アメリカ、オーストラリア、メキシコから、4人の達人を紹介する。
テキサス州レキシントンのトッツィー・トマネツさんは、85歳の現役用務員にして、伝説のピットマスターでもある。土曜のみ開店する有名店『Snow’s BBQ』で調理し、“ヒル・カントリー・スタイル”のバーベキューを得意とする。
シドニーのシェフ、レノックス・ヘイスティさんは炎を華麗に操り、素材本来の味を引き出す。
サウスカロライナ州チャールストンのロドニー・スコットさんは、有名な賞も受賞した実績がある人気シェフ。幼い頃から両親の経営する店で豚の丸焼きを作るなどして、バーベキューの基礎を習得してきた。
メキシコ・マヤのロサイア・チャイ・チュックさんは、マヤに伝わる伝統的なバーベキュー料理“コチニータ・ピビル(豚の蒸し焼き)”で世界中の人々を魅了し続けている。
全4話。
見どころ
魅力的な人々ばかりが登場する本作だが、筆者が断然心を掴まれたのは、第1話のトッツィー・トマネツさん。
平日は学校用務員として広大な学校敷地内を忙しく動き回り、土曜日には午前1時に起床して自分の店へと向かう。
朝8時の開店に間に合うよう、深夜から早朝にかけてバーベキューの準備をするのだ。
トッツィーさんは、85歳とは思えないほど筋肉がしっかり付いた力強く若々しい体格をしており、気力・体力も凄まじい。
若さの秘訣は「用務員の仕事とバーベキュー」だそう。そして、夫と息子の死を乗り越える力を与えてくれたのも、バーベキューだった。
トッツィーさんのバーベキュー歴はなんと50年以上、休むことなく技を磨き続け、テキサスを代表するピットマスターとなった。
とくに人気なのが、トッツィーさんの焼くブリスケット。
大きな塊肉を12~16時間かけてじっくり焼き上げる料理で、トッツィーさん曰く「秘密はない。塩コショウだけ」だが、他の店とは確実に何かが違うらしい。
シェフ&ピットマスターの人生、各地域の文化や暮らしについても掘り下げており、グルメだけではない重厚なドキュメンタリーとなっている。
バーベキュー文化についてより深く知りたいなら、同じくNetflixの料理バトル番組『アメリカンバーベキュー最強決戦!』もかなり面白いのでオススメ。
Netflixシリーズ『シェフのテーブル:BBQ』
独占配信中
文/吉野潤子