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電子契約は本当に有効か?紙の契約書と比べた時のメリットとデメリット

2021.09.16

新型コロナウイルス感染症の影響で、急速にテレワークが普及したことに伴い、多くの企業が紙の契約書から電子契約にシフトしています。

電子契約に馴染みがない方は、

「法的な有効性は問題ないのか」
「セキュリティは大丈夫なのか」
「そこまでして導入する意味があるのか」

などと疑問に思うかもしれません。

今回は、このようなよくある疑問点を踏まえつつ、電子契約の有効性・メリット・デメリットなどを解説します。

1. 契約は形式を問わない|電子契約も有効

電子上で締結される契約はそもそも有効なのか、という疑問を最初に抱く方も多いでしょう。

結論から言えば電子契約は、紙の契約書と同様に、有効性が認められます。

なぜなら、一部の例外を除いて、契約締結の方式は法律上決まっていないからです。

つまり、紙の契約書を締結することは必然ではなく、口頭の合意により締結してもよいですし、電子契約も当然ながら有効となります。

紙の契約書と電子契約は、プリントアウトしているかどうかが異なるだけで、内容面での実質的な違いはありません。

そのため、紙の契約書を電子契約書に置き換えることは、特に支障なく行うことができる企業が多いと考えられます。

2. 電子契約の主なメリット

電子契約には、業務の効率化の点で多くのメリットがあるほか、新型コロナウイルス感染症対策や、その他の観点でも注目されています。

電子契約の主なメリットは、以下のとおりです。

①リモートでの契約締結が可能

電子契約はオンラインで締結できるため、契約締結の際に当事者が一堂に会する必要がありません。

移動コストの削減に繋がるほか、感染症対策としても有効です。

②契約書の保管コストが減る

紙の契約書を保管するには、物理的なスペースが必要です。

これに対して電子契約は、クラウド上などで保管できるため、保管のための物理的なスペースを確保する必要がありません。

そのため、コロナ禍以降のオフィス面積削減の流れにもマッチしているといえるでしょう。

③パスワードやアクセス制限をかけられる

電子契約はセキュリティ面が心配されることも多いですが、パスワードやアクセス権を設定できる点では、むしろ紙の契約書よりもセキュリティ性が高いといえます。

適切にパスワードやアクセス権をすることで、情報漏えいのリスクを最小限にとどめることが可能です。

④印紙税がかからない

紙の契約書を締結する場合、契約内容および取引金額に応じて、一定額の収入印紙を貼付しなければなりません。

これに対して電子契約は、印紙税の課税文書とされていないので、収入印紙を購入するコストを削減できるメリットがあります。

3. 電子契約が紙の契約書に劣るポイントは?

電子契約は、対面せずにリモートで締結するという特性上、相手方の側で誰が締結の操作を行ったのかを直接確認することができません。

そのため、権限のない人が締結を行ったとして、契約の有効性が争われるリスクがあります。

しかし、後述する電子署名を活用するなどの方法で対策が可能なので、事前に契約締結フローをきちんと整理しておけば問題ないでしょう。

もう1点、電子契約に特有のデメリットとして、メールの誤送信やサイバー攻撃による流出のリスクが存在します。

ファイル流出による情報漏えいを防止するためには、前述のパスワード・アクセス権の設定を徹底するとともに、従業員に対する情報セキュリティ教育を行うことが大切になるでしょう。

4. 電子契約サービスを選ぶ際のポイント

電子契約の締結・管理に関しては、すでにさまざまなサービスがリリースされています。

電子契約サービスを選ぶに当たっては、以下のポイントに着目するとよいでしょう。

4-1. 「電子署名」に対応しているサービスが望ましい

電子契約の締結に際して、契約締結権限の有無に関するトラブルを防止するためには、「電子署名」を利用するのが有効です。

電子契約に電子署名を施すことで、契約書が真正に成立したこと(=権限ある人によって契約が締結されたこと)が推定されます(電子署名法3条)。

電子署名を施す仕組みは、電子契約のサービス上で提供されていることがあるので、サービス運営会社に電子署名への対応の有無を確認しましょう。

4-2. 契約書の作成・管理に関する機能にも着目

契約書の作成・管理に関する機能は、利用する電子契約サービスによってさまざまです。

テンプレートの登録や、クラウド上で契約書の編集ができるサービスもあるので、自社のニーズに合ったものを選択してください。

4-3. 費用もさまざま|最初は簡単なサービスからでも可

充実した機能を有する電子契約サービスは、その分月額の費用も高額になります。

電子契約を締結する頻度が少ないのに、高額の電子契約サービスを契約するのは、コストパフォーマンスが悪いです。

そのため、まずは費用の安い電子契約サービスを利用して、電子契約の利便性を実感できた段階で、より高機能なサービスへ移行するという考え方もあり得るでしょう。

電子契約のメリット・デメリットは、とにかく体験してみなければわからない部分もあるので、お試しでも一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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