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【開発秘話】発売から1年で7万6000本を突破したRESTORATION「色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ」

2021.10.24

■連載/ヒット商品開発秘話

 黒のパンツはファッションの定番アイテム。誰もが1本は持っていることだろう。ただ、洗濯を繰り返すうちに色落ちすることが悩ましかったりする。

 繰り返し洗濯しても色落ちしないと評判なのが、ドン・キホーテが展開するアパレルブランド『RESTORATION(レストレーション)』から発売されている『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』である。特殊な染料を使用しており、80回洗濯しても色落ちせずしっかり黒色をキープする。全国のドン・キホーテとその系列店で、2020年9月17日からメンズ、レディースの両方で販売を開始してから1年間で、7万6000本を売り上げている。

ドン・キホーテオリジナルのファッションアイテムでは初めて、メンズ/レディースの同時展開となった『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』。レングスについては、裾上げ不要のジャストレングスと裾上げ可能なロングレングスの2タイプをメンズ/レディースの両方で展開している

悩みや不満を解消する観点から服をつくる

 服は買うのもつくるのも、デザインが流行っているかどうかを気にしがち。しかし、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH)で『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』の開発を担当した向剛史氏(PB事業戦略本部PB企画開発部企画開発チーム トレンドセレクト6MD サブマネージャー)は、それまでとは異なる考え方から商品をつくってみることにした。

「どうすればお客様に本当に喜んでいただける商品がつくれるかを考えたとき、お客様が悩んでいることや自分が普段から不満に感じていることを解消できるものをつくりたいという思いに至りました」

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
PB事業戦略本部PB企画開発部
企画開発チームトレンドセレクト6MD
サブマネージャー
向剛史氏

 この思いに至ったのは2020年に入ってから。それまでは細部のデザインや質感、着用感に目が行きがちだったが、PPIHの企業原理である「顧客最優先主義」からこれまでの商品づくりを振り返り見直した結果が、悩みや不満を解消する商品づくりだった。

 何をつくるかを思案しているときに目についたのが、定番アイテムの黒いパンツ。黒いパンツの悩みや不満を自問自答し導かれた答が、すぐ色褪せることであった。今までにない視点からの商品開発なので成功するかどうかは未知数だったが、うまくいけば『色褪せ知らずの黒』としてシリーズ化し、アイテムを増やしていきたいと考えたという。

80回なら確実に「落ちない」と言い切れる

 ボトムスは天然素材のイメージが強いことから、素材は綿系とし、その上で色落ちしないものを目指すことにした。生地に撥水加工を施す方法もあったが、表の色落ちは防止できても裏の色落ちは起こり得る。残された方法は、色落ちしない染料の採用。実現できるものを探したところ、パートナー企業から理想的な染料があることを教えてもらった。

 その染料は耐久性を高める特殊な薬剤を添加しており、摩擦に強く耐洗濯性が高い。早速取り寄せて生地を染め、検査機関で検査したところ、洗濯80回までは見た目に変化がないことが確認された。目標は100回洗濯しても色落ちしないことだったが、100回洗濯したところ、若干の変化が認められたものの、一般の人であれば色落ちしていないと受け取ってもらえそうなレベルであった。「落ちない」と言うこともできなくはなかったが、確実に落ちないことを言い切るために80回をエビデンスとして生かすことにした。

一般的な黒スキニーパンツと『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』の耐洗濯性試験の結果比較

 懸案だった色落ちは解決のメドが立ったが、ドン・キホーテで販売する価格にするためにどうやってつくるかが問題として立ちはだかった。販売価格は税込2189円(税抜1990円)で、向氏が目指した税抜2000円を切る価格を実現したが、実現は容易ではなかった。

「使う染料が特殊なので安くありません。はき心地を良くするストレッチ性も外せなかったことから、ストレッチ性のある高価な綿系素材も不可欠でした。税抜2000円を切るものをつくるにはコストが高くなる要因しかなくて……」

 このように振り返る向氏。低コストながら品質が担保できる中国産の生地を使いカンボジアで縫製するとしたが、この生産背景を構築するのに要した時間は半年以上。染料が3か月もかからず探すことができたことと比べると、はるかに時間がかかった。

