遊び人の御曹司が一目惚れした女性は、真面目で努力家の医学生。
彼女に一目置かれるために“ハングリー精神旺盛な貧乏青年”を演じるが、ウソだらけの恋の行方は……!?
2020年4月30日よりNetflixで独占配信中のNetflix映画『リッチな僕が恋したら』は、ブラジルのラブコメディ。
主演は『3%』『スペクトロ』ダニーロ・メスキータ。
あらすじ
トマトソースで富を築いたトランコソ家の御曹司テト(ダニーロ・メスキータ)。
いつも周りの人々にちやほやされ、甘やかされながら生きてきた。
ある日、テトの大規模な誕生日パーティー“トマト祭”が開催される。
家政婦の息子で兄弟同然の仲であるイゴールの恋を応援しようと考えたテトは、イゴールが片思いしている女性セルマを“トマト祭”に招待する。
しかしセルマはテトの御曹司としての地位に惹かれており、イゴールの目の前でテトにキスをする。
傷ついたイゴールは、「セルマが好きなのは君自身じゃなくて、君のお金や名誉かもね」と捨て台詞を残して去る。
思いがけず核心を突かれて大きなショックを受けたテトだったが、その直後にパーティー会場で暴漢に絡まれていた医学生パウラ(ジョヴァンナ・ランセロッチ)を助け、負傷する。
勤勉で優しく美しいパウラに一目惚れしたテトは、彼女に気に入られるために「貧乏育ちの苦労人」だと嘘を付いて接近する。
見どころ
パウラに出会うまでのテトは、いかにもお金持ちの放蕩息子といった感じだった。
いつも違う女性をとっかえひっかえ自宅に連れ込み、午後起床が当たり前。
家政婦に特別に作ってもらう、お花の形の目玉焼きがお気に入りだ。
テトとは真逆の真面目な努力家イゴールに対しては、「勉強なんかサボって一緒に遊ぼうよ~」と悪魔のささやき。
さらには地元警察にも“トマト王子”と呼ばれ、多少の交通違反は見逃されてきた。
“売り家と唐様で書く三代目”のことわざ通りの青年だ。
父親を含む周りの人間は“やれやれ”といった表情だが、総じて対応が“激甘”。
大事に育てられたテトは、甘え上手で憎めない性格なので、何となく許されてきたようだ。
しかしテトは、先代が必死に築きあげてきた財産と社会的地位に甘えながらも、そんな自分自身に心のどこかでずっとコンプレックスを抱いていたのかもしれない。
兄弟同然のイゴールからの厳しい指摘、そしてパウラとの出会いをきっかけに、テトは少しずつ確実に変化していく。
やはり苦労人かつ聡明な人というのは、たとえ高級品できらびやかに着飾っていなくとも本物の輝きを持っており、人の心を掴むもの。
テトも“勤勉な努力家”を演じているうちに、内側に眠っていた元来の魅力が輝きはじめ、本当に大切なことに気付くようになる。
根性、忍耐、謙虚さ、堅実さ……テトが今までの人生で意識してこなかったことを一つひとつ身につけながら“自分磨き”を重ね、いつしか“嘘から出たまこと”になっていく過程も見どころ。
同じくブラジルで製作されたNetflix映画『レッツ・カーニバル!』にも出てきたが、ブラジルならではのド派手すぎる祭りのシーンは観ているだけでも楽しくなる。
両作品とも、とにかく派手だけれど荒んだ毒々しさはなく、素朴な温かさや人情味も感じられるのが魅力だ。
Netflix映画『リッチな僕が恋したら』
独占配信中
文/吉野潤子