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昼間に急に来る睡魔、それって病気かも!?医師に聞く、“居眠り病”ナルコレプシーの原因と対策

2021.07.15

働き盛りの世代が知っておくべき、健康寿命を延ばす術を紹介する「忍び寄る身近な病たち」シリーズ。今回は睡眠に関してである。

睡眠障害とは眠りが浅く何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったり、熟睡の満足感が得られないこと。私も多かれ少なかれ、このどれも自覚症状がある。

だが、“眠り過ぎ”も厳しい障害と指摘するのは、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS・トリプルアイエス)の神林崇教授である。今回取り上げるのは、過眠症の中でも昼間、常に眠気に悩まされるナルコレプシー。症状の差こそあれ、日本人の600人に1人の割合で罹患していると言われる。

さらにお酒と睡眠のこと。加齢に伴い気になる睡眠不足と認知症の関係。そして昼間、睡魔に襲われないためにはどうしたらいいか。私を含め昼間度々、睡魔に襲われ机にうつ伏す人にとっては切実な問題だ。

「先生、ちょっと無理…」猛烈な眠気

「昼間、非常に強い眠気に襲われる、それがナルコレプシーの特徴です」神林先生は語る。例えば、ある患者は先生の過睡眠外来を訪れ診察中に突然、猛烈な眠気が抑えられなくなった。「先生、ちょっと無理……」「一眠りしてから診察をはじめよう」15分ほど寝ると、眠気は去るが1時間もすると、また眠たくなる。

例えば就職して、先輩に仕事を教えてもらっている時に突然居眠りをはじめる。「意欲が足りない!」「ふざけるな!」最初はダメ社員と思われるが、それが日常的な症状だとわかると、上司の勧めで来院し病名が確定するケースが多いという。

「この病気は喜んだり、笑ったりした瞬間に、身体の一部が脱力してしまう症状が現れます。久しぶりに診察に来たので『お元気ですか?』とお声がけしたら、突然、脱力発作を起こして立っていられなくなり、ドアにもたれかかった患者さんがいました」

健常者は入眠直後に必ずノンレム睡眠が訪れ、ある程度の時間を経てレム睡眠に移る。ノンレム睡眠とレム睡眠の周期はおよそ90分で、朝まで4、5回それを繰り返す。ところがナルコレプシーの患者は、ノンレム睡眠を経ずにいきなりレム睡眠の状態が訪れる。

この病気の原因が明らかになったのは、オレキシンという脳内物質の発見だった。脳は覚醒を促すメカニズムと、睡眠を促進する神経細胞群がせめぎあっている。筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長が発見し、1998~1999年に論文発表したオレキシンは、覚醒系を司る“親玉的”な脳内物質だった。

「ナルコレプシーの患者さんは、そのオレキシンが脱落していたんです。なぜ脳内物質のオレキシンが、脱落するのかは謎です。オレキシンが再生できればいいのですが、それは無理なので今、オレキシンの受容体にくっ付いてオレキシンと同じような働きをする薬の治験が始まっています。この薬が市販されれば、過眠症と脱力症の両方を治療することができます」

実は睡眠導入の薬も……

――日中に突然訪れる睡魔は、ナルコレプシーだけが原因ではなさそうです。夜ぐっすりと眠ることができれば、昼間に睡魔に襲われることもないわけで。

「確かに、それは基本中の基本です」

――私は寝つきが悪い。そこでお酒の力を借りて寝るのですが、2,3時間で目が覚めてしまい、その後なかなか眠れません。やはり、アセトアルデヒドが影響しているのでしょうか。

