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コロナ禍による先行き不安感も影響し、「後継者難倒産」の件数が高水準に

2021.10.11

後継者難倒産、発生は引き続き高水準に

全国的に企業倒産が減少するなかで、後継者の不在や事業承継の失敗などにより事業の継続見込みが立たなくなったことに起因する「後継者難倒産」の存在が目立ってきた。帝国データバンクの調査では、2021年度4-8月の5カ月間で発生した後継者難倒産は累計191件となり、同期間としては3年連続で190件を超えるなど高水準での推移が続いている。

また、後継者難倒産が全体の倒産件数に占める割合は7.9%と1割近くに達し、昨年度の5.7%を上回るハイペースで推移している。全国の企業倒産が政府・民間金融機関による積極的な資金供給やコロナ対応の補助金などを背景に抑制されている一方で、高止まりする後継者難倒産が重みを増してきている。

後継者難倒産の件数は引き続き高水準、全体に占める割合は1割近くを占める

サービス業・小売業では過去最高に B to C業種で増加傾向、コロナ禍による先行き不安感も影響

業種別でみると、建設業が42件で全業種中最も多かった。建設業では、後継者不在率が2020年11月時点で6年連続の70%となり、長期にわたって10社のうち7社で後継者が決まっていない深刻な後継者不足に陥っている。こうしたなか、近年は受注環境が激化していることに加え、コロナ禍で民間工事の案件が延期や凍結されるなどの事象も発生したほか、木材価格の高騰(ウッドショック)などによる収益のひっ迫など将来の展望が立たないことも背景に、事業継続を断念するケースが多くみられる。

 一方、サービス業は前年同期比26.7%増の38件、小売業も同22.6%増の38件とそれぞれ2割の増加で過去最高となり、B to C業種で後継者難倒産が急増している。飲食店などを中心に、後継者の不在に加えて新型コロナ感染拡大による個人消費の落ち込みが追い打ちとなったケースが多く、大阪府の居酒屋では新型コロナの影響による業績の悪化と代表の体調不良が重なり、事業継続の断念を余儀なくされた。また、東京都のマッサージ店では新型コロナの影響で収益が大きく減少するなか、代表の死去により先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念するケースもみられた。

サービス業、小売業は過去最高、B to C業種で近年大幅な増加がみられる

コロナ禍での事業承継、承継スキームのスピードアップと業績悪化抑制の「二正面サポート」が重要

今後も、新型コロナによる景気後退や経営環境の変化が想定される。ただ、こうした局面でも中小企業の事業承継はなお喫緊の重要課題であることに変わりがなく、事業を引き継がせたい・承継したばかりの企業に対する柔軟な支援が、後継者難による経営破綻を回避する上で重要なポイントとなる。

他方で、宿泊業や飲食業など需要の先行きがなお見通せないサービス業や、繁華街の路面店などB to C業種では総じて景況感の回復が遅れており、また緊急事態宣言の延長などで売り上げの減少や資金繰りの厳しさが長引くことも予想される。こうした先行きへの不安感が、後継者不在により事業の展望を描けなかった企業での「あきらめ型」の後継者難倒産増に拍車をかける可能性がある。

個人消費関連業種では、全体と比べて景況感の低迷が目立つ

一方で、政府は後継者不在の中小企業を対象に、第三者への承継に向けて取り組む場合に後継者マッチングの費用などの経費を上限額のなかで最大で3分の2まで補助するほか、事業承継支援に合わせて100億円規模の予算を計上する。事業引継ぎ支援センターを「事業承継・引継ぎ支援センター」へ発展的に改組し、事業承継に関する総合的な支援を実施するほか、後継者による新たな取り組みに対する事業承継後の支援も行う。

これまでも積極的にサポートする「プッシュ型」の事業承継支援を展開しており、そうした活動も奏功して全国の事業引継ぎ支援センターによる成約件数は増加傾向にあるなど、後継者問題の解決に向けた明るい兆しもみられる。

後継者難による倒産や廃業など事業の消滅を防ぐには、こうした積極的な支援策の展開に加え、特に増加が目立つB to C業種などを中心に、こうした支援を活用した後継者・事業譲渡先の選定などのステップをこれまで以上に速いスピードで促すと同時に、新型コロナによる業績悪化を抑制する二正面でのサポートが引き続き求められる。

構成/ino.

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