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テレワーク下でのBtoB営業で見込み客に電話でアプローチするテクニック

2021.11.12

ここ数年でテレワークが急速に浸透したが、それによって営業担当者は営業活動に大きな変化を余儀なくされている。テレワーク中のBtoB営業の課題として、新規リード獲得数の減少が深刻化していることに加え、「見込み顧客と電話がつながりにくくなった」という声も上がっている。そこで、「電話」と言う観点から、インサイドセールスに強い有識者に、コロナ禍における見込み客への電話のポイントを聞いた。

コロナ禍のBtoB営業課題のTOPは「新規リード獲得」

株式会社Innovation & Co.が2020年10月に実施した「テレワーク中の営業活動の課題調査」では、全国のBtoB営業担当者たちは、テレワーク中の営業にさまざまな課題を抱えていることがわかった。

81.5%がテレワーク中の営業活動に課題があると回答し、その第一位は「新規のリード獲得数が減少した」(18.1%)であった。

続いて回答が多かった項目は、「商談数が減少した」(15.8%)、「電話をしてもお客様と繋がりにくくなった」(13.8%)という結果が出ている。

リード数や商談数の減少にはさまざまな原因が考えられるが、「電話をしてもお客様と繋がりにくくなった」については、直接的な課題である。

テレワーク下で厳しい状況を受けた電話でのアプローチ法

見込み客に電話してもつながりにくくなった現状で、テレワーク下において電話でアプローチする際には、どのようなポイントがあるだろうか。

今回は、営業総合支援を行う株式会社セレブリックスで、インサイドセールスを含む営業支援事業に携わる木下昌洋氏に、見込み客への電話についてインタビューを行った。まずは、電話がつながりにくい中、どのようなアプローチ法が考えられるか、ポイントをあげてもらった。

【取材協力】
木下昌洋氏
2017年に株式会社セレブリックスに入社。複数の営業代行プロジェクトでプレイヤーおよびチーフとして稼働。プロジェクトではアウトバウンド営業時に会話速度によるアポイント取得率の相関を算出するなど、データを活用した営業活動を実施。現在は新規案件開始前にトークスクリプト作成など、事前準備を行うオンボーディンググループに所属。https://www.cerebrix.jp/

1.リストを作成する

「まずは電話をかけるリストの『鮮度』と『精度』を高めましょう。

『鮮度』とは一番いい状態で営業できるかという考え方です。古い名刺の見込み客にあたる場合には、この鮮度は失われていますが、その場合はまず電話でコンタクトをして、役割変更や部署異動の有無、変更があるならば誰が担当なのかを聞くことで、リストを最新にしていきます。

そして最も大事なのが『今はいらない』と断られた後でも、『いつならば購買される可能性があるか』を聞き、ログを残して鮮度を失わせないことです。

また、次回のコンタクトに備え、ターゲット企業の最新ニュースで営業のネタになることはないかも日頃から調べましょう。

また『精度』はニーズの高さを基準にリストアップできているかを図る尺度です。例えば福利厚生のサービスの営業であれば、業界や従業員数でターゲットを決めることも可能です。しかしながら、その属性のみでニーズの高さは一概に判断できません。ニーズを起点に考えた場合、ホワイト企業を受賞していることをターゲット条件にすると、社内環境を整える福利厚生系のサービスや働き方に関するサービスなどは相性がいいと考えられます。このような企業属性からニーズを考えることが重要です」

2.トークスクリプトを準備する

「とりあえず電話をかけてみて、行き当たりばったりなトークになる方もいらっしゃると思います。トークスクリプトが必要な理由は、単に話が詰まらないようにするだけではありません。何度も繰り返すことで、どのトークで顧客の興味喚起できるのか、逆に興味を削いでしまうのかのポイントをチェックすることができるので、PDCAを回して、効果的なトークを作り上げるためにもなります。また、スクリプトはただ文字を書き連ねるのではなく、よくある断り文句に対する分岐を作成することで、適切なトークを展開ができるようになっていきます」

3.顧客が興味を持つコンテンツを用意する

「過去に接点があったとして、急に電話を掛けて営業をされても顧客の心は動きません。顧客が属する業界に関連する情報の提供や事例など、お役立ちコンテンツを用意することで『この人との電話は有意義だ』と感じさせ、定期的な接触を可能にすることが重要です。

一方、顧客にきちんと情報を伝えるために電話ばかりではタイミングが合わないこともあります。そのため、メールでの情報提供とミックスすることで、電話をしやすい状況をこちらから作る必要があります」

