2015年に施行された「女性活躍推進法」などによって、日本の女性経営者は増加の一途を辿る。では、女性経営者が増えることで、ビジネスにはどんな変化が生まれているのか? 今、注目の女性社長3名に話を聞いた。
女性は本質的な価値観でモノを考えるのが得意だと思います
株式会社マクアケ共同創業者/取締役
坊垣佳奈さん
2006年、サイバーエージェントに入社。2つの子会社を経て2013年、共同創業者としてマクアケを立ち上げる。
「素養がある」と伝えるそこから始まる
若くして創業した応援購買サービス「Makuake」の事業展望の柱に、坊垣さんは女性の活躍を挙げる。
「多様性こそ事業の成長につながると信じているからです。同じ価値観でものごとを考えていると、〝いいね〟は加速するけど、〝悪いね〟にはなかなか気づけません」
マクアケの常勤取締役は男女半々という構成。ただ、坊垣さんは多くの部下に接した経験上、男女差を実感しているという。
例えば、ある仕事を同じくらいの能力の男女に頼むと、男性は50%できると思えば「やります!」と言い、女性は「私にできますか?」と返してくる。
「遠慮が入るし、完全に自信を持てないとやりますと言えない。慎重なのは良いことでもあるけど、チャンスを逃すことにもなる。私は女性の気持ちがわかるから『100%でなくてもいいんだよ』と激励から入りますが、男性の上司だと『そうか』で終わってしまうことが多い。もったいない話です」
坊垣さんは、見込みがあるスタッフには「あなたには素養がある」と伝えるようにしているという。
「そうすることで本人も〝そうかもしれない〟と思える。そこから新たなモチベーションも生まれてくると思います」
本質的オリジナリティーは競争戦略からは生まれない
坊垣さんはなぜ女性の活躍が事業成長につながると考えるのか。
「男性は目標数値設定などマーケットインの考え方が得意ですが、本質的なオリジナリティーは競争戦略からは生まれません。私たちは世の中にどんな価値提供をしていくのか、それだけがオリジナリティーを生みます。基本的にプロダクトアウトの考え方が重要で、それは女性のほうが得意です」
コロナ禍の今、リモートワークになったが、直属の約70名の全社員と毎月10分は顔を合わせて話す。
「顔を見るとわかります。調子いいとか悪いとか。ポロポロと家庭の悩みが出てきたり、女性だと恋愛相談になることも(笑)。そのうえでそれぞれに合った仕事のやり方を考えるのも私の仕事です。プライベートが仕事に影響しないわけがないので」
幸せな社員が幸せな事業を生み、世の中を幸せにする、というのが坊垣さんの信条だ。
取材・文/佐藤恵菜