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【開発秘話】累計29万本以上売れているミニストップ「のむ」シリーズ

2021.08.21

■連載/ヒット商品開発秘話

 ミニストップといえば、店内調理のソフトクリームやハロハロ(フィリピンの代表的なかき氷デザート)といったコールドスイーツが人気。夏のいまこそいただきたいものが目白押しだが、そんな人気コールドスイーツがドリンクになったのをご存じだろうか? 『のむ』シリーズのことで、現在売れ行きが好調だという。

『のむ』シリーズはこれまでに3種発売。2021年3月に発売された『のむソフトクリーム バニラ』(現在は販売終了)は18万本以上、6月に発売された『のむソフトクリーム ベルギーチョコ』は9万本以上、7月に発売された『のむハロハロ ラムネ味』は2万本以上売れている。

のむソフトクリーム バニラ

鬱々とした気分を晴らす楽しい商品をつくる

 最初に発売された『のむソフトクリーム バニラ』の開発がスタートしたのは2020年11月。新型コロナウイルスで外出などが思ったようにできなくなったことで生じる、鬱々とした気分を晴らしたいという想いからつくることになった。『のむ』シリーズの開発を担当した商品本部グロッサリー・日用品商品部 飲料・食品チームの林満春氏は次のように話す。

「ミニストップに行けば楽しい気分が味わえることのほか、加盟店のオーナーや従業員の皆さんが売場に商品を並べたり発注したりすることが楽しく売りたいと思える商品をつくりたいと考えました」

ミニストップ
商品本部グロッサリー・日用品商品部
飲料・食品チーム
林満春氏

 どうやって楽しさを打ち出すかを考えたときに着目したのが、他のコンビニはないミニストップならでは特徴である店内調理のコールドスイーツ。「ソフトクリームを飲料にすれば驚きがあり、コールドスイーツを飲料にすることをシリーズ化して展開できれば、売場全体で楽しさが表現できます」と林氏は話す。

社長が試作品を評価

 ミニストップのソフトクリームは、最初に甘さがガツンと来てからバニラの濃厚な味わいが感じられ、最後にスッと溶けていくのが特徴。この味を目指すことにしたが、ソフトクリームと飲料とでは使う材料が異なる。おなじみの味が感じられつつも飲料としての特徴を出すことにした。

 打ち出すことにした特徴は食感。粘度を高め飲料でありながらソフトクリームを食べたような実感が得られるものとすることにした。

 ソフトクリームに使っている原料(ソフトミックス)を使えば、簡単に味の再現ができそうに思えるが、『のむソフトクリーム バニラ』では使っていない。その理由は、「そのまま使うと味の濃厚さが表現できなかったため」と林氏は話す。

 ソフトクリームとは別の材料を使って味を再現するのは容易なことではない。だからといってかけ離れたものをつくると、もし営業面で振るわなかったりしたときにソフトクリームのイメージが悪くなるかもしれない。そのため社内では、商品コンセプトは評価されたものの、商品化には懸念が示されたほどだった。

 懸念を示した人たちにも納得してもらえるよう、開発には手間をかけた。通常だと5〜10回程度で済む試作回数も30回近くに及び、必ずソフトクリームを食べてから試飲し評価した。

 試作品の評価はこれまでにない顔ぶれで実施された。ソフトクリームの開発担当はもちろんのこと、林氏の上司に当たるグロッサリー・日用品商品部のマネジャーと部長、商品本部長、代表取締役社長の藤本明裕氏も試飲。全員が納得できるものができたところで販売にゴーサインが出て、発売に至った。

 なお、同社が自社ブランド商品を開発する際、社長が試作品を評価することはコールドスイーツ以外ではない。ミニストップにとってソフトクリームは看板商品であることから、『のむソフトクリーム バニラ』の成否は会社全体に関わることとして捉えられ、試作品の評価に関わることになった。

第2弾はベルギーチョコしか考えられなかった

「どれくらい売れるか未知数でした」と振り返る林氏。発売してみると、デザートドリンクのカテゴリーでは圧倒的に売れており、飲料全体で見てもトップのカフェオレに次ぐ位置につけている。

