2015年に施行された「女性活躍推進法」などによって、日本の女性経営者は増加の一途を辿る。では、女性経営者が増えることで、ビジネスにはどんな変化が生まれているのか? 今、注目の女性社長3名に話を聞いた。
女性経営者増加の背景
出典:帝国データバンク 全国「女性社長」分析調査(2021年)
入社9か月で社長就任し、愛されるブランドをリスタート
株式会社ドムドムフード
サービス代表取締役社長
藤﨑 忍さん
39歳まで専業主婦。渋谷109のショップ店長、居酒屋の店長を経て、2017年、11月ドムドム入社。2018年8月社長就任。
数字を読み上げるだけの会議はいらない
1970年2月に誕生した日本初のハンバーガーチェーン、ドムドムハンバーガー。最盛期には400店を数えたが現在は27店まで激減、〝絶滅危惧種〟とメディアには揶揄(やゆ)された。
2017年、当時居酒屋を経営していた藤﨑さんは料理や接客の腕を買われ、再生中のドムドムから「商品開発に力を貸してほしい」とスカウトされた。11月に入社、そこから厚木店の店長を任され、東日本の統括スーパーバイザーに。経営会議にも出るようになり感じたのは〝風通しの悪さ〟だった。
「会議では売り上げや目標値など数字の読み上げばかり。現場のスタッフは皆、会社を何とかしようと考えているのに、その声が届いていないのでは?」
藤﨑さんはドムドム改革案を作って上司に直訴。はじめははねられたが、着実に実績を上げ、入社9か月後に社長を任された。
週4日は店舗を回り、スタッフと信頼関係を築くことから始めた。
「前社長は3年後までに20店舗を100店舗にするといった目標を立てていましたが、それを取り下げました。現場とやりとりして、それができる段階ではないとわかったからです。まず各店舗のクオリティーを高めて利益を得る組織にすること。同時に、ドムドムって何? と考え続けました」
イベント先行販売で大ヒット『丸ごと!!カニバーガー』
ドムドムブランドを模索し続ける中で、生まれたのが揚げたカニをまるごと挟んだ『丸ごと!!カニバーガー』。商品開発を担当する社員から提案され、ふたつ返事でGOサインを出した。原価率の高さが役員会承認の難壁となったが、藤﨑さんは価格に見合う顧客満足が提供できると信じ、六本木で行なったイベントで先行発売。その盛況ぶりを見て、正式発売後の成功を確信したのだった。
そんな藤﨑社長が現場とのコミュニケーションをするために欠かせないのがLINEだ。
「各店長や営業部隊とLINEグループを作って、問題点やアイデアを共有できるようにしました」
今後は「オールキャッシュレスの店舗を展開していきます」と話す藤﨑さんは、今日本で最も斬新なハンバーガーチェーンを創りあげようとしている。
取材・文/佐藤恵菜