電話がつながるようにするための方法

では、見込み客との電話がつながるようにするには、具体的にどうすればいいだろうか。

1.留守の場合でも明確に用件を伝える

「コロナ下でリモートワークを推進している企業が増える中、最近では電話受付代行を導入しているケースも多い状況です。そのため、こちらから電話をしてキーパーソンが不在と分かると、会社名や名前、電話番号、用件を言わずに終わってしまうこともあるかもしれません。しかしながら、見込み客のタイミングが良く、検討段階の場合、用件を言わないと、アポイント取得のチャンスを逃すことになってしまいます。そのため、電話口で相手が不在だとわかっても、興味訴求できる内容を明確に伝えることが重要です」

2.顧客の行動パターンを予測する

「見込み客の行動パターンを推測し、電話をかける時間帯や日にちを狙うことで、つながる可能性が広がります。例えばバックオフィス系の方であれば、リモートワークが浸透してきている状況でも、月末月初など、書面での処理作業がある場合やセキュリティの都合でオフィスに出社されるケースも多いです。

これはあくまで例ですが、自分の空いている時間に闇雲に電話をするのではなく、見込み客の行動パターンを推測して電話をするとつながる可能性を高められます」

3.携帯電話の番号を聞く

「もし過去に接点があるものの、出社のタイミングの把握ができなかったり、そもそも相手に出社予定がない場合、受付の方に携帯の電話番号を聞くことを試みるのも一つの手です。

ただ、これは受付の方の行動ハードルが非常に高い行為でもあります。その際のポイントは『重要性』と『接点があること』です。例えば「○○頃に○○様にご検討いただいた○○というサービスの件で、また別のタイミングで検討されると伺っていたためご連絡差し上げたのですが、差し支えなければ○○様の携帯のお電話番号お伺いできますでしょうか。」という具合です。ただ、もちろん、嘘はいけませんので、接点がない場合は『重要性』だけで戦うため、その人の関心事にできるだけヒットしそうな言葉で伝える必要があり、難易度が増すというのは事実です。

また、問い合わせフォームなどに、電話番号の入力欄がある場合には、携帯番号を入力していただくのを推奨することや、会社番号に架電してつながった際に『今後も〇〇様のお役に立てる情報提供をできればと思っているのですが、携帯などのつながりやすい番号をお教えいただいてもよろしいでしょうか』といったように、今後の電話しやすい状況を作ることも重要です」

4.テクノロジーを活用する

「これは電話にメール等を掛け合わせた方法です。前に述べた『顧客の行動パターンを予測する』のではなく、『顧客が行動した事実から活動する』方法です。SFA(セールスフォースオートメーション/営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)などでは、メールの開封や文章に記載のあるURLをクリックした場合、そのアクティビティの通知を受けることができます。見込み客がクリックしたタイミング、つまり興味を持っている可能性の高いタイミングを知ることができ、そのタイミングで電話を行うことが可能になります。他にも『資料のどのページを何秒見ているか』がわかるサービスもあるため、電話での会話の内容を組み立てたり、次にメールで送るコンテンツを決めることに役立ちます。

また、どういった会話をして次に何をするのがよいかをログとして残しておくことで、効率よく営業活動をしていくことが可能です」

コロナ禍における見込み客への電話についてのアドバイス

コロナ禍においては、テレワークが浸透し、見込み客への電話のハードルが上がったことは確かだ。そうした中、全般的にどのようなことを意識してBtoBの営業活動を行えばいいだろうか。木下氏は次のように話す。

「これまでは、顧客がWebで情報を収集し、比較検討をしてサービスの導入を決めてきました。しかしながら、コロナ禍でこれまで以上に多くの会社がコンテンツを発信して情報がさらに膨大になっています。そのため、購買者側が情報収集・比較検討をするにも、情報過多になってしまい、その行為に嫌気が指すようになっているのです。

そういった中で、顧客が購買を行う際には『信じられる人から会話を通してモノを買う』という傾向が強まっています。

だからこそ、購入を検討した際に自社製品・サービスが第一想起されるためには、自分が顧客にとって役に立つ情報を発信し、『信じられる人』になる必要があります。ただ単純に営業電話をかけるのではなく、顧客ごとに仮説を構築し、しっかりと寄り添った情報提供を行って関係性を築くことで、信頼される営業パーソンになることを心がけましょう」

今後も、会社だけでなく、さまざまな場所で働くスタイルが定着するといわれている。そうした中、営業活動を行いたい相手に、直接、電話がつながりにくい状況は続くと思われる。今回のアドバイスやノウハウは、コロナ下だけでなく、アフターコロナにも役立つBtoB営業術といえる。

取材・文/石原亜香利

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