ほんの出来心から隣の住人を覗き見したカップルは、思いがけない恐怖を体験する。
Amazon Prime Videoで2021年9月10日から独占配信中の映画『観察者』は、アメリカで製作されたエロティック・サスペンス。
主演は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『ノクターン』のシドニー・スウィーニー、『名探偵ピカチュウ』のジャスティス・スミス。
あらすじ
念願の同棲をスタートした、ピッパ(シドニー・スウィーニー)とトーマス(ジャスティス・スミス)。
通りの向かいに住んでいる夫婦(ベン・ハーディとナターシャ・ リュー・ボルディッゾ)が常にカーテン全開で生活していることから、双眼鏡で観察することが日課になってしまう。
しかしある日、向かいに住む男性が別の女性を自宅に連れ込んで浮気している現場を目撃。
心を痛めたピッパは、名前も知らない向かいの住人の女性に同情するあまり、暴走し始める……。
見どころ
主人公のトーマスとピッパは、やってることが観察者というよりは完全に“のぞき魔”な、不届き者カップル。
罪悪感を抱きながらも、下世話な好奇心を抑えることができない。
もちろん、ふたりとも自分たちの行為が悪趣味で道義に反することだとは自覚しているのだが、「困っている隣人を救うため」などと無理やり正当化して覗き行為をエスカレートさせ、盗聴にまで手を出してしまう。
視聴者から見たら、どう考えても野次馬的好奇心にかられているとしか思えないのだが、ピッパは真剣な表情で「私には正しいことをする道徳的責任がある」とまで断言する。
「危ない、助けなきゃ」「心配だわ」などのセリフを連発するピッパだが、「あんたが一番危ないよ」と誰もが突っ込みを入れたくなるだろう。
ひとの生活を覗き込んでいるうちに他者との境界線が曖昧になり、入れ込みすぎて距離感が狂っていくピッパの様子は、SNSに慣れ親しんだ多くのインターネットユーザーも他人事とは思えなくなるだろう。
一方、都会の真ん中でなぜか毎日カーテン全開の状態で生活している向かいの住人も、かなり変わっている。
無防備なのか、それともワザとなのか……。
人間の果てしない欲望の愚かさと恐ろしさを強調した衝撃の結末は、ぜひ本編を観て確認してほしい。
『観察者』
Amazon Prime Videoで独占配信中
(c)Amazon Studios
文/吉野潤子