仕事選び・副業選びにおいて、重視する項目は人によって違う。では、コロナ禍を経て人々の転職観および副業に対する考え方はどのように変わったのだろうか?
ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリー株式会社はこのほど、2021年9月28日から10月4日にかけ、Wantedlyユーザー計495名を対象に「コロナ禍における転職と副業に関する調査」を実施した。
転職重視項目において、コロナショック前後でもやりがいTOPは不変
直近の転職において重視したことを聞いたところ、コロナ前に転職した人とコロナ禍で転職した人どちらにおいても「仕事内容のやりがい」が1位(コロナ前63%、コロナ禍66%)という結果に。コロナショック前後で最も差が見られたのは「自己成長性」で、コロナ前には48%であったのに対し、コロナ後は59%で11%増加している。
年収が増えるにつれて転職において仕事内容のやりがい、給与水準、優秀な同僚を重視
年収別転職理由では、「仕事内容のやりがい」、「給与水準」、「優秀な同僚」といった項目に年収の増大に応じて増大傾向が見られた一方で、「福利厚生」には減少傾向が見られた。
職種別で転職理由を見ると、広報、カスタマーサクセス、営業がやりがいを、編集は社会的意義を重視。
「仕事内容のやりがい」を重視する人の割合が過半数を超えた職種は、広報(88%)、カスタマーサクセス(63%)、営業(59%)、マーケティング(54%)、エンジニア(50%)という結果に。「仕事内容の社会的意義」を最重視した職種は編集(60%)のみという結果になった。
コロナ禍転職者が転職を考え始めた理由1位はスキルに関する意識の変化(38%)
コロナ禍で転職をした人を対象に、直近の転職を考え始めた理由を聞いたところ、「スキルに関する意識の変化」が38%で1位、「働き方に関する意識の変化」が35%で2位という結果に。一方で「給与に関する意識の変化」は6%にとどまった。
転職回数が増えると、転職において給与水準を重視する傾向に。
転職回数別に転職理由を見ると、転職回数を増すごとに「給与水準」を重視する傾向にあるという結果に。
デジタル人材、非デジタル人材で比べても仕事内容のやりがいはトップで変わらず
転職理由をデジタル人材と非デジタル人材に分けて比較して見るとどちらも「仕事内容のやりがい」が1位に。自己成長性が2位でデジタル人材が59%、非デジタル人材が53%、3位は給与水準でデジタル人材が53%、非デジタル人材が48%という結果になった。
※デジタル人材:本調査においては、エンジニア、デザイナー、WEBディレクター・プロデューサー、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーなど、デジタル領域の業務を行う人材のことをデジタル人材と定義している。
副業の実施状況について。副業をやりたくない人は3%のみ
副業意欲について聞いたところ、副業を「やりたくない」という回答は3%と非常に少ない一方で、「現在行っている」と回答した人は、37%という結果になった。
2021年4月に行った調査と比較すると「現在行っている」と回答した人の割合は34%から37%へ、「やってみたい」と回答した人の割合も39%から40%へ微増しており、副業意欲は上昇傾向にあると考えられる。
年齢を重ねるにつれて、副業を現在行っている人の割合が増大
年齢別で副業意欲を見ると、年齢を重ねるにつれて「現在行っている」人が増加し、35~39歳では42%の人が副業を行っているという結果に。
副業を現在行っている人の割合は年収700万円代が50%と最多。次点が年収300万以下の48%という結果に
年収別で副業意欲について見ると、副業を「現在行っている」と回答した人の割合は年収701~800万円の層が50%と最多で、次点が年収300万円以下で48%という結果に。最も少ないのは年収301~400万の層で26%となり、年収401万以上の層においては年収の増大につれて副業を行っている人の割合が増加する傾向が見られた。
副業を現在行っている人の割合が一番多い職種は編集(60%)という結果に
職業別で副業意欲について見てみると、「現在副業を行っている」と答えたのは編集(60%)が一番多く、次にデザイナー(48%)、マーケティング(46%)という結果に。副業をやりたくないという回答が10%を超えた唯一の職種は広報(13%)という結果となった。
副業において最も重視する項目について。自己成長性がトップ
副業に対して最も求めることを聞いたところ、1位は「自己成長性(28%)」、2位は同率で「給与水準(21%)」と「仕事内容のやりがい)(21%)」となった。
職種別では、経営企画、マーケティング、デザイナー、エンジニアで自己成長性が1位に
