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ことわざ「腐っても鯛」の言葉の由来と正しい使い方

2024.06.02

数あることわざの中でも、見聞きすることが多い「腐っても鯛」。優れたものの価値を表す言葉だが、なぜ「鯛」なのか疑問に感じた方もいるかもしれない。

そこで本記事では、「腐っても鯛」の正しい意味と由来、類語表現などを解説する。使い方も併せて確認して、実際に使う際の参考にしてほしい。

腐っても鯛とは?言葉の意味と由来

はじめに、「腐っても鯛」の意味と由来を解説する。正しい意味や語源を理解すれば、適切な使い方ができるはずだ。

「優れたものは傷んでもそれなりの価値がある」ことをたとえたことわざ

腐っても鯛は、「立派で価値の高いものは、たとえ状態が悪くなったとしてもなおその価値を保つ」という意味で、読み方は「くさってもたい」。

立派なさまや価値の高いものに対する褒め言葉で、物だけでなく人に対しても使うことができる。ただし、「腐っても」という消極的な表現を含むため、相手に直接使う言葉としては不向きである点に留意したい。

なぜ、たとえるのが「鯛」なのか?

あらゆる魚の中で、鯛がたとえとして用いられているのはなぜなのか。

それは、鯛が高級魚であることに由来している。日本では昔から、鯛を最高級の魚に位置付け、祝いの席で振る舞う“縁起物”として扱う風習があった。

そのような縁起物の鯛は、たとえ腐ったとしても他の魚より価値があるという考えから、「腐っても鯛」ということわざが生まれたと言われている。なお、地域によっては似た意味で「腐っても鯛の骨」と表現する場合がある。

「腐っても鯛」の使い方と例文

「腐っても鯛」は、人の能力や地位、名声などが一時的に低下したり、評価が下がったりしても、その本質的な価値は変わらないことを表すために使われることが多い。例えば、一時的に失敗した人や、一時的に評価が下がった商品やサービスに対して使うことができる。

【例文】

「彼は一時期ビジネスで大損したが、腐っても鯛だ。その後すぐに立ち直り、新たな成功を収めた」
「年老いたとはいえ腐っても鯛だ。彼女の演奏には今もなお多くの人が魅了される」
「腐っても鯛というように、長い年月が経った今でもこの車は価値を保っている」

「腐っても鯛」の類語

沈丁花

次に、「腐っても鯛」と似た意味を持つ類語を解説する。いずれも優れたものは状態が悪くなってもその価値を保つという意味だが、微妙なニュアンスの違いもチェックしてほしい。

沈丁花は枯れても芳し(じんちょうげはかれてもかんばし)

「沈丁花は枯れても芳し」は、「香りの強い沈丁花は、たとえ枯れてしまってもなおその香りを放つ」様子を表現したもの。「腐っても鯛」と同じく「優れたものは衰えても価値を失わない」という意味を持つ。

古川に水絶えず(ふるかわにみずたえず)

「伝統あるものや、基盤がしっかりしているものは容易に滅びない」ことを表現したのが、「古川に水絶えず」。「腐っても鯛」と同様の意味合いだが、「伝統」や「基盤」といった価値に着目している点でニュアンスが若干異なる。

破れても小袖(やぶれてもこそで)

「小袖」とは、絹の綿入れ(綿の入った防寒用の衣服)のこと。

「たとえ破れてしまっても、絹のよさは残っている」という意味から、「腐っても鯛」の類語となる。

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