人種差別や性差別と戦った黒人弁護士の激動の人生を描いたAmazon Prime Videoのドキュメンタリー映画「私の名はパウリ・マレー」
2021.10.12
今日認められているさまざまな権利の中には、パウリ・マレーという人物の壮絶な努力によって認められるようになったものも少なくないという。
2021年10月1日よりAmazon Prime Videoで独占配信中のAmazon Original『私の名はパウリ・マレー』は、アメリカで製作されたドキュメンタリー映画。
1985年にこの世を去った黒人でノンバイナリーの弁護士・人権活動家パウリ・マレーの波乱の人生と、成し遂げた功績について紹介する。
あらすじ
今日の社会に多大な影響を及ぼした重要人物であるにも関わらず、歴史の中で見過ごされてきたパウリ・マレーの生涯にスポットを当てる。
これまであまり知名度が高いとは言えなかったパウリだが、実はその功績により今日多くの権利が認められるに至った。
ノンバイナリーの黒人として性差別や人種差別と戦い、フェミニズム運動と公民権運動の両方に大きく貢献。
弁護士・人権活動家・詩人・作家・聖職者(司祭)としての顔を持つなど、多才な人物だった。
1910年にメリーランド州ボルチモアで誕生したパウリは、幼少期に母親を脳出血で亡くし、その直後に父親も精神科に入院。
そのため、3歳の時に母方の祖父母と伯母2人に引き取られた。
とくに教師をしていた伯母ポーリーンには子どもがいなかったため、パウリのことを溺愛し、職場である学校にも連れていった。
そこでパウリは、学ぶことや意見を言うことの喜びを知る。
幼い頃から聡明さを発揮していたパウリは、成長する中で黒人差別を目の当たりにし、大きなショックを受ける。
悲しみと怒りを感じた10代のパウリが選択したのは、あえて“白人と同じ大学に進学する”という厳しい道だった。
ポーリーンとともにニューヨークに移住したパウリはニューヨーク市立大学ハンター校に入学、女子学生247人のうち黒人は4人という環境で学ぶ。
その後ハワード大学ロースクールに進学、自身のセクシャリティについての悩みを抱えながらも、公民権運動とフェミニズム運動に傾倒していく。
見どころ
偉大なパウリ・マレーの生きざまからは、差別と偏見がはびこる理不尽な社会を、少しずつ確実に改善していくための“戦い方の作法”を学ぶことができる。
“冷たい頭と熱い心”を持つ、不屈のパウリ。冷静かつ毅然とした徹底的な戦いぶりは、本当にかっこいい。
まずは、現状に疑問を持つこと。そして仲間をたくさん集めて、大きな声を何度もあげ続けること。変化が見えるまで決して諦めないこと。
日本ではいまだに「現状を受け入れること」「無言で耐えること」が美徳とされがちだ。
弱い立場に置かれている人々が現状に疑問を持てば「我慢が足りない、ワガママだ」、意見を大きな声で言えば「うるさい、面倒で危ない人」などと非難されてしまう。
パウリが亡くなって36年たつ今、そろそろ日本も変わっていいはずだと思った。
本作のほかにも、実はAmazon Prime Videoでは人権をテーマとする良質な社会派作品がたくさん配信されている。
実話に基づく政治サスペンス映画『ザ・レポート』、ピュリッツァー賞受賞小説が原作のドラマ『地下鉄道 ~自由への旅路~』、黒人差別と戦った女性のドキュメンタリー映画『タイム』なども、本作と併せてぜひチェックしてみてほしい。
『私の名はパウリ・マレー』
Amazon Prime Videoで独占配信中
(c)Amazon Studios
文/吉野潤子
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