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【開発秘話】累計で65万個売れている成城石井の「自家製 ピスタチオプリン カスタードソースがけ」

2021.09.27

■連載/ヒット商品開発秘話

 スイーツのトレンドは目まぐるしく変わる。これは世の常といってもいいものだが、最近のスイーツのトレンドの1つがピスタチオを使ったスイーツ。香ばしい味わいと色合いの美しさから、ピスタチオを使ったスイーツやピスタチオフレーバーの菓子類の発売が目立つようになった。

 ピスタチオを使ったスイーツの人気に火をつけたといってもいいのが、成城石井が2021年5月に発売した『成城石井自家製 ピスタチオプリン カスタードソースがけ』だ。特徴は、やさしい甘さのピスタチオプリンの上に、ピスタチオペースト入りの濃厚な甘さのカスタードソースを重ねたこと。甘さとピスタチオの味わいがしっかり感じられるものに仕立て上げた。発売と同時に注目を集め、8月末までに約65万個を販売している。

ピスタチオの濃厚な味わいと乳製品の相性は良い

 ピスタチオ味のプリンはどこでも売っているわけではないので珍しいといってもいいだろう。スイーツのフレーバーとして成城石井がピスタチオに着目したのは、2020年4月にイタリアから直輸入し販売したピスタチオスプレッドが大ヒットしたことにあった。ピスタチオの加工品が珍しかったことや濃厚な味わいが評価され、これまでに42万個以上が売れるほどの人気が出たが、この成功からピスタチオを使ったスイーツの可能性が模索された。商品本部商品部 次長の小林さゆりさんは次のように話す。

「ピスタチオのしっかりした濃厚な味わいには、お客様からの大きな支持が感じられました」

 ピスタチオに可能性を見出し、自社ブランドのスイーツに活用することを考える中で、プリンに生かしてみることにしたのは、ピスタチオスプレッドを買い付けたバイヤーからの情報がきっかけになった。開発を担当した製造本部製造部菓子グループの田部栄二さんは、ピスタチオをプリンに生かすことにした理由をこう明かす。

「バイヤーからの情報で、ピスタチオスプレッドを買い付けたときの話を聞き、ピスタチオと乳製品の相性が良いことを知りました。これを踏まえ、自家製デザートを開発するにあたり議論したところ、プリンが一番ふさわしいという結論に至りました。社内でもピスタチオフレーバーのプリンは最初から高く評価されました」

成城石井
商品本部商品部 次長
小林さゆりさん

製造本部製造部菓子グループ
田部栄二さん

しっかり固まる最大量のピスタチオペーストを配合

 プリンづくりにはピスタチオペーストを使うことにしたが、ピスタチオスプレッドに使われているものとは別のものを使うことにした。その理由は、甘味などがついていないシンプルな味わいで、より乳製品との相性がいいもの使いたかったからであった。

 ペーストなので、使いすぎると熱の入り方が弱くなりうまく焼けない。かと言って、少ないと「味がぼやけてしまう」(田部さん)。味がしっかり感じられつつも、しっかり固まるピスタチオペーストの最大配合量を見極めることが開発のポイントになった。

 味わいに加え、プリンらしい柔らかさ、なめらかな舌触りも外せなかったところ。これらすべてで納得のいくものをつくるべく試行錯誤を繰り返すことになった。つくった試作品は5回に及んだ。

 とくに難しかったのが焼き加減の調整。「様々な条件で試作をつくっては検証を繰り返しました」と田部さんは振り返る。

 プリンにはホイップクリームをトッピングすることにしたが、これは味や見た目を良くすることに加え、なめらかさを高める意味もあった。また、隠し味にシママース(沖縄の塩)を使用。わずかな塩味により、甘みとピスタチオの味わいを引き立たせることにした。

 さらに、成城石井で一番の人気スイーツ『プレミアムチーズケーキ』に使われているシュトロイゼル(小麦粉、バター、砂糖、シナモンなどを混ぜ、そぼろ状にしたもの)をトッピング。使用したシュトロイゼルはアーモンドプードル(アーモンドを粉末状したもの)を使ったホロホロ食感が特徴で、トッピングすることで味と食感にアクセントをつけた。

ホイップクリームの上に成城石井のスイーツで一番人気の『プレミアムチーズケーキ』に使われているシュトロイゼルをトッピング

発売開始直後は1日1000個を超えるペースで売れる

「ヒットの目安となる1日に1000個くらい売れてほしい、定番で売れ続ける商品になってほしい、と思っていました」

 このように明かす田部さんだが、発売から2日で2500個、1週間で約1万1000個を販売。いきなり、田部さんが願った1日1000個を軽く上回るペースで売れていった。この好調さを持続し続けたことで、現在の販売実績を築けたというわけである。

 いいスタートダッシュが切れたピスタチオプリンだが、店頭で特別な販促をしたわけではない。「店頭販促では、こだわりをしっかりと謳った商品画像入りの販促物を手配」(小林さん)した程度だ。

 それでも人気に火がついたのは、ピスタチオスイーツが話題になり注目されていたこと、そして味が高く評価されたからに他ならない。一度購入しピスタチオの味わいがしっかりと感じられるところなどを気に入ってリピートしてくれる人も多く口コミでも広がったうえに、話題のピスタチオスイーツということからメディアで取り上げてもらえる機会もあった。「話題になっていたことから、『買ってみよう』と手に取られるお客様が多かったです」と小林さんは明かす。

 人気が出て認知が広がったことに伴い、店舗でも売場面積を拡大。話題になっていることから買い求めにやってきた来店客のニーズを逃さないようにした。

取材からわかった『成城石井自家製ピスタチオプリン カスタードソースがけ』のヒット要因3

1.ピスタチオ人気をうまく生かした

 輸入販売していたイタリア産ピスタチオスプレッドのヒットにより、濃厚な味わいが特徴のピスタチオはさらに支持を得られることを確信。乳製品との相性がいい、というバイヤーからの情報も生かし、ピスタチオスプレッドのヒットからそれほど間を空けず開発・販売したことが奏功した。

2.濃厚でしっかりとした味わい

 ピスタチオといえば香ばしい味わいが特徴的だが、うまく焼くためにピスタチオペーストの使用を控えると味がぼやけ、使いすぎると熱の入り方が弱くなりしっかり焼けない。プリンに生かすには難しい面があったが、試作を重ねてしっかり固まる最大限の量を見出し、濃厚なピスタチオの味わいを実現した。

3. 人気継続の好循環を確立

 大々的な販促を実施したわけではないものの、話題のピスタチオを使ったスイーツということで発売当初から出足好調。人気が出たことで売場面積を拡大し続け、試しに買ってみようとした客層を取りこぼさないようにできた。取りこぼしが少なければリピーターなってもらえる可能性も高くなるので、売場の拡大を続けることで人気が継続する好循環が確立できたといってもいい。

 成城石井は自家製の惣菜、パン、スイーツを自社のセントラルキッチンで生産している。売場を拡大することができたのには、自社生産できることによりある程度柔軟に対応することが可能だったという側面があった。他社に生産委託していたら、売場面積の拡大はそう簡単にできなかったであろう。

 自社生産拠点を持つ小売業は少ないが、これがあることで欠品などを起こしたり販売機会を損失したりすることも少なく済む。簡単に真似できることではないが、小売業が自社製品でヒットを生むためには自社生産は無視できない要素である。

成城石井公式ホームページ

文/大沢裕司

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