営業トップセールスマンは、モチベーションを常にコントロールできているといわれる。厳しいノルマに対しても果敢に取り組んでいき、決してモチベーションを落とすことはない。果たしてそこにはどんな思いやテクニックがあるのか。
それを知るべく、元トップセールスに営業職のモチベーション維持の秘訣を聞いた。テレワークでのモチベーション管理のコツも合わせてチェックしておこう。
営業職のモチベーションが保てない人の原因5つ
営業職は、数ある職種の中でも、モチベーション維持が重要といわれている。まずはモチベーションを保てない原因を、トップセールスの経歴を持ち、現在は研修・コンサルティングを行うウィル・スキル・アソシエイト株式会社の代表取締役である竹内慎也氏に聞いた。
【取材協力】
竹内慎也氏
ウィル・スキル・アソシエイト株式会社 代表取締役
訪問販売会社での営業経験を経て、ネット通販ビジネスを立ち上げた後、会社組織を学ぶため株式会社インテリジェンスに入社。入社後、新人賞、トップセールス他、チームでの入賞多数。2011年、営業、マネジメント、起業経験を活かし、ウィル・スキル・アソシエイト株式会社を設立。中小企業のクライアント500社以上に研修、コンサルティングを実施し、企業の活性化、組織構築サポートを行っている。
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1.モチベーション=気分と勘違いしている
「モチベーションを『気分』と思い込んでいる人が多いと思います。そうなると気分次第で行動が決まってしまいます。例えば、今日は楽しい気分だからうまくいきそうだな、今日はイライラしているからどうだろう、など、気分に流されてしまいます。モチベーションは気分とは異なるのです」
2.モチベーションとテンションを混同している
「モチベーションと一過性のあるテンションを混同しているケースも多いと思います。するとモチベーションを高めるつもりが、テンションを高めようとして、無理が生じてしまい、逆に疲れてしまいます」
3.モチベーションを維持する感覚がそもそもなく、現実逃避する
「そもそも、モチベーションを維持しようという感覚がない人もいます。すると、目の前のノルマや困難に対して何の対処もできず、現実逃避するしかなくなってしまいます」
4.自分を肯定的に捉えられない
「その日、1日の中での良かった出来事を振り返る習慣がないと、自分を肯定的に捉えることができません。ネガティブになってモチベーションが日に日に下がってしまいます」
5.目の前の苦労にとらわれ、絶望感を持ってしまう
「お客様に断られ続けるなど、今、目の前の苦労や困難なことが一生続くと思い込んでしまい、絶望感を持ってしまうケースもあります。そうなるとモチベーションどころではなくなってしまいます」
モチベーション維持がうまい営業担当者が持っている意識
では、モチベーション維持がうまい営業担当者は、どのような意識を持っているのか。竹内氏は次の5つを挙げる。
1.決断が早い
「モチベーションの維持がうまい人は、そもそも『モチベーションが上がらないな…』など、モチベーションのことで長く悩まず、口にせず、『よし、やるぞ』と決断を早めるようにしています」
2.落ち込みすぎる前に予防策をとっている
「モチベーションは、そもそも浮き沈みがあるということを理解しています。そのため、もし落ち込むような状況が訪れたときには、自分が落ち込みすぎる前に、自分自身のメンテナンスや対策を行っています」
3.成長実感を得ている
「たとえうまくいっても、いかなくても、どのような状況であっても、人は成長します。自分の過去と比較をし、できるようになったことを見つけ、成長実感を得ることは、モチベーション維持につながります」
4.今の苦労をポジティブに捉えている
「もし、目の前の状況が厳しいものであったとしても、今の苦労は将来の笑い話になると思い、つらくても向き合っています」
5.成長する将来を信じている
「つらい状況のときには、今の困難は自分の成長のためになるだろう、と自分の将来を堅く信じています」
テレワークにおけるモチベーション管理のコツ
最近では、営業担当者もテレワーク化して、遠隔でのオンライン営業に転じたケースもあるだろう。しかしテレワークになると、いつもとは環境が異なる上に、一人きりであるため、モチベーション管理はさらに難易度が上がると考えられる。
テレワーク時にモチベーション管理をするコツは? 竹内氏は次の4つを挙げる。
1.1日の目標を決める
「まず目標を決めることが重要です。例えば午前中、午後に細分化し、それぞれに達成すべきことを明確に決めます。そして、それに集中することで、その目標達成のために突き進むことができます」
2.ゲーム感覚で細かく振り返る
「ただ目標のためにひたすらやるのではなく、30分単位などで時間管理をし、細かく進捗やできたことを振り返ることも大切です。このとき、ポイントになるのがゲーム感覚を持つことです。ゲーム感覚を持つと、自然と楽しくなってきてモチベーションを考える必要もなくなってくるはずです」
3.やるべきことを書き出す
「目標設定や振り返りをする際におすすめなのが、マンダラチャート等を使い、自分がやるべきことを書き出し、朝や昼などに振り返る習慣を持つことです。マンダラチャートとは、3×3の9つのマス(大きなものは9×9のマス)に目標を書き込むチャートのことです。中心のマスに目標達成したいことを書き込み、周りのマスにその目標達成のためにやるべきことを書き込みます。一つ一つのマスをすべて達成していくことで、最終的に中心のマスの目標が達成されます。成果が目に見えることで、モチベーション管理がしやすくなります」
4.昼休みに本や動画に触れる
「昼の休憩時間などに、営業の本を読んだり、意欲の高い方の熱量に動画などで触れたりするなどして、自分自身に良い影響を取り込むこともおすすめです」
これらのモチベーション管理方法は、営業職はもちろん、それ以外の職種でも活用できそうだ。モチベーション管理を日頃から意識しながら、常に最高の状態で取り組もう。
取材・文/石原亜香利