目次
ビジネスシーンでも使える『鯉の滝登り』ということわざの意味をご存知でしょうか。
鯉の滝登りは、掛け軸などに描かれるおめでたい文様としても有名です。ポジティブな場面で使える言葉の由来や、正しい意味を詳しく解説します。
「鯉の滝登り」の意味とは?
『鯉の滝登り』は、縁起のよい図柄としても親しまれていることわざです。二つの意味とその由来を詳しく解説します。
二つの意味を持つことわざ
鯉の滝登りは、異なる二つの意味を持つことわざです。
一つめの意味としては、『勢いがよいこと』を例えるときに使われます。鯉が流れの激しい滝を登ることは、実際にはほぼ不可能ですが、文字通り滝を逆流するほど勢いがある様子を表しています。
二つめは、一つめの意味が転じて人の出世する様子を表すことわざとしても使われます。『栄達』や『立身出世』という意味です。
また、鯉の滝登りは掛け軸の図柄としても一般的です。子どもが鯉のようにたくましく成長することを願って、出産や成長のお祝いとして飾られることもあります。
縁起物として扱われることも
立身出世(社会的に良い地位について名声を得ること)の意味を持っていることから、鯉の滝登りを描いた文様は古くから縁起のよいものと考えられています。他にも、商売繁盛や金運アップなど、幅広い意味が込められています。
滝の流れに立ち向かう鯉は障害を乗り越える忍耐強さの象徴とされ、古くから人気のあるモチーフです。中にはつがいの鯉が描かれたものもあり、こちらは夫婦円満を表しています。
特定の季節を指した図柄ではないため、おめでたいものとして掛け軸などを1年中飾れるのもうれしいポイントです。
なお、端午の節句に飾られる鯉のぼりもこの言葉が基になっているので、鯉の滝登りを5月ごろを表すモチーフと見なす人もいます。
中国の故事が由来
鯉の滝登りは、中国の故事が由来になった言葉です。黄河には『竜門』と呼ばれる場所があり、その激しい流れを登り切った魚は竜になれるとされていました。
たくさんの魚が黄河を登ろうと試みましたが、鯉だけが竜門を登り切って竜となったといわれています。
また、竜門の名前になぞらえて『登竜門』という言葉も生まれました。
鯉が竜に成長した伝説から、鯉の滝登りは立身出世を表す言葉として知られています。鯉自体も出世魚と考えられており、江戸時代から子どもの出世を願って鯉のぼりが飾られるようになったのです。
「鯉の滝登り」の使い方と例文
鯉の滝登りは出世を表しているため、仕事に関して使われることが多い言葉です。正しい使い方や、具体的な例文を見ていきましょう。
ビジネスなどで出世するとき
鯉の滝登りは2種類の意味を持つことわざですが、どちらの意味であっても基本的にはポジティブな場面で使われます。
一般的には、人の出世をたたえるときに使用します。勢いがよいという意味も持ち合わせているため、早い出世に対して使うのが自然です。
まだ若いのに重要な役職に抜擢された人や、出世を果たした同期などに対して使ってみましょう。
「鯉の滝登り」の例文
鯉の滝登りは、会社などの組織の中で出世することを表すことわざで、下記のように使われます。
- 「あの人は鯉の滝登りのように出世した」
- 「鯉の滝登りをするためにチャンスを狙う」
また、勢いがよいことを指す言葉ですから、飛躍的に業績が上がったときや、短い期間でヒットした商品に使う表現としても適しています。
- 「業績が回復して鯉の滝登りのように会社が大きくなった」
- 「まさに鯉の滝登りのような状態だ」
褒め言葉として使える言葉です。勢いに乗っている人やものに対して使ってみましょう。
「鯉の滝登り」の類語
鯉の滝登りは、ビジネスシーンで使える便利な言葉ですが、他の表現でも代用が可能です。言い換え表現もチェックしておきましょう。
「うなぎのぼり」
『うなぎのぼり』とは、ある物事の評価や価格などが急激に上昇することを表す言葉です。うなぎは海で生まれ、川をまっすぐに遡上することからこの言葉ができたといわれています。
数値や人気が勢いよく上がることを表すため、勢いがあるという意味で鯉の滝登りと同様に使うことが可能です。以下のように使ってみましょう。
- 「売上がうなぎのぼりだ」
- 「彼の評価がうなぎのぼりになっている」
『うなぎのぼり』という言葉はビジネスシーンに限らず、物価などものの上昇に対しても使えるのが特徴です。こちらもネガティブな場面で使われることは少なくなっています。
「登竜門」
『登竜門』は、鯉の滝登りと同じ故事が由来になった言葉です。中国の『後漢書』に登場することわざで、竜門と呼ばれる急流を登り切れた魚は竜になれるという伝説が基になっています。
登竜門は、立身出世や成功を掴むための関門という意味で使われるようになりました。人の立身出世を表す点で、鯉の滝登りと似た意味を持つことわざです。
- 「芥川賞や直木賞は、作家の登竜門として有名だ」
- 「この試験が出世の登竜門だ」
これさえ乗り切ればうまくいく、出世につながるという場面で使われます。