職種別で副業に対して最も求めることを見ると、5職種で1位と最多だったのが「自己成長性」で回答割合はマーケティング(41%)、経営企画(37%)、デザイナー(29%)、エンジニア(28%)、営業(24%)という結果に。
デジタル人材、非デジタル人材で副業に最も求めることの違い
副業に対して最も求めることについて、デジタル人材、非デジタル人材に分けて比較した。どちらも「自己成長性」がトップでデジタル人材の方が3%低く、2位の「仕事内容のやりがい」ではデジタル人材のほうが4%高い結果に。デジタル人材が転職で重視する項目の1位が「仕事内容のやりがい」で2位が「自己成長性」だったため、TOP2が逆転する結果になった。
転職・副業に関する働き手の声
■転職の重視項目では「仕事のやりがい」がトップという結果に。転職で重視する内容について。
・「仕事において社会に直接役立つというところは大切だと思う。直近の転職先は社会基盤を作るという社会的意義が感じられる仕事を選びました。勤務形態については、職業柄取材に行くこともあるので柔軟であってほしいと思っていて、経営者側にも柔軟な勤務形態を受け入れる姿勢が求められると思います。」(30代男性、IT系企業、編集職の方)
■転職の重視項目で2位だった「自己成長性」に関して
・「新卒で入社した前職の旅行代理店では緊急事態宣言の影響を受け、月に数回しか勤務ができないときもありました。給与の補助はあり生活は困らなかったのですが、成長を感じられないことは不安で、スキルを身につけるためにキャリアスクールに通いました。もともと企画に興味があったことから、自分が好きな領域で成長も見込めそうなマーケティング系の会社へ転職しました。」(20代女性、マーケティング系企業、マーケティング職の方)
・「新しい仕事を出来るようになりたいという思いを常に持っています。新卒で入った会社で4年間働く中で頭打ちを感じ始めたのが転職のきっかけでした。そこで学生時代から興味があったPR系の会社に入ろうと決めました。転職時、給与に関してはせっかくなら上がると嬉しい程度で、最重視していたのはやりたいPRの仕事ができ、成長できるかというところでした。ゆくゆくはパラレルでキャリアを築いて、副業で成長したり、それが本業に良い影響をもたらすようなことがあったら良いなと思っています。」(20代女性、PR代理店、PRコンサルタント職の方)
■転職ではカルチャーマッチも重要という声も
・「自分が会社のカルチャーに合わせられると今まで思っていました。しかし、大企業に入ってみるといわゆる大企業文化というのが受け入れられない自分に気付き、思ったことが言える環境・企業を探す中で外資やベンチャーの方が自分に合っていると思いました。今は外資系企業に入ってしっくりきており、カルチャーマッチの重要性を実感しています。」(30代男性、広告代理店、広告・マーケティング職の方)
・「カルチャーがフィットしてこそ仕事が楽しい、やりやすくなるというところはあると思います。今働いている会社はオープンでフラットなカルチャーで、前職のトップダウンな会社と比較するとかなりストレスフリーです。待遇に関しては大事だと思っていますが、まず仕事が楽しくないとそもそも働く意味がないと思っています。現職も業務面に魅力を感じて転職を決めました。」(30代男性、製造業、人事職の方)
■副業重視項目「自己成長性」がトップという結果に。副業で重視することについて
・「副業の仕事のクオリティにもこだわりたいので、本業を忙しくしすぎないようにしています。副業で視野を広げることが本業のクオリティ向上においても大切だと思っているので、朝一で副業の仕事を行った後に本業の仕事をするなど、バランス良くできるように心がけています。また、副業案件においてリモートで対応できるかは必須要件だと考えています。」(30代男性、IT系企業、編集職の方)
■副業重視項目では「仕事内容のやりがい」が2位という結果に
・「副業はまだ経験は無いのですが、お金を稼ぐためだけの作業系の仕事ではなく、好きなこと、興味がある仕事を副業で出来たらと思います。」(20代女性、マーケティング系企業、マーケティング職の方)
■副業ではカルチャーマッチが一番大事という声も
・「副業選びの際、web面接で『この人たちと働いて楽しいか、幸せか』を考えました。たとえ本業でハードな時があっても、気が合う副業先から評価してもらえることがあるとメンタル面でもバランス調整ができ、それは貴重なことだと感じます。副業から新しい気付きが得られて本業に活かせるのは良いポイントだと思っています。」(30代男性、流通・小売系企業、マーケティング職の方)
出典元:ウォンテッドリー株式会社
https://www.wantedly.com
構成/こじへい