アルコールの代謝により、肝臓で生成されるアセトアルデヒドという物質は覚醒作用がある。その物質が睡眠を妨げていると、以前の睡眠の取材で先生方に指摘されたことだ。

「その可能性はありますが、それだけとは言えません。一つの物質だけで説明できるほど単純ではありません」

寝酒を弁護してくれそうな神林先生の言葉に、思わず身を乗り出す。

オレキシンは覚醒系の“親玉”の脳内物質だが、逆に睡眠を促進する“親玉”がギャバという神経伝達物質だ。

「考えられる一つはこのギャバ系の関与です。アルコールを飲むと眠たくなるのは、睡眠を促進するギャバ神経系に、アルコールがくっ付いているからで。酔いが覚め血中濃度が下がると、ギャバ神経系からアルコールがはがれ、逆に覚醒系の作用にシフトしていく。寝る前に飲むお酒の量が増えると、かなりパチッと目が覚めるので、もう少し飲もうかとなる。だから、寝酒は基本的に良くありません」

アルツハイマー型認知症と睡眠の関係

――確かに……お酒を飲んでも眠れないときがありまして、実はそんなときはお酒と一緒に睡眠導入の薬も……

「うーん、お酒も、あなたが服用しているベンゾジア系の睡眠導入剤も耐性ができますよ。使っているうちに量が増えていってしまう。よくありませんね。今は覚醒の親玉であるオレキシンを抑制し、ブロックすることで、眠りにつなげるオレキシン拮抗薬の睡眠導入剤も市販されています。このタイプの睡眠導入剤だと耐性ができづらい。薬の量を増やさなくても大丈夫です。ベンゾジア系とオレキシン拮抗薬を併用してみるのも一つのやり方ですね」

もちろん、アルコールと睡眠導入剤の併用はやってはならないが、睡眠導入剤の服用に関して、神林先生の口調は前向きなニュアンスが感じ取れる。

予備校時代に医学部志望の友人に刺激され、医師を目指したという神林先生、若手医師として入局したのが、睡眠やナルコレプシー等の過眠症、無呼吸症候群に取り組む医局だった。「当時は過眠症に取り組む医師が少なかったし、未知のものに取り組みたかった」と、過眠症治療のエキスパートを目指した。

睡眠導入剤の服用に理解があるのは、臨床医として多くの患者を診察し、まず患者の苦痛を取り除きたいという思いが強いのだろう。

「僕は薬物の治療に比較的積極的です。患者さんの症状の改善に対して、一番頼りにできるのが薬物治療ですから」

――睡眠導入剤を服用すると、確かにスッと眠れます。毎晩スッと眠ることがなかなかできない、そんな睡眠障害は万病のもとと言われますが、認知症にも影響があるのでしょうか。

加齢とともに睡眠不足と認知症の関係が気になるのは、私だけではないだろう。

「アルツハイマー型認知症を例に上げると、脳にアミロイドβという特殊なたんぱく質がたまり、脳細胞が壊れ減っていくことが原因です。アミロイドβは覚醒中に上昇し、睡眠中に排泄されることが、最近のマウスの実験で明らかになってきました。レム睡眠の少ない人が将来、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高いという報告もあります。

いずれにしろ睡眠障害が、アルツハイマー型認知症のリスクを高めるのは間違いなさそう。睡眠障害の治療が、アルツハイマー型認知症の発症を抑える可能性もあります」

“おいしい睡眠”とは?

アルコールや睡眠導入剤は身体に耐性ができ、その量が増えていく可能性がある。だが認知症をはじめ他の病気のリスクを減らすためにも熟睡は大切だ。お酒や薬がなくても熟睡するにはどうしたらいいのか。神林先生はこう締めくくる。

「よい睡眠のためには気合を入れて起きて、朝の光をしっかり浴びる。昼間眠くなっても長い昼寝はしない。寝つきの悪い人は午後3時以降のコーヒーは控える。眠る直前の食事は良くない。風呂から上がって90分ぐらいして、体温が下がると寝つきが良くなる。眠る前にパソコンやスマホ、メールのやり取り等、ブルーライト作業をするのもよくありません。  寝酒の習慣は止められませんか?」

私は思わずうなずく。

「ではビールなら350㎖の缶ビール1本、ワインならグラス1杯程度、ナイトキャップの範囲内にしましょう」

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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