 販売に当たっては、事前にプレスリリースを発信すると同時に、公式Twitterでも発売を告知。広報担当のゆるキャラ「ミミップくん」が登場して新発売についてつぶやいてもらった。公式Twitterはフォロワーが100万人を超えおり、多くの人の目に留まっただけではなく、「いいね」がついたりリツイートされたりしたことでつぶやきが拡散している。

発売になったことを知らせるミニストップ公式Twitter。公式キャラクターのミミップくんが登場し発売をつぶやいた。写真は『のむソフトクリーム ベルギーチョコ』発売時のもの

 ただ、店頭に1種類だけ置いていても埋没するだけ。目立つ場所に陳列したりPOPを掲示したりしても、限界がある。

 埋没しないようにするには、バリエーションを増やすし面で陳列することが求められる。シリーズ化はもともと念頭にあったことから、2021年2月にシリーズ第2弾の『のむソフトクリーム ベルギーチョコ』の開発に着手する。ベルギーチョコは毎年期間限定販売ながら人気はバニラに次ぐことから、林氏は「次はこれしか考えられませんでした」と話す。

氷はラムネゼリーで再現した『のむハロハロ ラムネ』

 バニラ同様、ソフトミックでは味の再現が厳しかったことから、ベルギーチョコでもソフトミックスは使用せず。ただ、肝心のチョコレートに関しては、ソフトクリームと同じベルギーチョコレートとクーベルチュールチョコレートを使った。

『のむソフトクリーム ベルギーチョコ』はソフトクリームの特徴である味の濃厚さを再現したほか、ココアではなくチョコドリンクであることを示すために甘さを控えめにしてほろ苦さが感じられるようにした。試作品を試飲する前は必ずベルギーチョコ味のソフトクリームを食べてから試飲。つくった試作品の数はバニラのときと同程度で、試作品を評価した顔ぶれもバニラ同様だ。バニラが売れて実績ができたことから、企画には肯定的で、開発は進めやすかったという。

のむソフトクリーム ベルギーチョコ

 第3弾の『のむハロハロ ラムネ』は2021年4月頃から開発に着手する。ハロハロを飲料で再現することも当初から構想にあったが、これまでのソフトクリームとは異なるので、林氏には「うまく再現できるだろうか?」という不安があったという。

 悩ましかったのは、ハロハロに使われている氷を何で表現するかであった。林氏が出した答は、ラムネゼリーの使用。ラムネシロップをかけ、氷の透き通った清涼感を再現することにした。加えて、シロップ漬けした黄桃と寒天を使うことで、ハロハロらしさを打ち出すことにした。ハロハロに使われているソフトクリームについては、後味でバニラが感じられるようバニラフレーバーをプラスした。

 ソフトクリームとは異なるので開発は苦戦したかと思いきや、「氷の食感の再現を目指したわけではないので、つくった試作品はむしろ減って15回ほど」と林氏。試作品を評価した顔ぶれはこれまで同様で、ハロハロを食べてから試作品を試飲した。

のむハロハロ ラムネ

取材からわかった『のむ』シリーズのヒット要因3

1.楽しさがある

 コールドスイーツを飲料で再現したことは意外性が高い。コロナ禍で鬱々とした気分になりがちな現在、こうした意外性のある商品に楽しさが感じられ、手に取ってもらいやすかった。

2.高い再現性

 ソフトクリームやハロハロのイメージを壊すことなく再現。おなじみのあの味が通年で楽しめる点が消費者に刺さった。ただ奇抜なだけでは売れ続けないが、食べたことのある味だと継続して売れやすい。

3.強みを生かした

 他のコンビニと違い、ミニストップはコールドスイーツを店内で調理して提供するところに特徴があり、利用客から高い支持を得ている。この強みを生かし開発したので、支持が得られた。

『のむ』シリーズは今後も、新フレーバーの開発・販売が考えられている。ハロハロの別フレーバーやパフェも、ひょっとしたら飲めるになるかもしれない。また、実績が出たこともあり、飲料以外でもソフトクリームをイメージした商品が開発されるようになったという。

 なお、バニラについては近々、販売を再開する予定。将来的にはリニューアルしたい考えだ。

ミニストップ公式HP
https://www.ministop.co.jp/

文/大沢裕司

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