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「関税」とは誰がどこに払う税金のこと?意外と知らない基本的な仕組み

2024.07.15

免税・減税の条件

(出典) photo-ac.com

免税や減税には条件があります。ポイントは、課税価格が1万円未満の場合と総額20万円以下の場合です。

課税対象価格が1万円未満は免税

課税対象価格の合計額が1万円以下の輸入の場合、その関税及び消費税は免除されます。

ただし、消費税以外の内国消費税が課せられるもの(例えば、たばこや酒)は、合計額が1万円以下の場合でも免除対象にはなりません。

一方、『関税を免税しない物品』として定められた贈与品などに対しては、個人的使用と認められ、免税になる場合があります。

基本的に、課税対象価格が1万円以下になる場合は免税の対象となりますが、例外もあるためその都度確認しましょう。

参考:1006 課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について(カスタムスアンサー):税関 Japan Customs

総額20万円以下は簡易税率を適用

個人輸入において、一般貨物または郵便小包を利用した場合、課税対象価格が総額20万円以下になると『簡易税率』が適用されます。簡易税率とは、一般の関税率とは別に定められたものです。

一般の関税率を適用する場合は、数千に分けられた品目分類の中から税率が適用されます。しかし、この簡易税率を適用する場合は、7区分に大別された品目分類の中から税率が確定します。

総額20万円以下というのは、『一つの請求書(インボイス)に必要な課税対象価格の合計が20万円以下』という意味です。

輸入貨物を分けて輸入申告を行う場合は、それぞれのインボイスにかかる全ての貨物の課税価格を合計した額が対象となります。

参考:少額輸入貨物の簡易税率 : 税関 Japan Customs

関税の支払い方

(出典) photo-ac.com

関税は、貨物を輸入する者に対してその納税義務が発生します。『日本の税関に支払う』という点に注意しましょう。

納税義務があるのは貨物を輸入する者

関税が発生するのは、輸入貨物を保税地域から引き取るときです。納税義務者とは、その貨物を保税地域から引き取る者を指します。つまり、納税義務があるのは貨物を輸入する者(輸入申告者)です。

委託して通関業務を行い、輸入貨物を引き取る場合、納税義務が発生するのはその通関業者ではなく、通関業務を委託した者になります。

輸入取引の場合、納税義務者は国内取引のように事業者だけに限定されません。貨物を輸入すれば、主婦(主夫)や給与所得者も納税義務者になるということです。

参考:No.6133 輸入する貨物の納税義務者|国税庁

日本の税関に支払う

関税を支払う相手は『日本の税関』です。海外税関や海外のショップに支払うわけではありません。間違えやすいため注意しましょう。

支払いのタイミングは、一般貨物としての輸入なのか、海外ショップで購入しているのか、などによって異なります。

一般貨物として輸入している場合は、輸入申告をして通関業者などに代理で納付してもらうケースがほとんどです。海外ショップなどで購入した場合は、配達員から商品を受け取るときに、その配送業者に支払います。

個人輸入で支払う場合

個人輸入で関税を支払う場合、支払い方法は輸入業者によって異なります。

≪日本郵便を利用する場合≫

1.税関職員が、東京外郵出張所にて輸入書類を確認
2.税関職員が商品ごとに関税を決定
3.日本郵便が関税を立て替えて支払い
4.配達時に関税の支払い

≪ヤマト運輸や佐川急便など民間の配送業者を利用する場合≫

1.民間配送会社の職員が、民間配送会社の倉庫にて代理で申告
2.民間配送会社が申告と同時に関税を立て替えて支払い
3.配送時に民間配送会社に関税の支払い

大きな違いは、関税の決定を税関職員が行うのか、民間配送会社が代理申告するのかという点です。いずれにしても、関税の立て替え支払いを行ってもらえるため、スムーズに支払いを終えることができるでしょう。

関税を正しく支払わなかったらどうなる?

(出典) photo-ac.com

関税の支払いは法律で義務付けられた決まりです。正しく支払わなかった場合は、法律に従い罰則が科されます。

関税法違反は懲役・罰金

税関の課税を免れるための行為は、脱税に加担するということであり、関税法違反となります。懲役や罰金の対象となる行為は決して行ってはなりません。

犯罪行為の内容により法定刑は異なります。以下は一例です。

  • 輸出入してはならない貨物を密輸した場合、10年以下の懲役もしくは1000~3000万円以下の罰金
    (未遂も同罪であり、予備(犯罪の準備行為)は5年以下の懲役もしくは500~3000万円以下の罰金)
  • 申告の偽りや関税を免れる行為の場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金
    (未遂も同罪であり、予備は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金)

アンダーバリューは不正取引

アンダーバリューは、輸入ビジネスにおいて最も起こりやすいといわれる不正行為です。

直訳すると『値段未満』という意味になりますが、税関に提出する書類に記載する合計金額や単価を実際に仕入れた値段よりも安く表示・申告する行為を指します。

関税や消費税は輸入した商品の価格に対して課税されます。つまり表示・申告する金額が低くなれば、関税や消費税も安くなるのです。

しかし、これらは立派な不正取引であり、脱税として刑事罰の対象となる行為です。節税とは全く異なる行為のため、十分に注意する必要があります。

また、まれに取引先の外国会社からアンダーバリューを頼まれるケースもありますが、その場合も決して応じてはなりません。法に基づき、安全に輸入ビジネスを行いましょう。

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