最近では異業種の企業同士がさまざまなコラボをしてキャンペーンやイベントを実施している。今回は、最新の異業種コラボを2つ紹介する。
そして気になるのが、お互いに社員同士の付き合いはあるのか、お互いの商品を利用しているのかなどの実態だ。企業担当者にインタビューした内容もあわせて見ていこう。
イエローハットとピザハット
カー用品専門店「イエローハット」を全国展開する株式会社イエローハットと、世界的ピザチェーン「ピザハット」を展開する日本ピザハット株式会社は、異業種ながら「ハット」つながりというだけで昨年よりコラボキャンペーンを実施している。
きっかけは2019年にさかのぼる。イエローハットが「8・10(ハット)」にちなんで8月10日を「帽子(ハット)の日」という記念日として正式に登録申請する際、同じ「ハット企業」としてピザハットに「一緒にハットの日を盛り上げないか」と声かけをした。しかしピザハットのハットは「帽子」の「hat」ではなく「小屋」を意味する「hut」であることが判明し、断念。しかしその後、両社はSNSなどで頻繁に議論を重ね、翌年2020年には念願のコラボキャンペーンを実施するに至った。
そして今年も、8月10日のハットの日に際して、両社はキャンペーンを実施することとなった。今回は、hatとhutの違いの認知度を図るべく事前に「ハット認知調査」を実施。両社のハットの意味が違うことを知っている人はわずか14%で、残りの86%がいまだにハットの違いを「知らない」という事実が明らかになった。
この衝撃の結果を重く受け止め、両社で検討した結果、今年はハットの違いだけを知ってもらうために、「たった1問だけの全国統一ハット模試」を2021年8月4日(水)から開催している。
「両社の想いは『ハットの違いを判って欲しい。』ただそれだけなので、問題はたった1問です。覚えてほしいのは、hatとhutの違い。0点か100点しか存在しない究極の全国統一模試となっております」(イエローハット担当者)
この全国統一ハット模試に正解すると、先生から壮大に称賛されるというご褒美がある。合格したい人はこの動画で勉強しよう。
この企画に伴い、コラボTシャツが当たるTwitterプレゼントキャンペーンや、ハットの日スペシャル感謝セールも開催されるので、お得をゲットすることも可能だ。
●担当者インタビュー
ところで、イエローハットとピザハットは、サービスとして何の共通点もない異例のコラボだ。お互いに仲がいいのか、両社のサービスを利用しているのか? その実態を探るべく、インタビューを行った。
今回、インタビューに応じてくれたのは、イエローハットの販売促進部広告宣伝課 係長 桑原さんだ。
―ピザハットとコラボするようになってから、社員同士のお付き合いはあるのでしょうか?
「ピザハットさんのご担当者様とは、コロナ禍でもあるため、テレカンで交流をさせていただいています」
ちなみに、テレカンとはテレフォンカンファレンスのことで、web会議やオンライン会議のことだ。コロナ禍とはいえ交流があるとは、やはり仲良しの様子。
―イエローハットの社員の方は、ピザハットのデリバリーを依頼したりするのでしょうか。
「私個人ではありますが、コラボさせていただいて以降、ピザのデリバリーはピザハットさんだけです」
さすが係長。異業種コラボとはいえ、絆の強さが伺える回答だ。
―今回の企画の注目ポイントを教えてください。
「事前にも調査を取ったのですが、企業名を覚えられていないというのは、ピザハットさん、イエローハットともに、ショックであるとともに、危機感を感じており、どうにか覚えてもらうために、と両社で知恵を絞りました。
1問だけの共通模試というアイデアを展開させていただきましたが、8月10日がハットの日ですので、その機会に、ぜひ、どなたでも模試に挑戦していただき、実際に少しでも名前を覚えていただければと思っております」
イエローハットはhat、ピザハットはhut。ぜひ覚えてあげよう。
京王プラザホテルと日清カップヌードル
新宿にある高級ホテル、京王プラザホテルは今年50周年を迎える記念として、日清カップヌードルとコラボイベントを開催している。
2021年7月1日(木)~8月31日(火)の期間中、日清カップヌードル8種類をアレンジしたメニューをホテル内のレストランやバー、合計5店で提供する。
例えば、オールデイダイニング<樹林>では、ランチ&ディナーにて「50周年コラボレーションコース」(4,500円(サービス料・税込))などを提供する。
オールデイダイニング<樹林>「シーフードヌードルを詰めたスモークサーモンと白身魚のファルス スープ仕立て」
また、和食<かがり>ではランチ「カップヌードル御膳」を3,800円(サービス料・税込)、メインバー <ブリアン>では「カップヌードル シーフード ウォッカベース」1,650円(サービス料・税込)など、日清カップヌードルがシェフらによって豪華にアレンジされ提供される。
スーパーブッフェ<グラスコート>「カップヌードル チリトマトヌードル」
●担当者インタビュー
ところで、この高級ホテルとカップヌードルの組み合わせも、なかなかまれに見るコラボだ。シェフたちは、カップヌードルを日頃から食しているのだろうか?
京王プラザホテルの広報担当者は次のように話す。
―京王プラザホテルのシェフのみなさんは、日清カップヌードルを食すことはあるのでしょうか?
「今回、カップヌードル8福神と呼ばれる8種類を使用しましたが、コラボ企画に携わったシェフの中には、普段から食べている人もいれば、あまり食べたことがない人もおりました。コラボ企画を機に、社内のカップヌードルのファンが増えたことは間違いないかと存じます」
シェフに食してもらえたカップヌードルは、さぞかし嬉しかったことだろう。
―京王プラザホテルは『高級ホテル』に位置付けられるかと思いますが、今回、カップラーメンという一般的にはかけはなれた食品とコラボに踏み切られた経緯をお聞かせください。
「京王プラザホテル50周年を迎え、1971年の開業当時から多くの人が集まる広場(プラザ)を目指してきた当社だからこそ、新宿という地から多くの人がワクワクするような楽しみを届けたいと全社一丸となって新たな挑戦として取り組みました。
そして『50周年』『新宿』『楽しさ』をテーマに、新宿を本社とする日清食品様が提供するカップヌードルの発売も今年で50周年、ともに新たな試みをしようと今回のコラボレーションが実現しました」
―今回のコラボ企画の注目ポイントを教えてください。
「今回のコラボメニューは西洋料理・日本料理・中国料理・ブッフェ、そしてカクテルのそれぞれの特性を活かし、ホテルクオリティに仕上げました。メニュー開発には料理長とともに若手のスタッフが中心となり、ホテル(各レストラン)伝統の味とベテランの技術に、若手の斬新な発想が加わったことで、50周年にふさわしいメニューとなっています。カップヌードル8福神全種類と謎肉を使用し、アイデアと技術によってホテルクオリティに仕上げた味をぜひお楽しみいただきたいです」
カップヌードルファンはもちろんのこと、普段から京王プラザホテルを利用するカップヌードルを口にしたことのない層にも、新たな気づきをもたらしてくれそうだ。
面白い異業種の企業コラボを紹介してきた。どちらも意外性があって面白い。お互いに交流や利用により、新たな発見がありそうだ。
【参考】
イエローハット「全国統一ハット模試」特設サイト
イエローハット「ハットの日スペシャル感謝セール」特設サイト
ピザハット「お持ち帰り55%OFFキャンペーン」特設サイト
京王プラザホテル × カップヌードル 50周年記念コラボサイト
取材・文/石原亜香利