店頭で特長をストレートに訴求

 当初の販売目標は月3000〜4000本だったが、発売してみると初月の2020年9月は2週間足らずで3900本、10月は8000本売れる。2か月で用意していたものの半分近くが売れてしまい、店舗によっては欠品を起こした。11月以降は商品が足りない状態になり、安定供給できるようなったのは2021年2月からであった。

 商品に注目してもらうために実施したのが、Twitterでのプレゼントキャンペーン。応募者に抽選で洗剤と商品のセットをプレゼントした。

 店頭では「全然落ちない」と打ち出した。普通のアパレルブランドでは滅多に使わない表現だが、ドン・キホーテらしく商品の特長をストレートに訴求する。同時に、向氏が出演するプロモーション動画も放映。一般的な黒いパンツと『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』を80回洗濯して比較し後者は色落ちしなかったことなどを語っている。

店頭で流しているプロモーション動画のワンシーン

シリーズ展開が決まりアイテム数を増やす

 発売開始とともに予想以上に売れたことから、2020年10月にはシリーズ展開が決まる。まずは2021年春夏ものの新商品発売に向けて動き出した。

 つくったのは、『色褪せ知らずの黒 Tシャツ』と『同 ポロシャツ』の2つ。2021年5月21日に発売され、価格はいずれも税込1749円(税抜1590円)とした。7月までの3か月間、両方合わせて約8000枚を売り上げた。結果は「上々」で初動が良かったことから、5月に秋冬ものの投入が正式決定する。

色褪せ知らずの黒 Tシャツ

色褪せ知らずの黒 Tシャツ(ポケット付)

色褪せ知らずの黒 ポロシャツ

 秋冬ものは2021年9月22日に、『色褪せ知らずの黒 スウェットパーカー』『同 スウェットパンツ』『同 黒Tシャツ長袖』『同 シャツ』『同 ストレートパンツ』を発売。価格はTシャツ長袖のみ税込1749円(税抜1590円)で、これ以外はすべて税込2189円(税抜1990円)だ。

色褪せ知らずの黒 スウェットパーカー

色褪せ知らずの黒 スウェットパンツ

色褪せ知らずの黒 Tシャツ長袖

色褪せ知らずの黒 シャツ

色褪せ知らずの黒 ストレートパンツ

社内ユーザーの声からリニューアルを実施

 スキニーパンツもリニューアルされることになった。リニューアルのポイントは、ストレッチ性を高めたことと埃をつきにくくすることの2点。社内の愛用者からヒアリングした意見をもとに改良を実施した。

 ストレッチ性の向上は生地の変更で対応。それまでは綿とポリウレタンを混合したものだったが、これにレーヨンをプラスし組成を見直した。

 埃をつきにくくすることについては、生地の織り方を変えることで解消を図った。それまでの織り方は綾目(斜め方向の線)が立ち凹凸感があったが、凹凸を少なくした織り方にして埃をつきにくくした。生地表面をフラットすることも可能だったが、そうすると見た感じがキレイ目になりメンズであまりウケないことから、カジュアルさを出すために凹凸を残すことにした。

取材からわかった『色褪せ知らずの黒 スキニーパンツ』のヒット要因3

1.不満を解消

 洗濯を繰り返すと色が落ちるという黒いパンツの不満を解消。同様の不満を抱えている人が多かったことから、大きな支持が得られた。

2.エビデンスに裏打ちされた訴求

 検査機関での検査結果から、80回洗濯しても色落ちしないことを確認。きちんとしたエビデンスがあることを生かし、店頭では「全然落ちない」と打ち出した。わかりやすく来店客に刺さりやすかった。

3.需要と価格がマッチした

 コストのかかる特殊な染料を使うなどしたが、目標とした税抜2000円以下を実現。高機能でありながらドン・キホーテに期待されている低価格にできたことから、来店客の需要を取りこぼすことがなかった。

 今回のヒットを受け、ドン・キホーテは2021年9月22日に『白さ続く白』シリーズを発売。汚れが目立ちやすいという白い服の不満を解消するべく、生地に汚れが落ちやすい特殊加工を施し、スキニーパンツ、シャツ、Tシャツ長袖、スウェットパンツ、スウェットパーカーを投入した。黒と白という定番色の定番ファッションアイテムを買うならドン・キホーテ、というイメージが今後定着するかもしれない。

製品情報
https://restoration-japan.com/items/?topics=%E9%BB%92%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

文/大沢裕司

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